S’PORE papa

シンガポールへ2005年~2010年まで単身赴任・・・ゴルフの回数は、激減・・・競馬、釣り、ガーデニングなど多趣味・・・

東野圭吾 「手紙」

2006-09-14 15:07:08 | シンガポール
先日のインハイでの帰国時に大阪で嫁さんとおち合った際に、嫁さんが電車の中で読み終えたばかりの東野圭吾氏の本「手紙」をもらった。嫁さんは、このところ東野圭吾氏にはまっており、もう十冊以上は読んでいるのではないでしょうか。

この本をシンガに帰ってきて寝る前に読んでいました。なかなか良い本ですよ。

貧しい2人だけの兄弟の兄の方が、弟の学費を稼ぐ為に空き巣に入るのですが、ふとしたきっかけで殺人まで犯してしまう。逮捕されて、刑務所にはいります。そこからの兄から弟への手紙。弟は、強盗殺人罪の兄をもったことにより世間での暮らしが大変になります。その苦悩を描いています。

幸いにも私には、親戚に犯罪を犯したものがいないので、この苦悩は、よく解かりません。読んできる時は、さっさと兄弟の縁を切って、生きられないものかとジリジリしましたが、この小説のように、なかなか親類縁者との縁、まして、親子、兄弟の縁は、濃く、切ることが出来ないし、個人の内面やこころの形成に大きく影響してしまうものだと思いました。

兄弟をテーマにした小説では、なかにし礼の「兄弟」や、石原慎太郎「弟」も読みましたが、たしかに血がつながっていて、影響しあっている何かを感じます。私にも弟がいますが、お互いに無関心兄弟だったので、なんとも感想に乏しくと・・思います。でも、生活面のことや、なんやかやと思うときには、深層のところで、意識しあっていると思います。

この小説のストーリーを形成している手紙のやりとり、しかも刑務所からだから1ヶ月に1度しか出せない。ゆえに、兄の思いと弟の思いがかみ合わないせつなさが読者を苛々させます。今でこそ、ケイタイやメールでコミュニケーションの手段が手ごろになってしまった分、かえってこころのやりとりが、希薄になってしまったのではないでしょうか。

漱石の「こころ」もたしか先生が手紙で心情を告白・・浅田次郎の「ラブレター」は、見ず知らずの名義貸し結婚相手(違法就労中国人女性)からのラブレター。これは、ものすごく泣かせてくれました。良かったです。

話が横道にそれましたが、東野作品って推理サスペンス風なものしか読んでいなかったので、こういうヒューマニズムっぽいものも、書けるんだと思った次第です。最後は、ちょっと泣かせてくれました・・・

私的には、この本の評価は、70点くらいかな・・・

今のシンガの天気は、