きのう土曜日、私が所属しているグループ『Care Team Japan』創立20周記念を祝って食事会を行った。
総勢20人ほど、ジュネーブ、チューリッヒ、ベルン、などスイス各地から位置的にほぼ中間地点になるヌシャテルの街に集まった。
このグループはスイスに永住する日本人の間で、相互に援助し合う・・・という緩やかな組織であるが、以前にも言ったように
ほぼ女性ばかりで男性は2人だけ、ドイツ語圏に一人、フランス語圏に私で、この日参加した男性メンバーは私ひとりであった。
年齢的には40歳代〜70歳代で平均年齢は約60歳ぐらいであろう。
予約したレストランはヌシャテルの旧市街にあり、土曜のせいか客が多いが、ウエイターは皆愛想がよくテキパキ。
この日の定食が『シュークルート』というキャベツの酢漬けにソーセージなどが添えられているフランス田舎料理。
私は初めて食べたときは、キャベツがあまりにも酸っぱくて苦手料理であったが、最近は旨さがわかってきて美味しく頂いた。
私はいつものように、女性ばかりの中で緊張していたが、食事が進むにつれ少しずつそれがほぐれた頃、ベルンから来た若めの女性が
前日に日本映画『みとりし』という映画を見た、という話が出、聞き慣れない言葉『みとりし』って何ですか?と聞くと
死際にその人を『看取る』・・・職業の人であることがわかり、同テーブルを囲む皆さん全員大いに興味を示した。
中でも私は、その『看取り士』という言葉に禁じられた妄想がわき起こり、死際に若く美しい女性が我が手を握りしめてくれる図を
思い浮かべ、思い浮かべるだけではなく同テーブルの女性につい口を滑らし、その妄想の一部を披露してしまったのだから救いがたい。
それまで柔和な微笑みで相づちを打っていた対面の女性の眼が一変に軽蔑の眼差しとなり、『これだから男は・・・』という声が聞こえが気がした。
隣に坐っていた女性が『それじゃまぁ、一撮さんを20年後に看取るとして私じゃだめなので、ウチの娘でよかったら派遣しますよ』と助け舟。
『娘は声楽をやっているので、歌で貴方を看取ってあげますよ…』とのこと。
私:『都はるみの演歌でお願いできますか?』
隣の女性『都はるみって、もう死にましたよね?』・・・・さすがにそれにはビックリして、即ググって見ると、74歳で健在。
話を聞いているうちに、それは『美空ひばり』との勘違いであった。 ドリフターズの長さんではないが、『こりゃダメだ!』で落着。
帰宅してからその映画を調べると、
2019年に公開された映画『みとりし』の『看取り士』とは、柴田久美子さんの体験の基に立ち上げた職業らしい。
予告編を観ると、昔流行った映画『送り人』を彷彿とさせるもので、
『人生の最期、どこで旅立ちたいですか? 大切な人の最期、どのように送りたいですか?』という呼びかけが印象的。
どんどん老齢化が進み、孤独死も日常茶飯事になりつつある現状、私のような妄想をいだきながらも実現せずに
死んでいく人も多いであろう…と思うと、この『看取り士』という職業は案外先見の明があるかも・・・とも思う。
そこまで考えた時、同テーブルにいた元ベテラン看護師の言葉を思い出した。
『死際の人には二種類あって、一人になりたいタイプの人と、誰かに手をとってもらいたいタイプの人』がある…とのこと。
う〜ん と、迷いまくる私…。 若く美しい女性か? 神仏にまみえる為に一人で逝くか?・・・それが問題だ!
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