拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

 大地の王

2012年06月07日 | 映華(えいが)
 昨夜 劇場で観たものは 夢まぼろし であったかのような あるいは遠い昔に経験した実話だったような・・・。
 
 ウクライナ人の劇団員12,3名による 歌、楽器演奏、踊り、芝居が渾然一体となったステージは「大地の王」と題する
 (フランス語題 Vii-le roi terre) Vlad Troitskyi氏率いる劇団。

 明らかに一般のヨーロッパ人にとっては 馴染みのない神秘の世界 むしろ東洋的な神秘により近いウクライナの民族的
 文化を基盤にしたストーリー、演出は 「魔女」「神」「生」「死」・・・などをキーワードにしながら
 視覚と聴覚だけではない「感覚」との3D度を どんどん深め、高めて それこそブリューゲルの絵の中に紛れ込んで 
 しまったような錯覚に 陥ってしまった。

 だいたい 役者も ウクライナ語?で 何やらどなったり つぶやいたり・・・二人のスイス人(フランス人?)のみが
 その溝を埋めるがごとく フランス語で彼等に対応する 異国情緒。

 彼等の この格別の ステージを目の当たりにして 最高の贅沢を 極めた感・・・に一緒に観に行った姪の
 マエルと 共に浸りきっていた。
 そもそも3日前に相方のニコルがタダ券をもらい 友人のクロードと観に行き、 興奮して帰ってきたのだが
 それは相方の癖で いつも4割方 割引して話を聞かないと真実は伝わらないのであるが。

 今回だけは 相方の話以上の 内容で 夜の10時半に 雨に打たれながらもウキウキと帰宅したのであった。 

 一人狂言回し的男がいて そいつが凄かった。 1,7mぐらいの切り株の上にいるさまは 細江英公の写真「鎌イタチ」
 を彷彿とさせ舞踏していた。

 後半フランス人の男が 神に向かって叫ぶ・・・ がしかし返事がない 「見捨てるのですか?!」 ・・・その時ボクは思った。
 その「静寂」そのものが 神の返事であったと。 観音様の観音とは その静寂に生死を超えた音を観ることであるのだからと。

     


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