逝きし世の面影

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凍土壁の凍結失敗で石棺(フクシマのチェルノブイリ化)を決断

2016年07月20日 | 放射能と情報操作
海側からでも陸側からでもなく、福島第一原発構内の原子炉敷地から直接濃い霧が立ち上っているように見える摩訶不思議な映像


『第一原発「石棺」に言及 「固定化」の恐れ地元反発』7月14日(木)福島民報

原子力損害賠償・廃炉等支援機構は13日、東京電力福島第一原発事故の廃炉作業での技術的な裏付けとなる新たな「戦略プラン」を公表し、核燃料を建屋内に閉じ込める「石棺」方式について初めて言及した。
溶融燃料(燃料デブリ)を取り出すことが大前提としながらも「今後明らかになる内部状況に応じて、柔軟に見直しを図ることが適切」として選択の余地を残した。
福島県は取り出した溶融燃料など放射性廃棄物の県外処分を求めている。石棺は廃炉に伴う高レベル放射性廃棄物の県内固定化につながりかねず、県や地元町村は反発している。
 
石棺は溶融燃料を残した原子炉をコンクリートで覆う方式。「長期間の安全管理が困難」と慎重な姿勢を示した上で、将来的な計画見直しを踏まえて選択する可能性は残した。
その際、「長期的な責任継承に関する不確実性や世代間での安易な先送りに対する懸念を十分に踏まえるべきだ」と注文した。石棺は旧ソ連のチェルノブイリ原発で採用されたが、老朽化が問題となっている。
プランではこのほか、溶融燃料の取り出しで燃料のある場所に応じて複数の工法を組み合わせる可能性が高まった。これまでは一つに絞り込む方針だったが、原子炉内の調査・分析が進んだ結果、溶けた燃料が複数箇所に散在し、一つの工法で取り出すのが難しいと判断した。各号機の状況を踏まえ、具体的な工法を検討する。
昨年の戦略プランは(1)原子炉格納容器に水を満たして上部から取り出す「冠水工法」(2)水を張らない「気中工法」で上部から取り出す(3)気中工法で側面から取り出す-の3通りを挙げ、燃料の状況に応じて絞り込む方針だった。

■県外処分近く国に要求へ 県と原発周辺市町村
県と東京電力福島第一原発周辺の13市町村は13日、福島市で開いた会合で、溶融燃料を含む放射性廃棄物や取り出した使用済み燃料を県外で適切に処分するよう国に対して求めることを改めて申し合わせた。これまでも原子力政策を進めてきた国の責任で県外処分を進めるよう要望している。
7月14日(木)福島民報社

『福島第1原発 廃炉 「石棺方式」修正へ』2016年7月15日毎日新聞 

東京電力福島第1原発事故の廃炉技術を研究する原子力損害賠償・廃炉等支援機構の山名元(やまな・はじむ)・理事長は15日、福島県庁に鈴木正晃副知事を訪ね、廃炉処理の計画書に盛り込んでいた「石棺方式」の記述を修正することを明らかにした。
「石棺」は溶けた燃料を回収せずに原子炉建屋内に閉じ込める手段で、福島県が撤回を求めていた。来週にも修正した計画書を公表する。
山名理事長は「石棺方式では放射性物質が将来的に漏れるリスクがあり、全く検討していない」と陳謝した。鈴木副知事は「頭の隅に(石棺方式が)あるのではないか」などと抗議した。
機構は13日公表した計画書で、石棺方式について「長期にわたる安全管理が困難」とする一方で、続けて「今後明らかになる(原子炉などの)内部状況に応じて、柔軟に見直しを図ることが適切」との文言を盛り込んでいた。山名氏は、鈴木副知事に対し「我々の国語能力の甘さだったと深く反省している」と釈明した。
2016年7月15日毎日新聞

『東電「完全凍結は困難」 第一原発凍土遮水壁 規制委会合で見解』7月20日(水) 福島民報

東京電力は19日、福島第一原発の凍土遮水壁について、完全に凍結させることは難しいとの見解を明らかにした。
同日、都内で開かれた原子力規制委員会の有識者会合で東電の担当者が示した。東電はこれまで、最終的に100%凍結させる「完全閉合」を目指すとしていた。方針転換とも取れる内容で、県や地元市町村が反発している。
 
会合で東電側は規制委側に凍土遮水壁の最終目標を問われ、「(地下水の流入量を)凍土壁で抑え込み、サブドレン(建屋周辺の井戸)でくみ上げながら流入水をコントロールする」と説明。その上で「完全に凍らせても地下水の流入を完全に止めるのは技術的に困難」「完全閉合は考えていない」と明言した。
 
これに対し、オブザーバーとして出席した県の高坂潔原子力総括専門員は「完全閉合を考えていないというのは正式な場で聞いたことがない。方針転換に感じる」と指摘。東電側は「(凍土壁を)100%閉じたいのに変わりはないが、目的は流入量を減らすこと」と強調した。
凍土壁は1~4号機の周囲約1.5キロの地中を凍らせ、建屋への地下水の流入を抑え、汚染水の発生量を減らす計画。
東電は3月末に一部で凍結を始めたが、一部で地中の温度が下がらず追加工事を実施した。東電によると、第一原発海側の1日当たりの地下水くみ上げ量は6月が平均321トン。5月の352トンに比べ31トン減少したが、凍土壁の十分な効果は確認できていない。
   ◇  ◇
東電が今年3月に特定原子力施設監視・評価検討会で公表した資料では凍土壁造成の最終の第3段階について「完全閉合する段階」と表記していた。
経済産業省資源エネルギー庁も「凍土遮水壁は最終的には完全な凍結を目指す」(原子力発電所事故収束対応室)との認識だ。
 
規制委会合で東電が示した見解について、県の菅野信志原子力安全対策課長は「おそらく公の場では初めてではないか。汚染水の発生量を減らすという凍土遮水壁の目的を達成するため、当初の計画通り100%凍らせる努力が必要だ」と強調した。
 
福島第一原発が立地する双葉町の伊沢史朗町長も「公式の場で方針転換とも取られかねない発言を唐突にする東電の姿勢には、非常に違和感を感じる」と指摘した。双葉地方町村会長の馬場有浪江町長は「凍土壁で汚染水を完全に管理できるという説明だったはず。町民の帰還意欲にも影響しかねない問題だ」と批判した。
一方、東電は「地下水流入量抑制が目的で、100%閉合を確実に実施するわけではない。目的は変わっておらず方針転換ではない」(本店広報室)としている。
7月20日(水)福島民報社



5年遅れのフクシマの石棺化『何とも分かりやすい成り行き』

30年前の1986年4月26日1時23分(モスクワ時間 UTC+3)にソビエト連邦(ベラルーシとウクライナの境界線付近)の チェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた未曾有のレベル7の核事故ではその年のうちに石棺化で封じ込めに成功している。ところが、原子炉4基が同時に暴走する5年前のフクシマでは未だに石棺化出来ずメルトダウンして破壊された原子炉から放射能汚染物質が外部環境に垂れ流し状態だった。
今回7月13日に、やっと原子力損害賠償・廃炉等支援機構が初めて石棺化を言いだした。
ところが、当たり前ですが地元が猛反発する。(石棺では半永久的にメルトダウンした危険な核燃料が存在するので、自動的に今まで日本政府が主張していた『除染して全員帰還』が夢のまた夢になる)
メルトダウンした原子炉からの核燃料の取り出しですが、今まで成功しているのは1979年3月28日、アメリカ合衆国東北部 ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所で発生したレベル5の核事故だけなのです。
この時に核燃料の空焚きによるメルトダウンは2時間20分で釜の底が持ちこたえて、溶けた核燃料は原子炉内に留まっている。ところがメルトダウンした核燃料の取り出しには数十年ものトンデモナイ時間がかかっている。
日本のように数日から数週間以上も空焚きによるメルトダウンが続いていたフクシマの場合は、最低でも300年以上の年月が必要なのは海外の研究者が全員主張していた。フクシマの場合には核燃料デブリの位置さえ分からないが、今まで日本は『30年で廃炉』など荒唐無稽な夢物語で誤魔化していた。
今回、やっと日本も正気に戻ってきたのである。ところが、悲しいかな一喝されて元の木阿弥。石棺方式を引っ込めたが、その代わりに今回出してきたのが『凍らない凍土壁』なのですが、この話は原因と結果が逆さまで、実はいくら東電や経産省が努力しても凍土壁が凍らないから仕方なしに『石棺化』を言いだしたのである。
(東電や経済産業省が計画していた前代未聞・空前絶後の『凍土壁』ですが、『危ない』と反対する田中俊一委員長など原子力規制委員会vs東電との、マスコミが怖がって誰も報じない摩訶不思議な水面下のバトル構図が出来上がっていたが、今回原子力ムラの学者集団である規制委側の『正しさ』が証明された結果に終わる)

『待ち望まれる安倍「改憲」(恐怖の「緊急事態法」)』

2016年7月17日付け毎日新聞コラム『時代の風』 で作家の中島京子が『改憲3分の2議席の意味』と題して、とんでもなく重大な事実を大手メディアとしては初めて暴露していた。
フクシマのレベル7の核事故発生から1年2ヶ月後の3012年5月に『戦後レジームからの脱却』のスローガンの(現総理大臣の安倍晋三をメンバーとする)右翼国粋主義グループの超党派の議員団『創生「日本」』が、『国民主権や基本的人権』など憲法3原則の一時停止(非常事態宣言とか戒厳令)を『これ以上延ばすことはできない』とはっきり主張していたのである。
安倍自民党の『緊急事態法』(憲法改正)に対して、『自衛隊が地球の裏側でイスラム過激派武装勢力と戦争をする』との共産党など左翼の話はあまりにも胡散臭い。現実味が乏しいから選挙で負ける。
『国民主権や基本的人権』の一時停止(非常事態宣言とか戒厳令)を『これ以上延ばすことはできない』と主張する自民党など右翼勢力が選挙で勝った原因ですが、社共の建て前論よりも自公の怖ろしい本音(非常事態宣言)の方が余程リアリティがあると感じたから多くの有権者の支持を得たのである。
いよいよ日本も5年遅れで、(放射能被害の深刻化で)フクシマもチェルノブイリと同じように強制疎開の決断が迫っている。
管直人首相はレベル7の核事故で『しばらく帰れない』(フクシマは駄目だ。疎開しかない)と正直に本当のことを語ったが地元は猛反発、発言を撤回するが、その後『管おろし』で失脚した時に再度福島県を訪れて(チェルノブイリと同じで)『もう、帰れない』と語っているが矢張り地元は猛反発、誰も耳をかさない。
これは良い悪いの話ではなくて、もう『緊急事態法』(非常事態宣言とか戒厳令)での、憲法3原則の『国民主権や基本的人権』などの一時停止が無いと、(管直人の悪しき先例が示すように)レベル7の核事故時に強制疎開は、旧ソ連では可能でも今の日本のような民主主義社会では基本的に無理。いくら実行したくても不可能なのです。
フクシマの核事故から5年後の今の日本ですが、恐怖の『緊急事態法』(安倍改憲)が、密かに待ち望まれているのである。











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負けたのに安定の民進党 (太田)
2016-07-20 18:28:35
参院選、民進党ですが変ですよ。
岡田さんはあんまり悔しそうじゃないし、
だいたい選挙で勝つ気が有るとは思えない。
無気力試合ですよ。
民主党から民進に改名したのに古くさい岡田代表が顔なら勝てるわけがない。
野田佳彦首相の自爆解散が福島第一からの逃亡ならば、民進党は政権党に成る意志が無いのだと思います。
自民党に全権委託させて、地獄の国家解体を自民党にやらせようとしていると思います。
安倍晋三はババを掴まされて、全方面から恨みを買う役割をやらされてるように見えます。
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Unknown (二胡)
2016-07-21 13:33:58
いつも楽しく読ませていただいていますが、政府が緊急事態法をたてに強制疎開を検討するというのは、政府を好意的に見すぎているように思います。
これまでの行状を見る限り、総理は大衆の命など屁とも思っていません。
その逆で、万一本当に避難する必要が生じても、一般の人は緊急事態法をたてに脱出を禁止するといったことなら考えられるでしょう。
このブログでも何度か出ているセウォル号のように、自分たちがまっさきに脱出できるようにする方法をこそ考えるはずです。
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破滅を無意味に先送りを続けている日本国の不幸 (宗純)
2016-07-22 15:35:57
太田さんコメント有難う御座います。

このブログ記事では何度も指摘していることですが野党側が勝つ気が無く、わざと負けて右翼国粋御主義の安倍晋三など自民党を勝つようにしている出来レース。インチキな八百長に試合に見えます。
参議院選では『おおさか維新』が500万票獲得したが、維新と合併した民主党の方には、当たり前ですが1票もプラスにならない。
民進党ではなくて、もしも党名が『民主党・維新の党連合』としていれば、
有権者が『維新』と書いたら、自動的に民主党側に半分の250万票の上積みが期待出来て大勝利だったのです。おおさか維新などと書いた有権者の比率は1%以下ですよ。松井代表は今でも辞めてタレントに復帰した無関係な橋下徹の名前を選挙戦では連呼していたが、有権者の方も橋下維新に投票しているのです。
大勝するはずだった共産党の突然の失速は例の、『人殺しの予算』の否定のお粗末な対応でしょう。左翼が保守と同じことを主張して勝てるわけがない。

二胡さん、コメント有難う御座います。これからもよろしくお願いいたします。

5年前のフクシマのレベル7の核事故発生の直後にロシアのプーチン大統領が日本の被災民全員をシベリアに受け入れると表明していたが、遅かれ早かれ、たぶんチェルノブイリの時と同じで強制疎開以外の解決方法が無かったのでしょう。
広大なソ連とは大違いで狭い日本では疎開させる場所が無いのです。
しかもチェルノブイリは人口密度の低い場所にあったが福島第一原発は人口過密な日本にあった。チェルノブイリの強制疎開の対象は40万人ですが、日本の場合には最低でも数百万、ひょとすると1千万人以上、最悪なら数千万人ですよ。日本国内には何処にも場所が無いのです。
私も若かった昔はめっぽう寒さには強かったが年を取ると寒さがこたえる。年を取ってからのシベリア送り(流刑)はほぼ死刑と同じことになります。
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石棺化報道をめぐって (中島賢一郎)
2016-07-29 08:59:31
今月中旬の原賠機構の石棺化記述事件について論考しました。読まれて議論に値すると思われたらシェア・拡散をお願いします http://svcf.jp/archives/5842
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ジジイの決死隊??? (宗純)
2016-07-29 14:18:06
中島賢一郎さん、老人の決死隊で原発を収束するとの記事には到底賛成出来ないでしょう。
メルトダウンした原発ですが、収束など夢のまた夢。
基本的に、収束は不可能なのです。
もう、残された道はチェルノブイリと同じで強制疎開しか有り得ない。
過去には2013年7月19日毎日新聞『発信箱』で青野由利専門編集委員が『ジジイの決死隊』なる記事をかいているのですが、基本的に無茶苦茶。

石破茂閣下発言「命令拒否は死刑か懲役300年」を断固支持
2013年07月20日 | 政治
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/578564623c3a74669c76359b4b5e0dd5

5年半が経過した現在では手遅れですね。何も出来ないでしょう。
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