逝きし世の面影

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複雑怪奇 日中韓三カ国の三つ巴の愛憎劇の三すくみ

2015年04月15日 | 東アジア共同体
『アメリカ軍が望むほど遠のく日米韓三国軍事同盟の逃げ水』

4月9日韓国の聯合ニュースは日韓両政府が2009年12月以来、約5年ぶりの外交、防衛当局幹部による日韓安保対話の年内開催を調整していると報じる。
2015年04月14日Sputnik(旧ロシアの声)は、『14日ソウルで、"2+2"のフォーマットによる安全保障問題に関する、日韓外務・防衛高官レベルの交渉が、5年ぶりに行われる。しかしロシアの専門家らは、この会合に、日韓の防衛協力における突破口を期待するのは恐らく無理だろうと悲観的な見方をしている。』
と解説している。
米軍制服組みトップのマレン統合参謀本部議長は4年半前の2010年12月9日、北朝鮮による延坪島砲撃事件を受けて日米韓3カ国の韓軍事協力の必要性を強調して、米韓軍事演習への日本の自衛隊の参加を改めて呼びかけた。
マレン議長は『米国が韓国と日本と協力する。日韓で協力する。3カ国間で協力することは全部必要だ』と日韓間の軍事協力の必要性も強調したが、歴史問題が横たわる日韓間では、対北朝鮮であれ何であれ今まで軍事協力は1回も行われていない。


(2012年9月21日第2次大戦後初めて竹島の韓国防空識別圏に入って訓練飛行した海自ヘリ搭載護衛艦「ありあけ」4,550トン)
今までの日本の海上保安庁の巡視船は2008~11年に毎年90回前後、2012年は9月までに71回、同水域内を航行しいるが、海上自衛隊の駆逐艦の演習は戦後始めての出来事。しかも韓国側には無通告だった
韓国軍関係者によると約4000トン級の海自艦が竹島から約50キロまで接近し、同艦からヘリが2回、発着訓練を行ったが韓国空軍のF15K戦闘機4機と早期警戒機と韓国海軍の駆逐艦が出動。海自艦は韓国側の警告を受け、引き返した。日本の海上幕僚監部は『警告を受けたり、退却したりした事実はなく、通常の訓練を実施しただけ。特に問題があるとは考えていない』と言い分が食い違っている。
米軍トップのマレン米統合参謀本部議長が2010年12月に韓国に対して『朝鮮半島の軍事面における日本の役割の必要性』について強調、日本と韓国の『軍事情報包括保護協定』(GSOMIA)と『物品役務相互提供協定』(ACSA)の締結を要求した。
2012年6月29日に予定されていた日韓軍事情報包括保護協定の締結は寸前に発覚して、議会側から『日韓軍事協定は、韓国史上初の売国協定だ』として即座に韓国国防相の首が飛ぶ。
12月には大統領選挙を控えている李明博政権やハンナラ党(現在のセヌリ党)は窮地に追い込まれた。
2012年8月10日に李明博が韓国大統領として初めて竹島に上陸する。
李明博大統領による唐突観が否めない竹島電撃上陸や天皇の謝罪要求には、目の前の大統領選挙目当てに精一杯愛国心を強調するとの裏の意味があったが、副作用で日韓の関係が極度に悪化して以後現在まで日韓首脳会談は開催されていない。
(4月10日中谷元・防衛大臣は5年ぶりの防衛相会談を来月行おうと韓国側に提案していて、実現したらGSOMIAやACSAを締結を再度提案したい、と語ったというが余りにも能天気と言うかアメリカ一辺倒の発想である)


『日本政府外交青書からも「基本的価値を共有する隣国」削除』(資料)

『金大中・小渕「パートナーシップ宣言」の精神毀損』   代わりに慰安婦問題の言い訳で埋める
「竹島は日本固有の領土」も挿入   政府、駐韓日本大使館総括公使呼んで抗議

日本政府が7日、韓国は「民主主義、基本的人権など、基本的な価値を共有する隣国」という内容を削除し、独島(日本名:竹島)は「わが国固有の領土」という記述を盛り込んだ2015年「外交青書」を閣議決定した。前日の中学校教科書検定結果の発表に続き、韓日関係に悪影響を及ぼすものと見られる。
 日本政府はこの日公開された「外交青書」で韓日関係について、「日本と韓国は、最も重要な隣国同士であり、友好的な日韓関係は、アジア・太平洋地域の平和と安定にとって不可欠である」という基本認識を示した。しかし、今年3月初め、外務省のホームページで韓国と日本は「基本的な価値を共有する隣国」という表現を削除したのに続き、この日の「外交青書」でも関連内容は言及されなかった。独島については、2000年から日本政府が使用してきた「歴史的事実および国際法のいずれから見ても竹島は日本の固有の領土」という表現がそのまま使われた。

 日本が韓国との関係を説明する際に「基本的価値」という表現を使い始めたのは、1998年10月当時、金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相によって「日韓パートナーシップ宣言」が発表されてからである。当時、韓日両国はお互いに戦後50年間成し遂げた成果を評価し、未来志向的な関係を発展させていくことに合意している。したがって、安倍政権が韓日関係で「基本的価値」という表現を削除したのは2000年代以降、両国関係の形成に基本的な土台になったパートナーシップ宣言の精神を毀損したものと評価できる。両国が「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを共通の目標として構築し、発展させる」ことに合意した17年前の約束は跡形もなく、韓日関係が絶え間ない反目と対立で点綴された20世紀に立ち戻ることになったのである。

 両国間の友好を象徴するフレーズが消えたところは慰安婦問題に対する言い訳で埋められた。日本政府はこれまで韓日関係の主要な懸案として言及してきた慰安婦問題を、今度はアジア・太平洋地域の外交関係を眺望する総論の後に配置した。これによると、「慰安婦問題を含め、先の大戦に係る賠償及び財産権の問題について、日本政府は、サンフランシスコ平和条約など、その他の関連する条約等に従って誠実に対応してきているところあり、これらの条約等の当事国との間では法的に完全に解決済みとの立場である」とし「韓国が引き続き日本に対応を求めてきているが、(日本)政府としては、この問題に対して正しい理解を得られるよう、最大限努力していく」と主張した。

 イ・サンドク外交部東北アジア局長はこの日、金杉憲治駐韓日本大使館総括公使を呼んで再び抗議した。前日、日本政府が独島に対する領有権主張を盛り込んだ中学校教科書検定結果を発表したことについて、チョ・テヨン外交部第1次官が別所浩郎駐韓日本大使を呼んで抗議したことの延長線上の対応だ。ノ・グァンイル外交部報道官も声明を通じて「(日本政府が)独島、日本軍慰安婦被害者の問題などについて、不当な主張を盛り込んだ外交青書を再び閣議決定する歴史に逆行する動きを繰り返した」と批判した。しかし、昨年、政府声明に入った「糾弾」などの強い表現が、今回は見られないことから、政府の対応の強度が弱まったのではないかという指摘も出ている。政府は「韓日が基本的な価値と利益を共有する隣国」という表現が削除されたことと関連し、目立った反応を示さなかった。
2015-04-07ハンギョレ新聞

『日本式の漢字語は「抹殺」・・・ソウル市が実施へ、「正しい韓国語、市民の提案も募ります」=韓国メディア』

韓国のソウル市は10日、日常生活で使われている日本式の漢字語を、正しい韓国語に変更することを明らかにし、該当する用語を発表した。複数の韓国メディアが報じた。
対象となるのは、日本語式の漢字語や日本式の表現、外来語。「切取線」、「始末書」、「仮処分」、「見習」、「行先地」、「耐久年限」、「飲用水」、「残飯」、「食費」、「引き継ぐ」、「差し出す」、「回覧」、「残業」、「節水」、「納期」、「納付」、「ラッシュアワー(外来語)」など計23用語という。
ソウル市は、今年が光復(日本の植民地支配からの解放)から70年の節目に当たることから、公共用語や日常で使われている日本式の用語を正す作業を行っている。3月30日には「国語を正しく使う委員会」の会議を開き、日本式漢字語などについて審議していた。
国語使用条例に従い、行政用語の変更については「ソウル特別時報」(第3286号、2015年4月9日)に公示し、市民や公共機関に正しい韓国語が使用できるようにした。
修正すべき日本語式の漢字語や、日本語式の表現などについて関心のある市民は、市のホームページを通じて提案することができる。市は、市民から寄せられた意見をまとめ、次回の委員会で審議を行う。
ソウル市の市民疎通企画官のファン・ボヨン氏は、「今年は日帝残滓用語を正す『韓国語直し』を推進し、市民と共に光復の真の意味についても再確認したい」と話したという。
2015-04-13サーチナ(Searchina)

『韓国ソウル市の愛国的な勘違い』

今の日本や中国や南北朝鮮で使われている人文関係の言葉の多くは明治維新後の日本で欧米の外国語を翻訳して新しく作られた和製漢文である。
その意味では確かに『日帝残滓用語である』とも言えなくもない。
しかし幾ら存在を否定したくても『大日本帝国』ですが、アジアで唯一の先進国であり国際連盟の理事国で世界5大国の一つでもあった事実は消せない。
もしも中国が今の韓国のように『日帝残滓用語だ』と排斥したら正式名称の中華人民共和国のうち『人民』も『共和国』も使えない。
社会や主義や思想、政治や経済、文化や文明、新聞や会社、時間や空間、權利や義務など近代社会以降を示す漢字熟語の大部分は日本製なのです。

『韓国人に「漢字」は必要? 「分からないと生活が不便」が過半数の調査結果=韓国』

漢字をベースにした文化を持ちつつ、15世紀の「訓民正音」(ハングル)発明以降、とくに戦後に「脱漢字化」を進めてきた韓国では、近年漢字の必要性をめぐる議論が活発化している。
中国メディア・環球時報は8日、韓国の世論調査機関「韓国ギャラップ」が先日実施したアンケートで、過半数が「漢字が分からないと生活が不便」と回答したことが明らかになったとする韓国メディアの聯合ニュースの報道を伝えた。
記事は、今年の「ハングル記念日」に合わせて1004人の成人に対して行われたアンケートで、「漢字が分からないと生活が不便」との回答者が54%だったとした。2002年に実施した同様のアンケートでは、70%超が「漢字は生活のうえでとても重要」と認識していたという。
また、「漢字は外国の文字か」との質問では「はい」が47%、「いいえ」が48%とほぼ拮抗したと紹介。一方、「ハングルと漢字を併用すべき」との回答が57%にのぼり、「ハングルのみ使用すべき」の41%を約15ポイント上回ったとした。02年の調査では「併用すべき」が55%となっており、この十数年で微増する結果となった。
さらに、年配者ほど漢字に愛着を持っていることも明らかになり、60歳以上の「漢字がわからないと不便」の回答者が63%に達したとも伝えた。
記事は、韓国政府・教育部は18年より学校教科書の漢字併記に向けて準備を行うと決定したことについて、67%が賛成の見解を示し、反対の29%を大きく上回ったとした。なお、同部の決定に対してはハングル学会などから「ハングルが漢字解釈のツールになり下がる」との反対の声が出ているという。
2014-10-15サーチナ(Searchina)


『とかく偏狭な愛国心の盛り上がりは窮屈で不自由だ』

1970年代までの南北朝鮮は今の日本語のように表意文字である漢字と表音文字であるハングルとの併用で、街中の看板類とか新聞の見出しは漢字優先だったので朝鮮語がまったく分からなくても半分以上は理解できた。ところが何故か70年代に外国語排斥の愛国主義が体制がまったく違っている南北朝鮮で同じように盛り上げり、現在では『漢字は外国語』だとして今までの使い慣れた漢字を追放してほぼハングル表記一辺倒になってる。
この韓国での漢字追放運動の大成功ですが、一般市民の圧倒的多数の賛成で行われたと勘違いしていたが、サーチナ(Searchina)記事では逆に漢字に愛着を感じる市民のほうが多数派であり、ハングル専用派のほうが少数派。これは当然で日本語も朝鮮語も漢字由来の同音異語が多くて表音文字(かなやハングル)だけでは使い勝手が悪過ぎるのである。とかく偏狭な愛国心の盛り上がりは、一般市民の生活にとって窮屈で不自由なことばかりだったのである。

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2 コメント

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お互いさま (ましま)
2015-04-15 10:23:36
韓国のメディア、政府などの発信を見ていると、本当に気の毒に思います。日・米・中そして北朝鮮の間の狭苦しい空間でどう主体性を発揮するか、混迷から抜け出せないでいるように思えます。

日本のヘイトスピーチ族や、排他右派は、こういった立体的視野がない。これもも問題です。島国根性と半島国根性のせめぎあいなど、絵にもなりません。
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島国根性Vs半島国根性の、低級で見苦しい争い (宗純)
2015-04-15 16:53:03
ましまさん、コメント有難うございます。

『島国根性と半島国根性のせめぎあいなど、絵にもなりません。』とは言いえて妙、これは最高傑作で日韓関係を一言で表す名言です。
日韓の色々な騒動ですが、我々一般市民は、もう、笑うしかありません。
14日に出国禁止を解除された産経新聞ソウル支局長だった加藤容疑者が15日には安倍晋三首相に面会して慰労と激励をされている。
日本側のマスコミ報道では『言論弾圧』とか『報道の自由』一色なのですが、本当に困った話である。
そもそもこの馬鹿話は1年も前の話であり、その当時の日本では東京都議会での悪質なセクハラ野次で盛り上がっていた。
その後、セクハラはあちこちに飛び火して、何と国権の最高機関である国会でもセクハラ野次が自民党議員から行っていたことが発覚する騒ぎにまで発展していた。
このときに被害にあった女性議員が、あの難波のエリカ様こと、維新の小西小百合。
このときに、右翼で低脳の産経読者目当てにネット上に日本語で書かれたセクハラ記事が、ハングルに翻訳され大問題になる。
未婚の女性大統領が公務中に、しかも一番問題の旅客船セウォル号沈没の最中に、男性と密会していたと実名を出して事実であるかのように報道したもの。
ところが、後日に、これが根も葉もない誤報(出所不明の無責任なうわさ話)と加藤容疑者自身が認めているのです。
東京都議会とか国会のセクハラ野次に比べて、問題とならないほど、言語道断、悪質極まるセクハラであるとした言いようが無いのに、日本国内でも共産党から自民党まで挙国一致で『言論の自由』を主張する。
幾ら島国根性にしても、もう無茶苦茶。
言論とは報道の自由以前に、先ず悪質極まるセクハラ誤報を謝るのが筋でしょう。
今回の14日の出国禁止の解除も、実は裁判所で先月30日に加藤容疑者が裁判の公判で、誤報を正式に認めたことで、裁判の争点が無くなった事が大きい。

14日は、関係冷え込みで途絶えていた日韓安保対話が5年ぶりに開かれる。
間違いなく加藤容疑者の出国禁止解除と連動しています。
『日韓安保対話:5年ぶり再開』との毎日新聞の記事では、
『日本と韓国の外務、防衛当局による安全保障対話が14日、ソウル市内で行われた。2009年12月に中断されて以来5年ぶりで、
日本側は今月末に最終合意を目指す日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定や、政府が5月中旬に国会に提出する安全保障関連法案について説明した。』
と、安倍晋三の月末の訪米とも連動しているらしい。

ところが、大事な関連性を誰も報じない。これは矢張り18年ぶりの日米ガイドラインの改定を報道したくないのでしょう。これが多分、大本命ですね。

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