逝きし世の面影

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歴史上初めての「晴れがましい」椿事(ガイドライン改定の御褒美として米上下両院演説)

2015年04月16日 | 軍事、外交
『4月29日に上下両院合同会議で日本の首相(安倍晋三)が初めて演説する』

日米両国は18年ぶりに『日米防衛協力の指針』(ガイドライン)を改定すると決め、今月末には安倍晋三首相が米国を訪問して最終署名を行う予定になっている。
今回の安倍訪米の目玉はTPP(経済問題)であるとの説がマスコミでは有力だが、実は誰も報じないがガイドライン改定(軍事問題)の方がアメリカにとっても日本にとっても、より重要で影響も大きい。
米議会上院演説は1954年吉田茂首相、1957年岸信介首相が歓迎式典で演説。米議会下院で1961年池田勇人首相が歓迎式典で演説している。
今回安倍晋三首相の米議会演説は1961年6月22日の池田勇人首相以来54年ぶりで4回目だが、日本の首相による上下両院合同会議での演説は安倍首相が初めて。
安倍以前の3人の首相の米議会演説は全てがサンフランシスコ講和条約とか日米安保条約などのアメリカ軍の日本占領政策(アメリカの安全保障)に関連しているとの説が有力である。
吉田茂や岸信介は『いわずもがな』であり、日本では『所得倍増計画』や『貧乏人は麦を食え』で有名な池田隼人は佐藤栄作と並んで吉田学校の筆頭格。(吉田は外務官僚出身だが池田は大蔵官僚)池田が米下院で演説したのは新安保条約改定の翌年の1961年である。
ちなみに韓国の歴代大統領は過去に6回も両院合同会議で演説している。(同じ敗戦国でもドイツやイタリアの首相は同盟国首脳としてそれぞれ6回程度演説しているので、今まで日本が1回も無かった理由は『敗戦国だから』ではないらしい)
米議会の上下両院合同会議は、アメリカ大統領の一般教書演説や就任演説など特別な機会に開催されるもので、英語で一般的な演説や講演はスピーチ(speech)だが両院合同会議のような場所での著名で地位のある人が行う演説をアドレス(address)と呼んで区別している。
1941年12月8日アメリカ両院合同会議でルーズベルト大統領が日本海軍による真珠湾奇襲攻撃での『歴史的演説』により米議会は対日宣戦布告を決議している。
74年前のアメリカ側がルーズベルトなら、対する日本側は東条英機であり、そのアメリカとの戦争を閣議決定した東条内閣の重要閣僚であったのが岸信介だった。
大日本帝国敗北70周年の節目で、岸信介の孫にあたる安倍晋三は米議会で何を喋る心算なのだろうか。
今までの流れの延長なら『以前は独伊と組んで戦争したのが間違いで、これからは負けないようアメリカとだけ組んで戦争します』などといわないかと、今から心配である。

『日本にとって「吉」と出るか。それとも「凶」と出るか』

安倍首相は2012年12月の首相就任以来、第二次大戦に降伏日に2度と戦争をしないという宣誓を一切行なわない。
日本軍がアジア隣国に行なった暴力への謝罪も行なったことがない。
謝罪どころか権力を露骨に使ってマスコミをアンダーコントロールするばかりか、外国特派員の書いた記事にまで在外公館を使って外国の本社(編集部)に圧力をかけている始末。
日本軍の過去の歴史を隠蔽して自由勝手に書き換えているのは日本国内の検定教科書の出版会社だけでは無く、従軍慰安婦問題ではアメリカの教科書会社にまで圧力をかけている。
過去の歴史を、都合よく修正しようとしている極右国粋主義の姿勢を隠すどころか『呼びたければ右翼国粋主義者と呼んで下さい』とまで言い切っている度し難い確信犯である。
ところが、Sputnik(旧ロシアの声)のニュースは、『日本政府は第2次世界大戦時に隣国へ行なった攻撃に対し、「痛切な反省」を表した。岸田外相はこの表現が記載された外交青書を内閣閣議で読み上げた。』と報じている。
アメリカ両院合同会議のような晴れがましい場所での日本国首相として初めての公式なアドレス(address)を行うための方便として『痛切な反省』を新しく書き加えたとしたら何をかいわんや。
本当に2015年度版外交青書から新しく『痛切な反省』を書き加えたのであれば、安倍晋三など日本の今までの歴修正主義の、コペルニクス的な180度の修正であり誠に喜ばしい限りである。(ところが日本のマスコミは一切報道していない)
しかし、事あるごとに過去の日本の反省をことごとく自虐史観として頭から否定していた安倍晋三が、今回自分が米議会で演説させてもらう見返りに今までの極右愛国路線を180度修正して『痛切な反省』を口にするとしたらご都合主義も極まれりで、政治家以前に大人として少しは恥を知ってほしいものである。(180度の変更ではなく、ガッツ石松的な360度の変化だったりして)




『白井 聡の「永続敗戦論」にぴったりの安倍晋三の戦後レジームからの脱却』

アメリカのオバマ大統領による、靖国史観の日本の右翼政治家の安倍晋三や麻生太郎に対する嫌悪感や蔑視は誰の眼にも明らかなほど露骨な水準である。同盟国首脳としてまともに相手にしていない。
ところがオバマ大統領は二枚腰と言うか二枚舌というか表面的には笑顔で握手して相手を持ち上げる。
本当に嫌っているなら小沢一郎とか鳩山由紀夫を失脚させたように日本国内のマスコミや官僚組織を動員すれば何時でも簡単に首が取れるが、アメリカ(オバマ)は逆に政権が長続きするように応援しているのである。
アメリカ(オバマ)の政治的な矛盾の原因は至って簡単で、『日本は悪くない』(日本の正義)との靖国史観が『アメリカの正義』と真正面から衝突するとの判断は幾ら安倍晋三や麻生太郎が救いがたい低脳でも知っているのである。
(第二次世界大戦での『アメリカ軍の正義』と『日本軍の悪』とは一つのコインの裏表であり切り離せない)
戦後レジームの脱却などの歴史修正主義(靖国史観)がアメリカの逆鱗に触れることを知っているので、日本は悪くないとの『愛国心』の筈が、180度逆のアメリカに対する無制限の売国路線に転化する。
安倍晋三らの極右国粋主義(靖国史観)とは、実際の政治では売国的な底無しの対米従属に繋がっているのである。
オバマ大統領が人間として安倍を幾ら嫌っていても、アメリカの国益を優先すれば当然安倍晋三などの極右国粋主義政権が長続きしてくれることを黙認する。


『一回限りで終わった安倍晋三や自民党が強行した余りにも馬鹿げた記念祝賀行事』

サンフランシスコ講和条約が発効した63年前の1952年4月28日は、140万沖縄県民全員からは『屈辱の日』として記憶されている。
ところが何と、低級な歴史修正主義(靖国史観)の権化、安倍晋三によって日本人が祝うべき日本国の独立記念日であるかのごとく装って2年前に一回限りの前代未聞の記念祝賀会が開かれている。
安倍晋三や自民党ですが、嫌がる今上天皇まで無理やり列席させるとは呆れ果てて空いた口がふさがらない。
おふざけにしても趣味が悪すぎる。二級市民扱いされた沖縄県では怒りの声が湧き上がった。
63年前の4月28日が日本の独立した日だとの右翼の妄言ですが(沖縄県民は怒り心頭だが)政治的にみれば何とも愉快である。
本当に独立記念日なら4月28日以前は日本は植民地(自治領?)だった。普通なら、悲願の独立を果たしたなら国を挙げての大祝賀会なり大パレードなりの『歓喜の大騒ぎ』となります。
ところが、当時は何もなかった。
当時だけでなく今まで安倍晋三以外、何も無し。
我が日本国だけは、世界の例とは反対に国民の誰にも知れらずに、こっそりと独立していたのですから大笑い。
まあ、無理が通れば道理が引っ込むで、日本国は4年前に福島第一原発4号基が誰にも知られず無音で、こっそり大爆発する不思議の国である。
誰一人祝わない独立記念日もむべなるかな。
『なぜ、今まで半世紀以上も誰も祝わなかったのか』との、普通の大人なら当然浮かんでくる疑問が安倍晋三には少しも無いのですから不思議である。
まさに頭は空っぽで目は節穴で、何一つとして論理的に考えられないが自尊心ばかりは高くて威張りくさるピーピーひな鳥病、死に至る恐ろしい安倍晋三症候群である。
自分が沖縄県民を二級市民として侮辱している明確な事実が分からない。
日本側全権団全員が署名したサンフランシスコ講和条約(6年半の年季奉公あけ?)と、吉田茂全権一人が署名した安保条約(日本の身売り証文?)が二重構造になっている事実が分からない。
全ての原因は安倍晋三ら靖国派が日本の敗戦を否定することで日本の敗戦が永遠に継続していると言う白井 聡の『永続敗戦論』の論理の通りであり、まさに究極の喜劇(悲劇?)である。
何とも恐ろしい話ですが戦争の勝敗とは、選挙やスポーツの勝敗と同じで、『勝ったほうが正しい』とされ、次の戦争や選挙や競技試合が行われるまで覆ることはない。
安倍晋三のように『日本は悪くない』(日本の正義)を世界が認める為にはもう一度戦争をして勝つか、勝てないまでも五分五分に持ち込む以外には方法が無いのである。
これは選挙での勝敗や競技スポーツを連想すれば誰にでも理解出来るでしょう。時間が経ったから言って勝敗は有耶無耶にはならない。
(当選者や金メダリストなど勝者側と、敗者の関係は次の選挙や競技会まで微動だにしないのである)
白井聡は『永続敗戦論』でヘーゲルの『偉大な出来事は二度繰り返されることで意味を持つ。』(二回繰り返すことで、やっと人々には本当の意味が理解出来る)やマルクスの『歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として』を引用して、『日本は、敗北に終わった筈のあの戦争を戦い直すだろう』との、目もくらむような恐ろしすぎる予言を行っている。
(ただし、白井聡は『日本は戦争を戦い直すだろう』としながら、日本の右翼には再び対米戦争を起こすだけの『度胸がない』事実も同時に指摘している)

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