去る7月24日に、戸島歌舞伎衣裳の取材で愛媛県歴史文化博物館(西予市宇和町)へ参りました。戸島(とじま)は宇和島湾口(宇和島港から18㎞)に位置している。情報としては古いが、参考までに「SHIMADAS 1994」(発行;財団法人・日本離島センター)の紹介文を添付させていただいた。
館の「研究紀要(第22号、2017.3.24発行)〝宇和島市戸島の歌舞伎史料について・宮瀬温子氏〟」によると、戸島歌舞伎関係資料は戸島本浦自治会から平成18年に寄贈を受けている。その内の衣装(衣裳)は26点となっている。
今回紹介させていただくのは、刺繍付の小忌衣(おみごろも)と呼ばれる、エリマキトカゲのような大きな襟がついた、高貴な役どころが着用する豪快衣裳である。ただ、画像が小さくかつ背中だけで前面の画像が確認できていない。精細な画像や前面の刺繍の様子も、必ず実見したい。
今回は〝連鎖する古刺繍〟の一環として、この小忌衣と、これまでに実見してきた他地方の地歌舞伎衣裳や太鼓台の古刺繍等とを画像を通して、縷々比較してみた。下に例として取り上げた瀬戸内小豆島・小海(おみ)と、南予宇和海・戸島とは距離的にもかなり離れている。そして、このブログでも関連や酷似を指摘してきた他の多くの地方とも、戸島は遠隔の地にある。どのような繋がりを経て、かくも似通う豪華刺繍が広まっていったのか。太鼓台古刺繍との関連性を含め、大いなるロマンであり謎である。
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