最後の旅を始めよう

-黒の英雄譚・零-

3D映画『やさいのようせい N.Y.SALAD』・レポート

2010年03月19日 | ツレズレ日記
『やさいのようせい N.Y.SALAD』は、NHK教育で放送された5分アニメ作品。



本作品は、
FFのキャラ原画でもお馴染み、天野喜孝さんの画集「N.Y.SALAD」のアニメ化をコンセプトにしており、野菜をモチーフにした妖精達がニューヨークのとあるキッチンを舞台に「遊び」や「冒険」といった日常を描いたものです。


今回、この『やさいのようせい』が日本発の3D映画として、
劇場版『やさいのようせい N.Y.SALAD The Movie』の題名で上映される事となり、
観賞に行ってきました。


構成としては、
テレビ版の3話「妖精たちの目覚め」「モルドレイス」「はっぱのそり」が
プロローグとして上映され、
その後、映画オリジナルのストーリーが上映されます。
テレビ版のものを入れても全尺35分の短編映画と成っています。

個人的な所感としましては、
特殊な描写のトゥーンレンダーの描写のクオリティーに感心いたしました。
この作品の特徴の一つが、3DCGの描写が特殊なトゥーンレンダーによって
3DCGでありながら鉛筆で描いたような描線と、水彩画を思わせる彩色で、
手書きのあたたかみを表現した作風なのですが、
地面に落ちる影が鉛筆で塗った様な描写に成る等、その表現にはこだわりを感じました。
この手書き描写とS3Dの立体感とを同居させるのには相当苦労したのではないかと思います。
又、S3Dを、より効果的にみせる為に普段は殆んど白だけの背景も、
多量のオブジェクトなどで、いつもより格段に情報量が多く作りこまれていました。
そのあたりもS3Dを意識した造りを感じました。

しかし、
やはり本来の平面風を目指した手書き風トゥーンレンダーとS3Dの同居には難しい面もあるようで、違和感の在るシーン等も在りました。
ただ話題を作るためのS3Dではなく、S3Dで何を見せるかをもっと考えて作るべきであったのではと思います。
また、全体的な構成や物語の流れが間延びしたように感じられました。
従来の5分という全尺を、無理やり20分に伸ばしたような印象を受けます。
S3Dは従来の2Dよりも情報量が多い為、従来の5分のテンポでは早すぎる感じはあるのかも知れませんが、それにしても無駄なシーンやいやに長く感じるカットが多かったと思います。

映画ならではの、特別感を出す努力は多々見られましたが、
S3Dでの表現が100%活かされずに終わってしまったのが残念に感じました。
無理に、S3Dにこだわらず、テレビ本編のように尺が五分の作品を、
共通のテーマに絞ったシリーズとして四本作った方がより楽しめる作品に成ったのではないかと個人的には思います。

最後は批判的な流れに成ってしまいましたが、
S3Dのような新しい技術への挑戦は、評価に値すると思いますし、
劇場作品としてのクオリティーには十分、達したものに出来上がっていると思います。

以上、『やさいのようせい N.Y.SALAD The Movie』の観賞報告とさせていただきます。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする