俺は俳句では無いが、匂いで季節を感じる。
半世紀前だが大学入学の為に上京して、三軒茶屋の友人のアパートに転がり込んだ。
半年くらいは真面目に通ったが、夏休みが終わり後期には居るとアルバイトに精を出しサボる様になった。
三軒茶屋も未だ地下鉄も無く、我が生地と同じような雰囲気の住宅街だった。
夕方から夜に帰宅すると、多分風呂を薪で沸かす為の焦げた匂いだろう、何故か胸に沁みる。
お袋の実家は農家で秋に稲わらを、燃すのだ。我が家の実家付近でも風呂は薪が多かった。
季節は春や夏では駄目だ、秋の夕暮れ時にやや暗くなる日没時間に感じるのだ。
家が恋しく成り目頭が熱く成る事も有る、不思議だがホームシックだろう。
現在は落ち葉燃しや焚火が禁止され、火の燃える焦げた匂いは殆ど無い。風情が感じられず寂しい。