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眼から鱗の勉強会
東広島市高屋町にある仙石庭園は、市内在住の山名さんという病院長の方が個人で開園している石庭です。
全国の銘石・奇石・組石を回廊しつつ鑑賞でき、全体として庭園形式をとっています。岩石の種類や量の多さは他に類を見ない石庭です。
(庭園全容:ホームページhttp://senseki.org/about/index.html 「石の都、仙石庭園へようこそ」)
私は、この庭園のボランティアガイド組織の一員に入れていただいていて、今日はその勉強会に参加しました。 講師は、広島大学名誉教授の沖村雄二先生で、主に、園内散策による授業をしていただきました。
早春はめまぐるしく天気が変わる時期ですが、今日は暖かく穏やかな日和に恵まれて、ラッキーでした。
ここ高屋町は、標高が250mくらいの寒冷な地ですが、庭園には早くも白梅・紅梅が香しく咲いていて、小鳥たちがせわしく訪れていました。河津桜の開花も、もうすぐです。
ボランティアガイドの一員として、私に何かできることはないか、「そうだ、日頃愛犬ハリーとのアジリティーを楽しんでいて、競技会に参加するたびにそのコース図を描き残してランの反省・回想をしているので、その経験を活かして稚拙ながらも庭園マップを作ろう」と一念発起し、なんとか出来上がったのが見出し写真のマップです。出来栄えはいかがですか、ウーン、ちょっと素人ポイかな。
でも、公園の概要がよくわかるでしょう…自慢。 臆面もなく、これを引き下げて、ガイド勉強会に参加して皆さんに配布いたしました。恥知らず。
マップは、4枚構成です。最初の1枚目が全体概要図、2枚目が上の段の庭中のもみじ門内とその付近です。3枚目が下の段(奇岩・巨岩通りと東屋・ワニ池周辺)、4枚目が山門から奥ノ院となっています。各石に振ってある番号は、ガイド用説明マニュアル(非公開)の順番です。
(マップ2 上段の庭中のもみじ門内)
(マップ3 下段の庭)
(マップ4 山門から奥ノ院)
光栄なことに、沖村先生が園内散策授業で、私の作ったマップを使ってくださいました。
(授業開始)
今日の授業内容のうち、私が特に驚いたところを次に書いてみます。
まず、東屋付近にある2組の銘石テーブルセット(マップ3の中央左寄り)、北側のものが紅簾石です。これは山波川変成帯の変成岩で、鉄やマンガンを含むチャートです。磨かれた面が美しく石のカケラでもあれば、ブローチなどの装飾品になります。
(テーブルセット 1)
南側のテーブルセットは、こちらも美しい石で、同じ山波川変成帯の変成岩でも、元の石が泥岩という違いがあります。白い帯状、縮緬皺の文様は石英で、石英が最後まで溶け残って石の割れ目を埋めたことがわかります。点紋片岩とも言い、長石の白い点々が良く見えます。テーブルに加工してあるので、自然石の表面と研磨した表面の両方が見えて、岩石の特徴がよくわかります。
(テーブルセット 2)
マップ3に番号を付けてない石ですが、33不動滝、大和石の近くにワニ池護岸として配置した流紋岩の亀甲石がありますが、この亀甲は、「もみじ門の中」(マップ2)の11長野県産花崗岩の亀甲石とは風化の原因が全く違います。流紋岩質溶結凝灰岩の亀甲石は風化しやすい部分が選択的に風化した化学的風化で、それに対して、花崗岩の11亀甲石は冷涼な地で水分が凍結を繰り返してできた物理的風化によるものです。
(流紋岩質溶結凝灰岩の亀甲石)
マップ3「35蓬莱神仙島」にある石灰岩には、小さな生物の化石が見られるそうです。後で探してみようかな。
(石灰岩)
マップ4の47-2白観音石は、「三重の山」の文字の下側に実はもう一つ有りますが、これを近くでよく見るとセメントみたいな物質が付いています。この岩石は方解石なので柔らかく、ナイフで傷が付くそうです。また、雨水でカルシウムが溶けて、再度、乾燥して固まったものが、セメント状に付着しています。
(もうひとつの47-2白観音石 方解石)
(剥離するセメント質)
この付近、高屋町のマックスバリューと近畿大学の間の一軒家裏手に、「いつも気になる露頭があるので、教えてください。」と沖村先生にお願いしたところ、帰路に同行して立ち寄って、鑑定してくださいました。
(高屋町の気になる露頭)
先生に教えていただいたところによると、次のとおりです。
風化花崗岩の崖に、縦に流れる2本の太い筋は、花崗岩の割れ目にに貫入した細粒花崗岩の岩脈です。右側の岩脈は下側に断層の跡が認められます。 2本の太い岩脈だけでなく、よく見ると何本もの細い岩脈も走っています。
(細粒花崗岩の岩脈)
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