針の筵だった。ここに戻りたくないと、改めておもった。
わたしが非常識なのか それとも、根本的に考え方が違っていたのか どちらも、当たっているような気がする。幼いころの亡き祖母がしゃかりきになっていたのを思い出す。家、ご先祖さま 大事なのはわかるつもりだけど、こう何もかもを犠牲にしなければならないものだろうか 本家、分家 そう、終戦後だった。わたしが子供のころ あれから、半世紀以上たってるというのに 価値観も違ってきたと思う。
戻って来て、ホッとした。わたしの居場所は、やっぱ此処だぁ。亡き娘と、別のアパートだが療養中の息子もいる。
自分のアパートに辿り着いて、思わず娘の位牌へ言った。ちゃん、ただいまぁと。フフン、遺影になって、バツクにひそんでいたくせにぃ。そうよ、出かける時、いつも一緒だよねっ
行きの新幹線の中でさえ、向こうり上りに乗り換えたいと心底おもっていた