むあ
むかし、ある村に負の遺伝子をもつ一族がおりました。一族はながい年数をかけ、本家から分家へと次々枝分かれしていきました。
本家のばぁさまはこ先祖大事とし、血筋を絶やさぬためには我が子を養子に出すことさえ厭いませんでした。いとこ同士の結びつきも行われたりしていました。
そして、何十年も経ち、村は過疎化し、分家らはつぎつぎと暮しやすいところへ移っていきました。今では本家だけになってしまったのです。
子供のときから、わたしは何時もみんなの中で違和感をもっていました。何か、自分だけ、みんなと違う? うまく説明できないだけに、異人種のような気持ちでした。わたしの家族も特別で、偏見じゃなくて村の有力者みたいな目で見られていると思っていました。
大人になって離れて自分の家族を眺められるようになってから、わたしは気づきました。周りから、眉を顰められていたのだと。
それから、長い年月が経ち年寄りだけになった村内で年の順に死んでいきました。
肉体を脱ぎ捨て、たましいだけになった本家のばぁさん達が、新しく住むところとなったあの世で、しみじみ話していました。
いくら努力しても、成績があがらない。世間の常識がない云々
いろいろ言われ、みんなとうまく付き合えなかったけど自分は自分。みんなではなかつたんだと。