多聞月記

シルクドゥソレイユのドラリオンをきっかけに中国雑技、サーカス好きになったおっちゃんの月記

雑技と著作権

2018-08-26 17:25:57 | 杂技の雑記

2018年4月に雑技と著作権に関する裁判の報道が出ました。
報道が出た時点で中国雑技に関する公式Wechatページでも記事やそれに対するコメントも出ていて
チェックしてましたが、雑誌「杂技与魔术」でもこうやって紹介されていたので
一人の雑技ファンとして紹介したいと思います。
ことの発端は2017年に河北省のある民間雑技団が特番で演じた《俏花旦》という演目名の空竹(ディアボロ)の演技を行ったことです。
この演技が中国雑技団の《俏花旦_集体空竹》という演目と90%以上酷似した演目だったことで
中国雑技団が著作権の侵害を訴えました。
中国雑技団のこの《俏花旦_集体空竹》はモンテカルロサーカスフェスティバルなど国内外のサーカスフェスティバルを制したことがある演目ですし
この民間雑技団がその演目をコピーしたことは間違いないと思います。
ただここで議論が起きているのが
・空竹という中国の伝統芸で著作権を認めてしまっていいのか
ということです。
言うまでもなく空竹はいろんな雑技団、雑技芸人はもちろんのこと世界中のサーカス芸人が演じている演目です。
それをある特定の雑技団の権利にしてしまったら、多くの雑技団や芸人がそれを演じられずに
露頭に迷いかねないということです。
それに対して言われているのは、中国雑技団は空竹という演目について言ってるのではなく
衣装、音楽、振り付け、演技構成が酷似しすぎていることを問題にしているという話です。
まあどっちも言わんとしていることは分かりません。
実際にこの裁判の最終的な判決がどうなったのかはまだ情報が入ってませんが、
訴えられている雑技団側は賠償金の支払いに応じてもいいし、謝罪してもいいけど
今後このような権利化をしないで欲しいと言ってます。
この雑誌は雑技協会の人が書かれていてて、権利化と法の遵守を訴えています。
雑技団や雑技芸人の方々はどう考えられるんでしょうかね。

一人の雑技ファンとして、ただ中国人ではない日本人という部外者として意見を言うと
《権利化するならその演技を演じ伝承する責任を全うしてほしい》
ということです。
もちろん今回話題になっている《俏花旦_集体空竹》という演目は中国雑技団の中でも
主力の演目の1つとしている複数のチームで演じられる体制が構築されています。
ただ権利化してこの演目を独占するならこの状態を必ず続けてほしいと思います。
実は雑技の演目の著作権を取得するというのはシルクドゥソレイユファンの間でも
馴染みのある演目にも関わっているものがあります。
それがドラリオンのバレエオンライトとダブルトラピスです。
これらは战旗杂技团(フラッグサーカス)によって権利化されており
他の雑技団は許可なく演じることができません。
では、今世界でバレエオンライトはどうなっていますか?
もしも战旗杂技团が演じているなら文句はないのですが、やってないんです。
もうこの演目は現在世界のどこに行っても見られない演目になってしまっているんです。
このバレエオンライトはその演技を完成させるまでにも長い歳月を要した演目です。
そういった沢山の人々の努力の結晶として世の中に生まれた演目が、独占され、
その権利を持つ雑技団が演じなくなった結果世の中から消えたわけです。
今はまだ当時の芸人が若いですし、その気になれば再構築できると思いますが
50年も経てば下手すりゃ本当に幻の演目です。
こんなことになるぐらいならいっそどこかがコピーしてくれればって思っちゃうんですよね。
なので権利化する以上は演技を次世代に残していく覚悟をきっちりもってほしいと
一人の雑技ファンとして願います。
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初めての宝塚を男一人で観に行った話 《宝塚歌劇 花組公演 ミュージカル『メサイヤ ー異聞・天草四郎ー』 ショー・スペクタキュラー『BEAUTIFUL GARDEN ー百花繚乱ー』》

2018-08-12 19:12:54 | Weblog
長期休暇といえば中国で雑技!
な私なのですが、実は日本にいます。
1つは5月の広州の飛行機代がめちゃ高かったこと、もう一つはキュリオスへの期待
そしてキュリオスに伴って入るかもしれない予定あたりが理由なんですが
1つ目はともかく、残り2つはちょいと外れました。
が、でもだからこそできることってのがあるんですよね〜
その1つが地元の近くにありながら今まで一度も見たことがなかった宝塚です!
こう書いてますが、すごいと思いませんか?
宝塚ってただの地名なのに、宝塚って書くだけで多くの人が思い浮かべるのが同じ宝塚歌劇団なんです。
たしかに100年を超える歴史がありますが、それでも並大抵のことじゃないと思います。
私にとってはさらに専門外ですが、同じ舞台芸術として以前から非常に興味を持っていました。
①芸人を自分たちの学校で育てている
②ほぼそのメンバーだけでショーを作り上げ、複数の常設劇場を維持して公演を行っている
③養成機関である宝塚音楽学校の倍率は20倍を軽く超えると言われていて多くの少女が憧れ目指す世界
④そう思わせるショーを作っている
どれもすごいし、どれもすごい雑技団のシステムと似ているんですね。
肝心の③が雑技の場合は一部を除いて最近は非常に弱くなっています。。。。根幹なんですけどね〜
それだけにその根幹を支えている④がやはり気になるわけです。
今回観に行ったのはこちらの公演
宝塚歌劇 花組公演
ミュージカル『メサイヤ ー異聞・天草四郎ー』
ショー・スペクタキュラー『BEAUTIFUL GARDEN ー百花繚乱ー』

特になにかを狙ったかと言われると、ただ宝塚大劇場という点だけです。
これについてはまた後で書こうと思います。
なんせ、宝塚に関しては前知識が皆無なので、どの組がどうとか誰がどうとか関係ありません。
まずはチケットの入手。
以前、宝塚がすごい好きって方から当日券が出るって話を聞いていたので、迷わず当日券です。
現地に着いたのが7時ぐらいだったでしょうか。それでこんな感じです。

この列の向こうは少し曲がってるんで、先頭は見えてません。すごいです。
シルクドゥソレイユの当日券の列とはわけが違います。
キュリオスで朝の7時とかに行ったらたぶんただのアホです。
この人気っぷりにまず感心。お盆休みってことで多めなのか、むしろ里帰り季節で
少なめなのか、こんなもんなのかは分かりませんが、どうあれすごいです。
何よりこの人と人の間の隙を極限まで狭めた統率のとれた列!
私の次に来られた方も、女性でしたが、「えっそんなに私に近づいてもいいんですか?」
とか思わず言いそうになるぐらい絶妙に詰めます。100年の歴史は伊達じゃないっす。
ここから2時間ほど待つとロビー内に移動させてくれるんですが、もうここまできたら
分かってましたが、行進のごとく乱れない列の前進です。驚きません(笑)
9時半から当日券が売り出されます。私はトータルで見ると9時半の時点では真ん中ぐらいだったように思いますが
ちょうど目の前でB席が売り切れて、当日B席、立ち見席とA席、S席の数席でした。
よく分からないのでとりあえずセンターラインということでこちらを購入

1回 2浪 して 死に ました
という実際に2浪の私には笑えないぐらい覚えやすいぴったしな座席。さすが100年を超える歴史!

そこから劇場内の喫茶店でモーニングを取って、入場

いや、本当にゴージャスな作りです。特別な空間に来たって感じがこれだけでもしますね。

壁にはキャストさんかな。これも掲示の仕方がまたおしゃれじゃないですか〜

座席へ


第1部も第2部もめっちゃ見やすいいい席でした\(^o^)/
いや、マジでこの席で5500円ですよ。破格じゃないですか?いや、破格でしょう。
この辺りを可能にしてるのが先ほどの①と②が下支えしてるのかな〜なんて思います。
ちなみに2500円の当日B席だと

見切り席で見えないとかではなく、むしろ全体を綺麗に見渡せそうですし、単純に距離だけかな。
視力が1.5以上ある私にしてみれば、当日B席半端ねぇ〜です。

では肝心のショーの感想へ
ミュージカル『メサイヤ ー異聞・天草四郎ー』
ミュージカルを大人になってから生で見るのはおそらくテーマパーク以外では初めての経験で
どんなもんだろうとある意味半信半疑、ある意味期待と不安を持っていました。
が、ショーが始まったら圧倒されてました。
まず当たり前なんですけど、言葉が分かるってショーの世界に入りやすいですね(笑)
セリフがなくてもドラリオンやコルテオ、ZEDなどはすごい世界に入りやすかったんですが
実はそれ以降、なかなかどうして、、、シルクドゥソレイユのショーでそこでつまずくと
結構つらいんですよね。
その点、当たり前ですが、すんなりと世界に入っていけます。
そしてそこからです。みるみるうちにその世界の物語を体で感じてる私がいるんです。
ストーリー的にもすごい私好みっていうのもあったと思います。
テンポもいいし、時間なんて感じずにただその世界で起きることに感情を揺さぶられてました。
なんかね、男一人で行ってて流石に堪えましたけど、恥ずかしながら泣きそうでした。

最初の船のシーンはツッコミどころがあったんですけどね。
そんなひねくれもんの私を引き入れたんやから大したもんです。

ショー・スペクタキュラー『BEAUTIFUL GARDEN ー百花繚乱ー』
こちらは歌とダンスのショー。
いろんなショーの場面を花をテーマに集めて再編集したような感じでしょうかね。
こちらはまた違った魅力で劇場全体が盛り上がる感じです。
宝塚と聞いてイメージしそうな衣装というか定番というか。
拍手とか手拍子のタイミングとか掴めない部分も多かったですが、
そんな劇場のお客さんとステージを含めて楽しめました。

ミュージカルが1時間半ぐらいでショーが1時間ぐらい。合計2時間半ぐらいだったでしょうか。
正直、ここまでのものを見せてくれて5500円は破格です。
日本にはショーを見に行く文化が乏しいのではなく、ショーを見に行く文化がこうして
独占されてしまってるのか、だとすると恐ろしいな、、、なんて思ってしまうぐらいです。

一度は見ておこうと思ってた宝塚歌劇ですが、そう思った私は間違ってなかったし、
今回いろんなあてが外れた盆休みでしたが、それがまたこういう出会いにつながるっていう
私の天性の運の良さだけは本物だと実感しました。



ここまで書いてきましたが、最後にさきほど後でと書いたことを書きたいと思います。
実はこの宝塚大劇場と中国雑技とはちょっとした繋がりがあるんです。
1986年宁根福という雑技団の団長が日本を訪問した時に「100年の老舗」と呼ばれる歌劇の劇場が大阪にあるという話を聞き、この宝塚大劇場を訪問します。
(宝塚は大阪ちゃうんですけどね。まあこの辺りは大目に見ましょう)
宝塚に着いた彼は豪華で美しいショーの場面、装飾豊かな大劇場に魅了されます。
そして彼は思ったそうです。雑技には劇場はゆうに及ばず、このような練習場すらない。
彼は将来、必ずお金を貯めて大きな劇場を作ろうと一大決心をします。
そして2001年10月に完成したのがこちら

そうです。宁根福団長がどこの団長かと言うと、中国を代表する雑技団の一つだった
広州戦士雑技団の団長なんです。
宝塚大劇場と宝塚歌劇団による公演がなければ生まれなかった雑技の劇場。
過去形で書いたようにこの雑技団は去年解散しています。
が、今も広州市雑技団の第2劇場として広州にあります。

めっちゃでかくて全景が入りません(笑)
宝塚ファンの人がここを見てるとは全く思いませんが
もしもひょんなことで見られた方がおられたら
宝塚歌劇団が中国雑技に与えた影響がこんなところにあるんだということを
少し覚えて、そして宝塚がそれだけの存在なんだと誇りをより持ってもらえればと思います。
ちなみに広州戦士雑技団は何が有名かっていうと




雑技ショーの中で最も世界を魅了し、その歴史を変えたといわれる
雑技の白鳥の湖を生み出した雑技団です。写真だけでもなかなかすごいでしょ( ◠‿◠ )
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中国のあの味が神戸に!! 煎饼果子が神戸で食べられる日が来た〜〜〜〜\(^o^)/

2018-08-07 20:20:25 | Weblog

中国ではよく見かけるB級グルメ“煎饼果子”
でも日本ではっていうと、これだけ中華料理があるのになぜない???というぐらいない。
神戸には中華街ってのが一応ありますが
『中華街にろくな中華料理なし』
とはよく言われること。味がどうというより、どこもかしこも似たようなもんばかり。
煎饼果子は?烤串は?などなどいろんな人が言ってます。
が、
そんな中華ファンの希望をついに叶えてくれたお店が神戸に登場しました\(^o^)/

じゃ〜〜〜〜ん

場所は三宮駅から餃子で有名な満園を目指して歩いていたら、満園より先に出会えます。
めっちゃ分かりやすい場所に最高の中国のB級グルメが登場!
もしも私が三宮に住んでたらしょっちゅう買いに来ちゃいます。


この鉄板は中国からの特製らしいですよ〜


もう見てるだけでヨダレが出て来ますよ〜〜〜〜

そして念願の煎饼果子の完成〜
まさか、まさか日本、神戸でこれが食べられる日が来るとは!
ホンマに感謝感激の味わいです。
中華料理好きの人には是非食べに行って欲しいです。

ちなみに私のおすすめは

パリパリの揚げてるものが見えますか?
油脆って言うものなんですが、これを増やして、マヨネーズ抜きです。

マジで美味いっすよ〜
神戸に旅行に来て、中華でもって思ったら
中華街より断然こっちです!!
というかこの流れで少しは中華街も変わって欲しいと願ってしまうぐらい、
この煎饼果子の登場が嬉しいです。
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身体障害者による雑技チームの話

2018-08-04 18:24:11 | 杂技の雑記
中国には大小様々な雑技団や雑技チーム、そして個人で活躍する人もいます。
そんな中で今回少し紹介したのが身体障害者による身体障害者の雑技チームです。
この雑技チームを立ち上げたのがこちらの卢洪彬さん75歳

卢さんは15歳のころに村の雑技団とともに故郷を離れ、その後軍隊に入隊し
そこで様々な演技を披露してきました。そして復員した卢さんですが、その後脳梗塞に倒れ、
片手と片足が不自由になるという障害が残ってしまいます。
それでも雑技を演じる情熱を捨てきれなかった卢さんは
このような状態では一人の努力だけではどうしようもないと
障害者が自らの力で生活し、そして故郷の伝統芸を伝えるというのを目的に
身体障害者の雑技チームの結成を決意します。
そしてこの雑技チームのために、自分で様々な道具を作り上げるだけでなく
生活保護から捻出し衣装や太鼓などの道具を揃えます。
そして卢さんの村やその周辺の村々を巡って雑技やマジックの習得に興味がある
障害者を探し出し、2017年10月についに身体障害者による雑技チームを結成します。
現在団員は11名。毎日午後と夜に練習し、そして不定期で各地で公演も行なっています。
身体障害者ということで体がもともと強いわけではないので、暖かい日に外で雑技を練習して
寒い日は屋内でマジック練習をするなどの工夫も行なっています。
例えば、62歳の卢风华さん。この方はろう者で両親を幼い頃に亡くし、一人で社会に養われて
育ってきました。そんな卢风华さんを励まし、チームに誘いそして厳しい訓練を経た彼は
今では“钢筋缠脖”や“气断钢丝”といった演目に熟練しているそうです。
ちなみにこの演目はこんな感じの演技です
钢筋缠脖

气断钢丝

中国雑技団やいわゆる日本で名前を聞いてピンとくるような雑技団では
なかなか見られない演目です。

《障害者の人々が自立し、雑技を演じることで自分たちの生活を変え、村の生活を豊かにし、観客に楽しい時間を与えると同時に雑技を伝承する》
卢さんが目指したものが今まさに実際に進んでいます。
吴桥にもう一度行く機会があればこういう小さな雑技も訪ねる機会を作ってみたいです。
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