職場にいると家内からの突然のメール。行方不明となっていたネズミの忠太郎発見のニュースだ。数週間いや数カ月の間放置してあった義妹からのA4サイズ茶封筒を持ちあげると何と、そこにはネズミの遺体が。封筒の下に置かれた黒いバッグとに挟まれて忠太郎は静かに眠っていた。家内はネズミの死体に触れるのも気味が悪いので黒いバッグと一緒に、それを庭の草むらをめがけて放り投げたらしい。息子の報告では、まるで眠っているかのように穏やかなネズ顔で死んでいたそうである。苦しむことなく死んでいったのであれば毒殺した加害者の罪の意識も多少は軽減されるというものである。害獣などという価値観は所詮、人間たちの勝手な理屈にすぎない。野ネズミあるいは家ネズミとしての幸せなチュウ生を送る権利はあるのだから。同じネズミでもハムスターなどはペットとして可愛がられているだろう。野ネズミだけが田舎者というだけで嫌われなければならないとは全く理不尽なことである。ところで他に仲間はいなかったのだろうか。天井裏は未だ見ていない。いや怖くて見る勇気がないのかもしれない。