胡錦濤元国家主席を議会場から強制排除、現在No.2の李克強ら共青団一派を中枢から追い出し、習近平一極集中をより強化なものにした今回の中国共産党人事を端からのぞくにつけ、中国ももう長くは続かないなぁという印象を改めて強くした。辛亥革命から第一次国共合作にいたる中国近代史を、時の権力者に嫁いだ宋家3姉妹の視点から描いた本作は、映画としての出来はかなりお粗末だが歴史の勉強にはちょうどいい。
主人公は年の離れた孫文と駆け落ち婚した次女宋慶齢(マギー・チャン)。「革命いまだ半場なり」の遺言を残して病死した孫文に代わり共産主義革命を成し遂げようとするものの、三女美齢と政略結婚した国民党将軍蒋介石と激しく衝突、ソ連へ亡命してしまう。日本陸軍の中国北部侵攻が激化する中、蒋介石は共産党殲滅を優先させるが、あと一歩というところで張学良により拉致誘拐されてしまう。美齢の大活躍で釈放された蒋介石は、国共合作により日本軍と立ち向かうことを高らかに宣言するのだった....
と表向きの歴史は映画で述べられているとおりだが、孫文も宋家の父親もフリーメイソンの手先であったことは当然のごとく伏せられている。内戦あるところには必ず奴らの影があるわけで、明治維新しかり、直近のウクライナ侵攻しかりなのである。なぜあれほど毛嫌いしあっていた共産党と国民党が突如として手を組んだのか。国民党の猛攻によって全滅寸前だった中国共産党がなぜ急激に勢力を盛り返すことができたのか。2回にわたる国共合作が結局崩壊し蒋介石がなぜ台湾へ逃亡する羽目に陥ったのか。
共産党が裏で日本陸軍に国民党の情報をリークしていたとか、マダム蒋介石美齢がルーズベルトに国民党の支援をするよう働きかけたとかいう(映画ではあえて省略されている)ネタも、ネットで調べればすぐに手に入る瑣末情報に過ぎない。アメリカの武器商人たちが中国の内戦継続をのぞんだ、理由はただその一点につきると思うのである。そう考えるならば、今般の習近平による一連の動きは、フリーメイソンあらためネオコンとつながっていそうな国内勢力を(トランプの真似をして)排除し、国共内戦の悪夢を再び起こさせまいとする予防策のように思えるのだが、どうだろう。
宋家の三姉妹
監督 メイベル・チャン(1997年)
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