朝は雪で始まったが昼間は晴れた
私は一人作業場に籠り
ガラ紡機の糸作り作業
筒の回転にガラガラと音を立てて紡績をする
江戸時代に臥雲辰致というう人が発明したこの機械は
過去にあった道具に工夫を加えた発明とは異なり
原理から紡績を変えたメカニズムは素朴で
愛しささえ感じる味を出してくれる。
ガラガラ、のんびりとゆっくりと筒から糸が
紡ぎ上がり巻き取られる糸
急ぐでもなく休むこともなく
滝の水が落ちるに似た糸の流れ
糸の出来具合を見つめるほどに時を忘れてしまう
こだわりまくって作ったこの道具(機械と言うでなく私の道具)
”原理は不滅、この道具で道理を紡ぐ”
紡ぎ上がった糸は巻き取られて次の作品を生み出す
素朴が味のガラ紡の糸
均一でなく不揃いと柔らかさと暖かさの糸は
珍しいだけで終わるのでは無く、
私は孤高の臥雲辰致の魅力に惹かれた
ガラ紡機で紡いだ糸で作る作品の傍で
織りに執念を込めて飽きもせず
織りに糸に籠る一日であった。