【市長へ8千万円を請求するよう命じる 補助金巡り熊本・阿蘇市に】

　熊本県阿蘇市にある農事組合法人の牛舎建設で、国の補助金を減額した佐藤義興市長の行為は職務上の注意義務違反があったなどとして、市が法人に支払った損害賠償金など計約8600万円の支出が違法かどうか争われた住民訴訟の判決で、熊本地裁は6日、市長に約8300万円を請求するよう市に命じた。

品川英基裁判長は判決理由で「理由がないのにもかかわらず、補助金を減額した」と市長の過失を認め「市が市長に損害賠償を求めないのは違法だ」と指摘した。

 

判決によると、県が平成29年3月に交付決定した牛舎などの建設事業に絡む国の補助金約1億4900万円について、翌年に市長が法人分の約5千万円を減額。法人が市に損害賠償を求めて提訴し、地裁は令和3年5月の判決で、市の手続きに瑕疵（かし）を認め賠償を命じた。

佐藤市長は「残念。判決文を精査して今後の対応を検討する」とコメントを出した。

住民監査請求が棄却され、4年3月に提訴していた。