意思による楽観のための読書日記

蒼煌 黒川博行 ***

芸術院会員をめぐる会員選挙を通じて、日本画壇の身も蓋もない現実があらわにされている。京都画壇の日本画家の室生晃人と稲山健児がライバル。前回の選挙に敗れた室生は、名誉と地位を手に入れるため画商の殿村に策略を巡らし当選を頼み込む。白い巨塔でも似たような状況があったような。画の世界には画壇内の出世ランキングがあり、入選し、特選を受賞し、芸術院会員に成り、文化勲章を受章するといった明確なステップが明確になっている。この辺は政治家の当選3回組で副大臣、5回で大臣候補というのと同じですな。必然的に上のステップを目指して賄賂が繰り返されることになる。本書では芸術院会員という大臣ポストに匹敵する重要なポストをめぐって年取った画家が繰り広げる熾烈な運動を中心にストーリー展開。誰も死なないし、怪我もしないのでこのお話は好きです。
蒼煌 (文春文庫)

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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