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意思による楽観のための読書日記

とっぴんぱらりの風太郎(上)万城目学 ***

時代は豊臣の世から徳川時代に入ったばかり、忍者の里で知られる伊賀の町は信長に壊滅的な打撃を与えられたあと、生き残った者たちにより再興されようとしていた。修行のために柘植屋敷で鍛えられていた風太郎は、伊賀を追い出されて京都の町でブラブラしていた。そもそも忍者として育てられたものがブラブラできるはずもないのだが、風太郎はなぜそうなったのかを深く考えもせず、伊賀を去るときに与えられたお金であばら家を借りて過ごしていた。

そこにマカオ(天川)帰りだという黒弓がひょうたんを持って現れる。ひょうたんになんの関心もない風太郎は放っておこうとするが、産寧坂にあるひょうたんやに持っていけば仕事があると聞いて持参、そこでひょうたんを育てると小銭を稼げると言われて、またまたその気になる。

瓢箪から駒とはこのこと、ひょうたんは高台寺のねね様につながり、さらに秀吉の遺児である「ひさご様」に繋がって、風太郎はひさご様の護衛を命じられる。京都の町に出たひさご様は暴漢に襲われるが、風太郎、黒弓、そして伊賀から同じように追い出されて今はねね様に仕えるという常世の活躍で窮地を脱する。

その後、風太郎は大阪冬の陣に駆り出され、再びひさご様を目にすることになる。ここまでが上巻。時代の流れは、権力者の目から歴史として語られ残るものが多いので、教科書では関ヶ原の戦いから大阪冬の陣までは、徳川幕府の確立と豊臣の勢力争いとして教えられるが、庶民から見れば知らぬ間に天下の風向きが変わり、豊臣から徳川に切れ目なく移り変わっていく、歴史の移り変わりとはこうしたもの、という視点で物語は進む。

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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