意思による楽観のための読書日記

青眉抄 上村松園 ***

上村松園の生涯を描いた映画「序の舞」を見て以来、ちょっと松園づいている。松園の随筆をまとめたという本書、読んでみた。26歳で寡婦となり、2人の姉妹を親戚の力も借りずにひとりで茶葉屋の「ちきりや」商売で育て上げた母への強い尊敬と、自分も母と同じように生きる、という意志の表れを感じる。

女性画を描くに当たっての調査、それは大変なものであったようだ。このタイトルにもなっている青眉は京都で母となった女性が眉を剃る、そのまゆが青いことから呼ばれる名前から取られた。髷、女性の髷は江戸時代からそのバリエーションが増えているが、関東、関西、関西でも京阪神でそれぞれ呼び方が異なり、そのデザインも少しずつ異なるらしい。丸髷、島田、蝶々などをはじめとして、それらのバリエーションがその他の都市における呼び名の違いから数え切れないほどである。その中から、時代、描かれる女性の年齢、職業、場面などで描き分けるという。

京都の嫁入りの様子を描いた「花ざかり」は近所の女性の支度を手伝いながらスケッチしたものを題材に描いた。六条御息所を描いた「焔」はもとは「生霊」としたかったのを、あまりに直接的だというので、謡曲の先生の金剛巌につけてもらったのがそれ。

日本画の師匠、まずは鈴木松年、映画では手込めにされた相手だが、ここでは立派な先生として書かれている。もうひとりは幸野楳嶺、そしてもうひとりは竹内栖鳳。松園という雅号は鈴木松年の一文字と宇治の茶園からつけたと。

そして66歳の時に行った支那旅行。映画を見てから本書を読むと、松園役の名取裕子と鈴木松年役の佐藤慶の顔が思い浮かんで仕方がない。良いような悪いような、しかし読むきっかけが映画なのだから良いとする。


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