主人公が女性、作者も女性、そして読者のマジョリティが女性、こういう現象を3F現象というらしい。パトリシア・コーンウェルの検視官シリーズならば、翻訳者も女性なので4Fだと。日本では宮部みゆきもいる。
読んで感じるのはプロットが良くできていること。主人公の村野ミロと失踪した友人の宇佐川燿子の置かれた状況や宇佐川燿子が付き合っている外車ディーラーの成瀬、ヤナセではないが、やり手の車の営業でメルセデスを売っている感じがよく出ている。しかし成瀬は元東大生の全共闘の闘士であると。
物語の舞台は東京であり、女装する男と死体の写真がすきな倒錯趣味の人々がいっぱいいる街。もう一つの舞台がベルリン、ネオナチが徘徊し、金髪の東洋人娼婦が殺される街。ベルリンは燿子のレポートにしか登場しないが両都市の対比が読者にはよく分かる。
村野ミロと成瀬は一回だけ愛を交わしそうになるがそれは果たされない。読者としてはそれは許せない。村野ミロの父で元探偵の村野善三も少し登場するが、彼も物語の主人公になれるような濃いキャラを持っているようだ。実際、桐野夏生は「水の眠り 灰の夢」という村善の活躍を描いた小説を書いている。
3F,4Fミステリーはこれからも新たな境地を開いていくのだろうか。
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