中国でみられる反日運動の根底には何があるのか、それを2003-2005年に起こった半日の動きの裏側から描いたドキュメンタリー。サッカーアジアカップ決勝での騒動、西北大学での日本人留学生による寸劇から発生した日本人攻撃、尖閣列島に強制上陸した七勇士の話、香港メディアによる反日キャンペーン、日本首相による靖国神社訪問こうした動きからいつも発生する反日運動の本質は、人民の政府への反発であるという。もちろん反日感情はあり、大問題なのだが中国政府にとっての本当の大問題は、今までの共産党一党支配にたいする人民による反発なのだと指摘。誰があおっているのかは実際にはわからないとしながらも、一度騒動が起きてしまえば政府もこれを抑えられない。事前に押さえ込むこと、これが反日のパワーを反政府に向かわしているともいう。中国と日本は隣国、反目の連続からは良いことは生まれない。今後、中国では公害問題が必ず現れ、日本企業はその矢面に立つだろうと予想、そのときでも日本は逃げることなく、中国に民主的なプロセスと表現の自由を保障し、人権の保護が重要だと示すことが重要だという。中国は未熟な国なのか、ここまで面倒を見なければ発展できない人たちなのか、それは私にはわからない。 苛立つ中国 (文春文庫) 読書日記 ブログランキングへ