まずは眼、無脊椎動物では水晶体眼と複眼に進化した。水晶体眼は散在性視覚器が集約されて眼点となり、杯状眼から窩状眼そして水晶体眼になった。散在状眼は光の有無が分かり、明暗視ができるのが眼点、光の方向が分かるのが杯状眼、物の形がわかるのが窩状眼、そして多くの光を取り入れ色や動きまで捉えられるのが水晶体眼である。複眼はカンブリア紀から存在し、動きを捉えるのに最適で昆虫で発達した。無脊椎動物の眼は表皮から作られたのに対し、脊椎動物では脳が発達して作られた。できたのは水晶体眼であるが、網膜、角膜、まぶたなどをもち複雑な形態である。光があるから発達したのが視覚器である。
味覚には甘み、酸味、塩味、苦味に加えてうま味があると言われる。辛味は味覚ではなく痛覚であるという。味覚を感じる条件は水溶性、5つの味覚に作用すること、これ以外は味として感じられない。辛味が痛覚であるように嗅覚と痛覚は味覚に作用する。
においを感じるのが嗅覚、においとなる条件は、揮発性、水溶性、たえず動くこと、においの受容体に作用することである。においの分類は色の3原色のようにはできていない。匂いに似た感覚にフェロモンがある。これを感じる器官が鋤鼻器、両生類、爬虫類、哺乳類でも持つものがあるが円口類、魚類、鳥類は持たない。
哺乳類の耳は魚類のエラから発達した。エラの一つが中耳となり、鼓膜の外側に外耳が発達してきた。両生類、爬虫類、鳥類には内耳とあぶみ骨に接合した鼓膜があるだけであるが、哺乳類ではあぶみ骨、キヌタ骨、ツチ骨が鼓膜につながり、その外側に外耳が形成されている。中耳は後からできた部所であり、両生類、魚類では水を通した部分、哺乳類ではホコリが溜まって中耳炎になる、という欠点をもっている。
体性感覚には皮膚感覚や固有感覚がある。皮膚感覚には触覚、温覚、冷覚、痛覚があり、姿勢の維持や体を動かす時の感覚が固有感覚である。
進化は逆には戻らない、という原則がある。目が退化した動物の目はそこから再進化して発達することはない。陸上動物だったクジラの祖先は、敵の少ない海中を選んだので、陸上動物が発達させた肺の仕組みをエラの仕組みに戻すことはない。そのため、1時間に一度空気を吸うために水上に顔を出すのが鯨、このために普段は深海に住んでいる鯨に人間でも出会うことができる。進化は環境変化に応じて身体とその器官を変化させることであるが、その際使うのは既存の器官であり、手近なところにある他目的の器官を流用して作り変えるという。一度やった仕事は元には戻さないともいい、進化はお父さんの日曜大工並みということか。
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