意思による楽観のための読書日記

凜冽の宙 幸田真音 ***

幸田さんの男女関係の設定は無理無理ではないか。外資系証券会社の日本支社長に抜擢された坂木、そして元部下で今は投資顧問会社を経営する古樫、その二人に共通する相手女性絢乃。綾乃は金融界では知らないものはいない大物の娘、その綾乃と昔、不倫関係にあった坂木、今でも綾乃に未練がある。その綾乃を古樫に紹介したのは坂木自身であり、悪徳な心を持つ古樫に綾乃は惹かれて結婚したのだ。家庭を持つ坂木だが夫婦関係はうまくいっていない。古樫と綾乃も破局を迎えている。これが物語の背景をなす男女関係。物語では日本の企業、特に不良債権処理に頭を悩ませる金融界の中小企業を手玉にとるように取引する古樫、同じ穴の狢でありながら一抹の不安を抱きながらもビジネスを進める坂木、結局どちらも当局の手に落ちるのだが、物語の設定も誇張が効き過ぎた表現とアレンジメントで鼻につく場面も多い。強欲ウォール街の資本主義の行き過ぎたお金本意主義が批判される今、この物語の多くのプロセスは予定調和的結論を想像させる。出張のお供用のお話かと思う。
凛冽の宙 (小学館文庫)

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