「流転の海」は20年以上前から読んできた大河小説、宮本輝の両親と自分自身をモデルにした一代記である。その流転の海が完結したという報道があり、早速図書館に予約を入れた所、、待ち行列7番目とのこと、読み始める時期を逆算して第6部あたりから読み直すことにした。
第一巻の始まりは1947年、主人公の松坂熊吾は50歳にして初めての子供誕生、母は房江、生まれたのは宮本輝がモデルの長男伸仁である。熊吾は口八丁手八丁のやりてで女好き、面倒見が良くて人情家、手も早くて喧嘩っ早い。たった一人の子供伸仁を自分が育て上げることを決意する。物語の最初の時点では戦前に成功した事業の結果として六甲道の高級住宅街に邸宅を構え大阪に多くの不動産を所有していたが、その後事業に失敗、すべてを捨てて故郷の南伊予に帰り、その後富山に家族を呼んで暮らすが生活が苦しく、泣く泣く伸仁を大阪の妹に預けることになる。その後、大阪で裸一貫から再び事業を立て直すことになる。第6部は1959年4月から始まる。登場人物が多いので、図にしてまとめておく。
世の中が皇太子ご成婚で賑わいたち、テレビや自動車を買う人が増えてきて、戦後の復興は経済発展へと進みつつある。伸仁は中学生になり、熊吾は事業の立て直しのキッカケとして、知人の柳田からモータープールの管理人の仕事をもらい、住まいも提供されていた。旧友の周栄文から託された娘の麻衣子を預けていた城崎のヨネが亡くなった。24歳の麻衣子は城崎の料理店を任されムメというばあさんの面倒も見ることになる。熊吾は麻衣子の行く末が心配だが、仕事があるので大阪を離れられない。麻衣子はその後地元の妻子持ちの町会議員の子供を生むことになり、口止め料の手切れ金を受け取り、子供を育てることになる。
熊吾はモータープールの仕事を順調にこなし、柳田の信頼も獲得して、自分で中古車販売店「ハゴロモ」を経営するようになる。体が弱かった伸仁も医師から処方された栄養剤により徐々に成長、丈夫で健康な少年へと成長していく。世の中は安保闘争で樺美智子さんが死亡するという報道もあり、経済成長と変化が続く。第6巻はここまで。