意思による楽観のための読書日記

話を聞かない男、地図が読めない女 アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ ***

話題になった本なので読んだ方も多いと思うがあらためて読んでも面白い。要するに人類誕生以来、狩猟で食べ物を得る役割の男と子育てをする女という役割が変化してきたのはほんの最近の100年、それまではずーーーっと男女の役割は固定的だった。立体的認識力に優れる男性は獲物や敵との位置関係に敏感、しかし人との関係には鈍感。言葉をよく話せるのは圧倒的に女性、女性に車のナビゲーターを任せるのは迷う元、男性のカウンセラーや外国語教師も失敗の元である。外国語の教師は7-8割が女性である。

男は一度に一つずつしかできないが女は同時にいくつものことができる。新聞を読んでいる男に声をかけても返事をしないのは集中しているから、というより読んでいる最中だから。歯磨きだってそれに集中して他のことをできない、これを女は理解できないので、新聞ばかり読んでいて返事もしない男をなじる、これは間違いなのだ。働く女の74%、専業主婦の98%がパートナーの男性に対する不満は一日の終わりに話をしてくれないことだと言う。

このあたりの話は、黒川伊保子さんの”男性脳と女性脳”の理論と同じような主張である。元富士通の人工知能エンジニアの女性、黒川さん。女性脳は二次元面型認識が得意でおもて面をなめるように観察できる、一方、男性脳は奥行きを計算し空間と広さ、密度を把握できる三次元点型認識。なので、妻から見ると夫とは「冷蔵庫を探して頼んだものは見つけないのに、賞味期限切れの食品を奥の方から見つけ出すむかつく生き物」。女性は「感じたことを瞬時に言葉にする天才で、経緯を話すことが得意、結論は苦手。顔色を見て夫や子供の嘘は見逃しません」。また女性脳はプロセス重視で「3分はなしを聞いて問題を解決してくれる男より、解決策はなくても3時間話しを聞いてくれる男に好感度高し」。

黒川さんによると、そもそもフェロモンは自分の免疫型をニオイに乗せて運ぶものであり、似通った免疫型同士がつがうと絶滅の危険性が増すので、異なる免疫型とつがうための道具だそうで、25歳の女性は好みの異性のフェロモンは数十メートル離れていても感じられるとか。夫婦お互いにむかつくことが多いのは、異なるタイプ同士が結婚するケースが多いためで極めて当たり前である、ということ。また、男性的脳に対して有効な「ハングリー精神に訴える」「日本一を目指す」というキャッチフレーズも女性的脳に対してはあまりアピールできない。女が戦うのは満ち足りた幸福を守るとき、つまり、褒めてもらいおいしいものを食べると満ち足りた気分になり明日への活力が出る、というもの。

黒川さんのマーケティング論、「機能スペックやコストパフォーマンス、世界初、最大容量、最速、プロ仕様、軍用」などのキーワードに弱い男性脳に対し、女性脳は「あなたのために用意、30日間熟成、クレオパトラも愛した」など五感に訴える表現に弱い。最近の例として発毛剤「リアップ」を取り上げ、男性向けには「日本で初めての男性発毛剤」「ダイレクトOTCとして承認を受けた・・・」、女性向け「リアップレディ」には、「あの日の私、指先にボリューム」という風、実は成分は同じだとか。そう言えば再春館製薬のCMもプロセス重視だし、やずやのCMも物語である。 

会社での会議の進め方において、男性的脳だと「会議の目的を決めたがる」「正しいことの定義」「客観的数値で権威付け、正しさの証明をしたがる」「合意が得意で決めたルールは必死で守ろうとする」。女性的脳からすれば、このような発想は「愚直でにぶちん」。「直感でどうすればいいかをわしづかみ、経緯とプロセスが重要」しかし、合議は苦手で話しの分岐が多いため、男性的脳からすれば「タダのおしゃべり」。男女比率は7:3もしくは3:7が良いそうで、半分ずつだとモメすぎて良い結果とならないとか。

本当にこういうことが理解できていれば男女間の誤解はなくなるはずだが、実行できるかどうかはわからないのだ。
話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く
恋愛脳―男心と女心は、なぜこうもすれ違うのか (新潮文庫)
夫婦脳―夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか (新潮文庫)

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