デブリとは破片やかけらを意味するフランス語です。東京電力福島第1原発事故で溶け落ちた核燃料デブリとして広く知られるようになりました。
その試験的取り出しが当初の計画から3年遅れで始まりました。2号機の原子炉格納容器の底部にたまったデブリのうち、小石状のデブリを遠隔操作の装置で採取するというものですが、足踏みしています。
採取用の装置を格納容器内に押し込むのに使うパイプの並び順を間違え、3週間近く作業が中断。さらに、採取するデブリを確認するため装置の先端にある2台のカメラから映像が送れないトラブルが発生。原因の特定に至らず、先月来中断が続いています。
燃料デブリは極めて高い放射線を出しています。2019年の2号機の調査で、格納容器底部近くで毎時7・6シーベルトが測定されています。人が1時間とどまれば、死に至るレベルです。
作業は高線量下です。そのため作業員の被ばく線量を考慮して作業時間が抑えられ、取り出すデブリも最大3グラムにして、放射線量が基準を超えれば格納容器に戻す計画です。試験的取り出しは、少量のデブリの分析で今後の本格的な取り出しにつなげるというもの。しかし、事故で溶け落ちた核燃料デブリは1~3号機で計880トンと推定されています。
今回の作業を知るにつけ、道のりの困難さは想像を超えます。事故から13年半。原発事故の現実を直視するなら、最大限活用とか新増設などと原発回帰を平然と唱える自民党政治はあまりに無責任です。