日本共産党の小池晃書記局長は20日のNHK「日曜討論」に出演し、総選挙の争点について9党幹部と討論しました。
裏金事件に関わって政治の信頼回復は
自民党に組織的犯罪の認識がない
企業・団体献金全面禁止すべきだ
はじめに、自民党の裏金事件に関わって「政治の信頼回復」が議論になりました。
小池氏は「自民党は新たな裏金疑惑が次々に発覚する中でも再調査をしない。(自民・森山裕幹事長は)選挙が終わったらみそぎがすんだと言わんばかりに裏金議員を追加公認、役職にも付けるとまで言っている。自民党総ぐるみの組織的な犯罪だという認識がないのではないか」と厳しく批判しました。
その上で、諸悪の根源は企業・団体献金だと指摘し、「見返りを期待する企業・団体献金の本質は、政治をゆがめる賄賂性にある。パーティー券購入も含め企業・団体献金は全面禁止すべきだ」と主張。「金権腐敗政治の根を絶たなければ政治の信頼は回復しない。自民党にはそれができないのだから、企業・団体献金廃止を訴え、自ら一切受け取ってない共産党の躍進で汚れた政治の大掃除をしようと訴えていきたい」と述べました。
一方で森山氏は「今まで党としても一定の調査をしてきた」と真相解明のための再調査を否定。立憲民主党の小川淳也幹事長が「(早期解散は)裏金問題の幕引きを図るためだ」と追及するも、森山氏は「(解散は)今が一番適切な時期だった。政治資金の問題をどうこうという考えは全くない」と強弁しました。
賃上げや税制のあり方は
中小企業への直接支援が必要
大企業の内部留保に時限的課税を
続いて経済政策を巡り、賃上げや税制のあり方をどう見直すかが問われました。
小池氏は「日本が成長してこなかったのは賃金が上がらなかったことと個人消費が伸びなかったからだ」と指摘。経済を立て直すためには、賃上げのための中小企業への直接支援が必要で、具体的には社会保険料の事業主負担の減免などが最も効果的であること、その財源は膨らんだ大企業の内部留保への時限的な課税でつくれることを強調しました。
さらに、消費税の導入以来の35年間で消費税収は累計で539兆円になる一方で、法人税と所得税の減収は613兆円だと指摘し、「結局、消費税は法人税・所得税の減収分の穴埋めに使われた。こうした税制を見直さなければ、個人消費を伸ばすことはできない」と主張しました。
エネルギー政策
原発が再エネ普及の最大の障壁に
再稼働に反対し原発ゼロ訴える
エネルギー政策については各党が、「原発は再稼働を目指す」(森山氏)、「再稼働自体は認めていかなければならない」(公明・西田実仁幹事長)などと主張。また、日本維新の会の藤田文武幹事長が「AIのデータセンターをつくれば、ものすごく電力を食う」と述べたことに呼応し、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が「10年間で電力需要は15倍に増えるとも言われている。再エネと原発(両方を)やってもまだ足りない」などと発言しました。
これに対し、小池氏は、国連がデータセンターの省エネ対策・再エネ活用を求めていることや、欧州連合(EU)が将来的にはデータセンターの電力需要が減少していく可能性を示していることを紹介。また、高コストの原発を稼働させることで、再エネの出力抑制が行われる事態になっていると告発し、「原発が再エネ普及の最大の障壁になっている」と強調し、原発ゼロを訴えました。
若い世代への支援・女性活躍
世代間対立生む議論は間違い
大軍拡と子育て支援は両立せず
若い世代への支援や女性活躍についても議論に。小池氏は、教育費などの経済的負担の軽減、大学の学費値上げに断固反対し、値下げを主張。子育て世代に重くのしかかる消費税は減税、賃上げと一体に労働時間を短縮し、「自由に使える時間」を増やすなどの政策を提案しました。
各党が若者と現役世代の負担軽減をそろって主張する中、藤田氏は「若者の負担を増やして高齢者にお金を配る構造に切り込むべきだ」などと発言。小池氏は「高齢者の社会保障を削減することで現役世代支援の財源にしようという議論があるが、高齢者の負担が増えれば家族である現役世代の負担になり、介護離職も進む。世代間の対立を生む議論は間違っている」と批判しました。
その上で、子ども・子育て支援の財源がなぜ社会保障の枠内だけになるのかと問いかけ、「政府は『それ以外は、防衛力強化に使うから』と答弁した。やっぱり大軍拡と子育て支援は両立しない。財源が必要だというなら、5年間で43兆円の大軍拡はやめるべきだ」と主張しました。
選択的夫婦別姓については、「家族のあり方、あるいは子どもの氏の問題に留意し、丁寧に議論していく」(森山氏)、「賛成派も反対派もイデオロギー的な主張をしている」(藤田氏)などの発言が。小池氏は「イデオロギーの問題と言うが、経団連が選択的夫婦別姓の実現を求めている。大きな方向で一致がつくられている。いますぐ実現できる」と強調しました。
安全保障
平和構想推進「外交ビジョン」紹介
軍拡増税反対の1票を共産党に
安全保障の問題では、自公が軍事力強化を主張する中、「サイバー防御に関する法整備を進める必要がある」(藤田氏)、「防衛産業の育成強化、防衛装備庁の充実が重要」(榛葉氏)など軍事一辺倒の発言が相次ぎました。
小池氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)と協力して戦争の心配のない東アジアをつくる平和構想を推進する党の「外交ビジョン」を紹介し、「中国の覇権主義は厳しく批判すべきだが、対中包囲網をつくるだけの対応でいいのか。ASEANと力を合わせて中国なども包摂した平和の枠組みをつくる外交に本腰を入れるべきだ」と主張。石破茂首相が軍拡増税の時期や額を明言していないことを厳しく批判し、「総選挙は、軍拡増税反対の1票を共産党にと訴えてたたかい抜く」と決意を述べました。