Wee09で、KCのQBであるMatt Mooreが勝利を飾りました。Patrick Mahomesがひざのけがで休んでいる間の先発を任され、2試合目でKCでのうれしい初勝利です。
MIN@KCはシーソーゲームで、Tyreek HillのスーパーキャッチとHarrison Butkerの50ヤード越えのFGが見どころでした。二人をFantasyのチームで先発させていた筆者にも、非常にうれしい結果でした。
さてこの試合中に、米国の中継でも紹介していましたが、Mooreは2018年はどのチームとも契約していませんでした。そして2019年にMIAのスカウトとして活動し、カリフォルニア州にあるHart High Schoolという高校でフットボール部のquarterback advisorをしていたとのこと(高校での様子は、こちらに記事がありますのでご覧ください)。
つまりMooreのNFLキャリアはいったん途切れていたわけですが、いろんな因縁があってKCと契約していました。なんか数年後に映画になりそうですね。
MooreをNFLに呼び戻すきっかけになったのは、KCの控えQBであるChad Henneがpreseason gameで足首を骨折したことです。Mahomesがいくら優秀なQBでも、もしもの場合に備えて控えのQBは、一人以上は試合ごとにスタンバイしていなくてはなりません。そしてその役割を担ったのがMooreだったわけです。
ただこのときのMoore復帰はあまり評判が良いものではありませんでした。契約のニュースが流れたのは、プレシーズンゲームが進み、各チームのRosterの絞り込みが終わりかけた8月26日のことでした(今シーズンのRosterカットについてはここに書きました)。9月9日に開幕日を控えているKCとしては、ほかのチームからこぼれてくるQBを8月末のRosterカットの日まで待ってはいられない状況だったのでしょう。Mooreを復帰させた背景には、こうした背景があったはずです。
Mooreの出番は意外と早く回ってきました。Week07のDEN相手にMahomesがQB Sneakを仕掛け、膝蓋(しつがい)骨を脱臼したのです。控えとして出場したMooreは、この試合は逃げ切りに貢献し、Week08の@GBでもあわやGBに逆転勝ちするかもという高いパフォーマンスを見せました。そしてWeek09のMIN戦では見事なパス回しを見せました。
実はMooreを現役復帰させるきっかけとなったHenneは、MooreとMIA時代にもチームメートでした。この控えQBとしての歴史が長い二人の、キャリアがどう交錯したのかを表にまとめてみました(WikipediaとかPro Football Reference.comとか、NFLカラー写真名鑑などを参考に書いています)。なお、控えQBの遍歴を書くのは筆者の趣味のようなもので、以前はMcCown兄弟やRyan Fitzpatrickについても書いています。
年 | 出来事 | Matt Moore | Chad Henne | ||
---|---|---|---|---|---|
2007 | CAR | ドラフト外FAでDALに入団、CARに移籍しVinny Testaverde、David Carrに次ぐ3番手として3試合に先発(2勝)。チームにはJake Delhommeも在籍 | - | ||
2008 | CAR | PITとのpreseason gameで腓骨骨折してIR入り。この年はDelhommeが全試合先発 | MIA | 2巡目全体57位でMIAに指名される。Chad Penningtonの控えとして3試合に出場(先発はなし) | |
2009 | CAR | Delhommeの控えとして5試合に先発(4勝)。チームにはJosh McCownも在籍 | MIA | Penningtonの控えとして開幕を迎えるも、3週目のPenningtonの負傷を救援し、残りの13試合(7勝)に先発 | |
2010 | CAR | Jimmy Clausenの控えとして5試合に先発(1勝)。肩を負傷し、IR入りしてシーズン終了。Brian St. Pierreも1試合先発 | MIA | 先発を任され、14試合(6勝)に先発。不振と怪我などでTyler ThigpenとPenningtonが1試合ずつ先発 | |
2011 | CARにCam Newton入団 | MIA | Chad Henneの控えとしてMIAに移籍。4試合目にHenneを救援、残り12試合に先発(6勝)。控えはJ.P. Losman | MIA | 先発を任されるが4週目に肩を負傷し、IR入り。シーズン終了後に解雇される |
2012 | MIAにRyan Tannehill入団 | MIA | Tannehillの控え(2試合出場) | JAX | Blaine Gabbertの控え。11週目のGabbert負傷を救援し、6試合で先発(1勝) |
2013 | MIA | Tannehillの控え(1試合出場) | JAX | 開幕戦はGabbertが先発だったが救援。結局13試合に先発し4勝 | |
2014 | JAXにBlake Bortles入団 | MIA | Tannehillの控え(2試合出場) | JAX | 開幕戦は先発だが3試合目途中にBotlesの救援を受け、そのまま控えに |
2015 | MIA | Tannehillの控え(1試合出場) | JAX | Bortlesの控え(出場せず) | |
2016 | MIA | Tannehillの控え。14週目に救援。残り3試合に先発し、チームをPlayOffに導く。WildcordのPIT戦も先発(敗退) | JAX | Bortlesの控え(1試合出場も、パス投げず) | |
2017 | MIA | Jay Cutlerの控え。7週目に負傷したCutlerを救援。8週目と12週目も先発。控えはDavid Fales(2試合に出場) | JAX | Bortlesの控え(2試合出場も、パス2回のみ) | |
2018 | MIAにBlock Oswiler入団 | - | 2018年は契約なし | KC | Patrick Mahomesの控えとして入団し1試合出場でパス3回 |
2019 | KC | 8月にHenneの負傷を受け、Patrick Mahomesの控えとしてKCに入団。7週目にMahomesの負傷を救援し、8週目と9週目に先発(1勝)。8週目の控えはKyle Shurmur | KC | 9月にIR入りし、IRを脱した9週目はMooreの控え |
2007年にドラフト外でCARに入団していたMooreは、チームの事情で控えながらも何度か先発をしていました(Jake Delhommeの控えだった時期が長かったようです)。
そしてCARには2011年のドラフトでCam Newtonが入団します。その年にドラフト全体1位をCARが獲得した時点で、Mooreは悟ったのでしょう。新天地を求め、Henneが先発を任されそうなMIAに移籍します。
開幕の先発QBの座はHenneが得たようですが、4週目に肩を故障。控えだったMooreが先発の座を奪います。そしてHenneはそのシーズン終了後に解雇されます(上の表の赤字の年です)。
ところがMooreの先発QBの座も長くはなく、2012年にMIAは1巡目全体8位でRyan Tannehillを指名します。Tannehillは頑丈なQBで、2012年シーズンから16年シーズンの終盤場でずっと先発します。Mooreにチャンスが回ってきたのは2016年14週目。Tannehillが左足のMCLとACLの両方を断裂するという大けがを負い、この試合で救援に立ちます。
この年に好調だったMIAは、結局Playoffに進出するわけですが、その試合でもMooreが先発しました。PITとのWildCardではいいところなく敗れましたが、Mooreにとっては初の晴れ舞台だったといえるでしょう。
しかしこの試合のパフォーマンスがあまり評価されなかったのか(筆者はこの試合を見た記憶がありますが、あまりパフォーマンスは良くなかった)、Tannehill全休を受けてチームは、CHIで引退したはずのJay Cutlerを獲得し先発とします。
その年のMooreはCutler故障を受け、何試合かで救援したり先発したりします。しかし、2018年はBlock OswilerがTannehillの控えとなったこともあり、契約に至りませんでした。
一方のHenneはMIAを離れJAXに移籍し、Blaine Gabbertと先発争奪戦を繰り広げますが、2014年のドラフト1巡目全体3位で指名されたBlake Bortlesに先発の座を奪われます。Henneは2018年にはKCに移籍し、Mahomesの控えとなって2019年シーズンを迎えていました。
こうして考えると、Henneは一度ならず二度までも自分の立場をMooreに奪われたことになります。プロフェッショナルですから競争はつきものですし、そんな因縁を考えていたら控えQBなんてやっていられません。今回出てきた、TannehillもBortlesも1巡目全体1桁での指名ながら、2019年シーズンは控えQBからのスタートです(TannehillはMarcus Mariotaから先発QBの座を奪いましたが)。
こうして考えると、Kyler Murrayのように全体1位で指名されるエリートでなくても、長年NFLの選手として生きる道があるのだなあと感じました。
最後に、Week08のKC@GBはMooreの控えはkyle Shurmur(NYGのHC、Pat Shumurの息子)が務めていました。HenneがIRから復帰したことで解雇されたようですが、kyleはまた別のチームのQBとして、我々の前に現れるかもしれません。そんな未来に期待して、今日はおしまい。
月曜日の記事の追記です。
昨日の仕事中に閃いたのですが、この「最初の2試合に出場できない表向きのBackup」ってChad Kellyのことだったんですね。
そしてChad Kellyですが、Jim Kellyの甥(弟の息子)であったり、2017年ドラフトの最後の指名選手(Mr. Irrelevant)だったりするわけですが、果たしてNFLの晴れ舞台に戻ってこられるのでしょうか?
そして、またこの記事に追記を書くことになるとは。
INDはWeek10のMIA@INDの前日に、Brissettは出場せずHoyerが先発することになると発表しました。そしてBrissettが出場しない代わりに、INDは控えのQBを用意しなくてはならなくなったわけですが、お察しの通りKellyがPSから復帰することになりました。まあ確かに、ほかにいませんよね。
もしWeek10でHoyerが何らかのトラブルに見舞われ(怪我だけでなく、INT連発という可能性もあり得ます)試合中にリリーフを仰ぐことになったら、KellyがDEN時代以来、久しぶりにNFLの試合に出場することになるわけですが、さてどうなりますか。
もし、Kellyが出場した暁には、さらにこの追記も書かなくてはいけないでしょう。ということで明日のMIN@INDのStatsをお楽しみに。
2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。
AFC東 | BUF | バッファロー・ビルズ | NFC東 | DAL | ダラス・カウボーイズ |
---|---|---|---|---|---|
MIA | マイアミ・ドルフィンズ | NYG | ニューヨーク・ジャイアンツ | ||
NE | ニューイングランド・ペイトリオッツ | PHI | フィラデルフィア・イーグルス | ||
NYJ | ニューヨーク・ジェッツ | WAS | ワシントン・レッドスキンズ | ||
AFC北 | BAL | ボルティモア・レイブンズ | NFC北 | CHI | シカゴ・ベアーズ |
CIN | シンシナティ・ベンガルズ | DET | デトロイト・ライオンズ | ||
CLE | クリーブランド・ブラウンズ | GB | グリーンベイ・パッカーズ | ||
PIT | ピッツバーグ・スティーラーズ | MIN | ミネソタ・バイキングス | ||
AFC南 | HOU | ヒューストン・テキサンズ | NFC南 | ATL | アトランタ・ファルコンズ |
IND | インディアナポリス・コルツ | CAR | カロライナ・パンサーズ | ||
JAX | ジャクソンビル・ジャガーズ | NO | ニューオリンズ・セインツ | ||
TEN | テネシー・タイタンズ | TB | タンパベイ・バッカニアーズ | ||
AFC西 | DEN | デンバー・ブロンコス | NFC西 | ARI | アリゾナ・カーディナルス |
KC | カンザスシティ・チーフス | LAR | ロサンゼルス・ラムズ | ||
OAK | オークランド・レイダース | SF | サンフランシスコ・49ers | ||
LAC | ロサンゼルス・チャージャース | SEA | シアトル・シーホークス |
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