まず前回のコラムで書き漏らしたLuke McCownの話から。NOでHolderを務めていたLukeの2013シーズンに、1回だけパスAttemptが付いてました。「もしかするとフェイクプレーがあったんじゃね?」――。勘のいい方は気がつきますよね。
調べてみたところ、実際そうでした。2013年12月22日のWeek16 NO@CARの2Q残り11分51秒で、敵陣34y 4th Down残り12ヤードでフィールドゴールフォーメーションに入ったものの、HolderのLukeがGrahamにパスを投げ失敗に終わっていたのです。控えQBにHolderをやらせていると、いざというときにこういう裏技も繰り出せるのですね。
さすがにYoutubeで動画は見つけられませんでしたが、ESPNやCBSのサイトに個々のPlay-by-Playが公開されていたので確認できました。このあたり、情報の充実度が米国は日本と違って(略
前回、JoshとLukeのMcCown兄弟が同じ日に先発QBを務めるのはレアだと書きました。どれくらいレアだか検証したのが今回のお話です。
弟Lukeは10シーズン12年かけて5チームを渡り歩きましたが、兄Joshはもっと凄い。2002年にドラフト指名されたARIを皮切りにDET→OAK→CAR→CHI→TB→CLEと14年13シーズンかけて7チームでQBとして出場しています。
試合に出ていない、所属しただけのチームも複数あります。2008シーズン前にはトレード先のMIAで、その後にチームが獲得したPeningtonに押し出される格好でCARにトレードされるという憂き目にもあっています。
Year | Age | Tm | No. | G | GS | QBrec | Cmp | Att | Cmp% | Yds | TD | TD% | Int | Int% | Rate |
2015 | 36 | CLE | 13 | 8 | 8 | 1-7-0 | 186 | 292 | 63.7 | 2109 | 12 | 4.1 | 4 | 1.4 | 93.3 |
2014 | 35 | TAM | 12 | 11 | 11 | 1-10-0 | 184 | 327 | 56.3 | 2206 | 11 | 3.4 | 14 | 4.3 | 70.5 |
2013 | 34 | CHI | 12 | 8 | 5 | 3-2-0 | 149 | 224 | 66.5 | 1829 | 13 | 5.8 | 1 | 0.4 | 109.0 |
2012 | 33 | CHI | 12 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||||
2011 | 32 | CHI | 15 | 3 | 2 | 1-1-0 | 35 | 55 | 63.6 | 414 | 2 | 3.6 | 4 | 7.3 | 68.3 |
2010 | 31 | ||||||||||||||
2009 | 30 | CAR | 12 | 1 | 0 | 1 | 6 | 16.7 | 2 | 0 | 0.0 | 0 | 0 | 39.6 | |
2008 | 29 | CAR | 12 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||
2007 | 28 | OAK | 12 | 9 | 9 | 2-7-0 | 111 | 190 | 58.4 | 1151 | 10 | 5.3 | 11 | 5.8 | 69.4 |
2006 | 27 | DET | 12 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||
2005 | 26 | ARI | 12 | 9 | 6 | 3-3-0 | 163 | 270 | 60.4 | 1836 | 9 | 3.3 | 11 | 4.1 | 74.9 |
2004 | 25 | ARI | 12 | 14 | 13 | 6-7-0 | 233 | 408 | 57.1 | 2511 | 11 | 2.7 | 10 | 2.5 | 74.1 |
2003 | 24 | ARI | 12 | 8 | 3 | 1-2-0 | 95 | 166 | 57.2 | 1018 | 5 | 3.0 | 6 | 3.6 | 70.3 |
2002 | 23 | ARI | 12 | 2 | 0 | 7 | 18 | 38.9 | 66 | 0 | 0.0 | 2 | 11.1 | 10.2 |
ただ弟のLukeとの最大の違いは、先発の回数が多いこと。2004と2005年のARI、2007年のOAK、2013年のCHI、2014年のTB、そして2015年のCLEでは、出場試合数の大半が先発QB。出場した77試合中、57試合が先発です。
エースQBが怪我で退いた時の、代わりを務めてくれる2番手のベテランQBといったところでしょうか。こうなるとVerizonがなぜ兄弟のうちLukeの方をBackupのCMに選んだのかも理解できますね。
余談ですが、筆者はQBにMcCownが2人いるとはしばらく気が付きませんでした。兄弟そろってNFC南を中心にチームを渡り歩いていたので、見事に混同していたのです。この原稿を書くまでは、どっちがLukeでどっちがJoshかも覚えられていませんでしたし。
さてJoshの2015シーズンは、パーリーピーポーManzielとの先発争いに勝ち、開幕時点でエースQBの座を得ていました。しかし、今シーズンは怪我だらけ。開幕戦で脳震盪を起こし、Week2は欠場。Week8にろっ骨を傷め、続く2試合はお休み。そしてBye明けのWeek12に復帰するも、鎖骨を折って今季絶望となりました。
Joshがお休みとなると、チームは「仕方なく」Manzeilを使わざるを得ません。オーナーのお気に入りといわれるManzeilを先発させるための当て馬を演じさせられているようで、ちょっと気の毒でした。
さてやっと、McCown兄弟の同時QB先発の話です。2015年シーズン、9月27日のWeek3にLukeはNO@CARで、JoshはOAK@CLEでそれぞれ先発しました。これが久しぶりの同日先発として取り上げられました。
Week1に脳震盪を起こしたJoshの復帰があと1週間遅れたら危ないところでした。なにせLukeの先発は結局今シーズンはこの週だけだったわけですから。
では、この前に兄弟が同日先発していた日はこれまでにもあったのでしょうか。というのも、英語版のWikipediaに「 Luke's older brother Josh started for the Browns the same day, marking the first time the brothers both started since 2007.」という記述があったからです。つまり2007年には同日先発をしていたようなのです。
ではこの記述が正しいかを調べてみましょう。数が少ないLukeの先発日に、Joshが先発していたかを確認すればよいですね。
Lukeが前に先発したのは2011年のJAX時代。この年は開幕のWeek1とWeek2に先発です。ではJoshはと見ると、シーズン終盤からCHIに在籍し、先発したのはWeek16、17だけでした。
では2007シーズンはというと、TBにいたLukeが先発したのはシーズン終盤Week13、14、17の3試合。OAKにいたJoshは9試合で先発し、Week13、14が重なっていました。つまり、2015シーズンの兄弟同日先発は2007年12月9日以来、約8年ぶりだったということですね。
念のため、Lukeが先発している2004年も見てみると、Week14~16の3試合が重なっていました。12シーズンの延べ204週で、兄弟がそろって先発したのは6試合だったことになります。
その半面、10試合しか先発していないLukeと57試合先発したJoshが、同じ日に6回も投げていたとは意外でした。6割という数字は解釈によっては、「同時先発の確率が高い」といえるかもしれません。
と思いましたが、Manning兄弟のことが頭に浮かんだのでその考えは捨てました。確かEliは2015シーズン終了時点でも連続先発を続けているはずですし、Peytonも首の手術までは長きにわたって連続で先発をしていた記憶があります。Manning兄弟の同日先発確率は計算するまでもなく高いでしょう。McCown兄弟にしてみれば相手が悪すぎました。
Backupが中心のMcCown兄弟のレアな同日先発は来シーズンも見られるでしょうか。ただ2人とも選手寿命の終わりに近づいており、次のチャンスは徐々に減っていきます。まず2人とも怪我を治し、いつでも先発できるようポストを確保するところから始めなくてはならないでしょう。