Week16のMIA@LVは4Qの残り4分を切ってから、リードするチームが3回入れ替わるというまれにみる試合となりました。
MIAを勝利に導いたのは、4Qの残り19秒、自陣25ヤードからRyan FitzpatrickがMack Hollinsに投げた執念のパスでした。このプレイが34ヤードのゲインとなっただけでなく、LVのDE Arden KeyのRoughing the Passerを誘発し、MIAはLV陣内26ヤードに進みました。
Fitzpatrickがどういう体制でパスを投げたかは、下の動画をご覧ください。あんな体制でもパスが投げられるものなんですね。
その後、1回のパス失敗を挟んでFGを決めたMIAが26対25で勝利を手にし、Playoff圏内に踏みとどまりました。新たなFitzpatrick伝説がMIAファンの心に焼き付けられたようで、試合直後からTwitterには#Fitzpatrickや#Fitzmagicのタグが付いたTweetが乱舞しています。
ということで、このブログで何度か取り上げてきたFitzpatrickについて、久しぶりに記事を書くことにしました。過去の経緯は以下の記事をご覧ください。別にファンというわけではないのですが。
上の2つの記事に書いた後のFitzpatrickの戦歴を下の表にまとめました。TBでJamis Winstonの控えとして2シーズン過ごした後、Fitzpatrickは2019年シーズンにMIAに移籍しました。ここではJosh Rosenと先発QBの座を争い、開幕戦こそ先発したものの、3試合目からRosenと交代。しかし5試合目の途中にRosenをリリーフしたFitzpatrickが、残りの試合で先発しました。
Year |
Tm |
G |
GS |
QBrec |
Yds |
TD |
Int |
Rate |
年齢から推定 した誕生年 |
書籍などで確 定した誕生年 |
2005 |
STL |
4 |
3 |
0-3-0 |
777 |
4 |
8 |
58.2 |
Harvard大卒業 |
2006 |
STL |
1 |
0 |
|
0 |
0 |
0 |
|
結婚 |
2007 |
CIN |
1 |
0 |
|
0 |
0 |
0 |
|
|
Brady誕生 |
2008 |
CIN |
13 |
12 |
4-7-1 |
1905 |
8 |
9 |
70.0 |
Brady(12) |
|
2009 |
BUF |
10 |
8 |
4-4-0 |
1422 |
9 |
10 |
69.7 |
|
Tate誕生 |
2010 |
BUF |
13 |
13 |
4-9-0 |
3000 |
23 |
15 |
81.8 |
Tate(10) |
|
2011 |
BUF |
16 |
16 |
6-10-0 |
3832 |
24 |
23 |
79.1 |
|
Lucy誕生 |
2012 |
BUF |
16 |
16 |
6-10-0 |
3400 |
24 |
16 |
83.3 |
Lucy(8) |
|
2013 |
TEN |
11 |
9 |
3-6-0 |
2454 |
14 |
12 |
82.0 |
|
Maizy誕生 |
2014 |
HOU |
12 |
12 |
6-6-0 |
2483 |
17 |
8 |
95.3 |
Maizy(6) |
|
2015 |
NYJ |
16 |
16 |
10-6-0 |
3905 |
31 |
15 |
88.0 |
|
Zoey誕生 |
2016 |
NYJ |
14 |
11 |
3-8-0 |
2710 |
12 |
17 |
69.6 |
Zoey(4) |
|
2017 |
TB |
6 |
3 |
2-1-0 |
1103 |
7 |
3 |
86.0 |
|
Ruby誕生? |
2018 |
TB |
8 |
7 |
2-5-0 |
2366 |
17 |
12 |
100.4 |
Ruby(2) |
|
2019 |
MIA |
15 |
13 |
5-8-0 |
3529 |
20 |
13 |
85.5 |
Jake(1) |
Jake誕生 |
2020 |
MIA |
9 |
7 |
4-3-0 |
2091 |
13 |
8 |
95.6 |
|
|
|
|
165 |
146 |
59-86-1 |
34977 |
223 |
169 |
82.3 |
|
|
2020年シーズンは先発で開幕を迎えましたが、Week8からルーキーのTua Tagovailoaに先発を譲っています。ただTagovailoaの調子が上がらない試合などではQBを務めることがあり、Week16もまさにそんな状況でした。Fitzpatrickは4Qの途中から登板し、同点FGとなるドライブ→逆転TDを挙げるドライブ→再逆転となるFGを挙げたドライブを演出しました。
ただし記事には「Seven Kids Were Born in Different States」としか書いていないので、奥さんが夫の移籍先で子供を生んだかはどうか定かではありません(実家に帰って生むこともあるでしょうし)。そこで7人の子供を異なるFitzpatrickの移籍先で生むことが現実的に可能なのかを調べてみました(全てWebや書籍などに公開されている情報に基づいています)。
Fitzpatrickは2005年にSTL(現LAR)に入団後CIN→BUF→TEN→HOU→NYJ→TB→MIAと、都合8チームを渡り歩いてきました。STLでの2年は3試合にリリーフ出場しただけですが、CIN以降の7チームではTB時代を除き、1年以上はシーズン中にチームで最も先発をしたQB(つまりエースQB)となっています。
1つ目の記事には、子供の名前と記事掲載日(2020年9月4日、以下日付は省略)時点の年齢が公開されていました(Brady 12歳、Tate 10歳、Lucy 8歳、Maizy 6歳、 Zoey 4歳、 Ruby 2歳、Jake 1歳)。年齢だけなので生まれ月はわかりませんが、子供の年齢を上の表に当てはめるとこうなります(年齢から推定した誕生年)。最初のSTL以外の7チームに在籍しているときに子供が生まれたという仮説が成り立ちます。
最初はこれでよいのかと思いましたが、2020年9月に8歳のLucyは2011年9月から2012年9月の間に生まれた計算なので、必ずBUF生まれとなります。つまり上の仮説のままではTateとLucyは同じBUFで生まれになってしまいます。
これでは矛盾するのでさらにネットを調べると、子供の誕生年が書かれた書籍を見つけられました(「Quarterback: Inside the Most Important Position in the National Football League」)。それによるとBradは2007年生まれ、以下Tateは2009年、Lucy は2011年、Maizy は2013年、 Zoey は2015年生まれであることが分かりました。
さらに別の記事では一番下のJakeが2019年1月に生まれたことが明らかにされています(書籍などで確定した誕生年)。
とするとFitzpatrickがMIAと契約するのは2019年5月ですから、JakeはTampaBay生まれということになります。さらにここから推測するとRubyは2017年生まれ(2017年9月から2018年9月の間に生まれていたら2020年9月時点で2歳です)。つまり1年おきに7人の子供が生まれている可能性が高まりました。
こうした条件でFitzpatrickの在籍チームと子供の生まれ年を当てはめると、Brady(CINにトレードされたのは2007年9月なのでSTL在籍中に誕生)、Tate(BUFと契約したのは2009年2月なのでCIN在籍中に誕生)、Lucy(BUF在籍中に誕生)、Maizy(2013年5月のTEN契約後に誕生)、Zoey(NYJとは2015年5月に契約したのでHOU在籍中に誕生)、Ruby(TBとは2017年5月に契約したのでNYJ在籍中に誕生)、Jake(MIAとは2019年5月に契約したのでTB在籍中の2019年1月に誕生)となります。つまり7人の子供を夫の移籍先で産むことは可能なのでした。この仮説が正しいなら、現在在籍中のMIAでは子供が生まれていないことになります。
さて、1年おきに7人の子供を産んできたFitzpatrickの奥さん(Liza Barber)はどんな人かというと、Harvard大でサッカーで奨学金を受けていたバリバリのスポーツ選手でした。2004年にチームのキャプテンを務め、卒業する2005年にはディフェンスのチーフを務めていたという情報もあります。ネットを検索すると、2003年当時のLizaの写真がハーバード内の学内新聞のWebサイトで確認できます。
2人は2005年にHarvard大を卒業し、2006年に結婚したのですが、プロポーズ時のエピソードが伝わっています。詳しくは記事原文を見ていただけばよいのですが、かいつまんで言うと、Ryanが2人の共同口座で婚約指輪を買って、サプライズで渡そうと持ち歩いていた→セントルイスのショッピングモールの買い物をしていたとき、GAPの店員が誤ってその口座から2重引き落としをしてしまった→Lisaが店員に、家に帰ったら口座を確認するので問題ないと言っていた(つまり、家に帰ると共同口座をチェックされてしまう!)→サプライズにするには、その日に家に帰る前に指輪を渡さないといけない→その日の夕食のレストランを探したけど、指輪を渡されることなど予測していないLisaはMcDonaldで食事したいという→結局、チキンナゲットを食べながらMcDonaldでプロポーズとなったそうです。
Fitzpatrickは試合中でも結婚指輪を外さないという逸話も伝わっています。とっても愛妻家なのですね。これまでのペースを守るなら、2人の間に2021年に8人目の子供が生まれるかもしれませんが、現時点でLisaが妊娠しているかどうかは分かりませんでした。
最後に、2005年のNFLドラフトで指名されたQBについてまとめましょう。14人いますが、指名順と指名チームは下表のとおりです。まだMatt Casselは引退を表明していないようなので、4選手が現役となります(文字が赤い選手)。最上位の2人と最下位の2人が残っているというのも面白いですね。
14人のうちPro BowlerはAlex Smith、Aaron Rodgers、Derek Anderson、Casselの4人で、Fitzpatrickは16シーズン(実働14シーズン)のNFL生活でその栄誉に浴していません。
巡 |
全体 |
|
|
1 |
1 |
Alex Smith |
SF |
1 |
24 |
Aaron Rodgers |
GB |
1 |
25 |
Jason Campbell |
WAS |
3 |
67 |
Charlie Frye |
CLE |
3 |
69 |
Andrew Walter |
OAK |
3 |
85 |
David Greene |
SEA |
4 |
106 |
Kyle Orton |
CHI |
4 |
121 |
Stefan LeFors |
CAR |
5 |
145 |
Dan Orlovsky |
DET |
5 |
152 |
Adrian McPherson |
NO |
6 |
213 |
Derek Anderson |
BAL |
7 |
229 |
James Kilian |
KC |
7 |
230 |
Matt Cassel |
NE |
7 |
250 |
Ryan Fitzpatrick |
STL |
そしてFitzpatrickは14人の中で最もINTをされたQBのはずです。全選手を調べたわけではありませんが、出場試合数がFitzpatrickよりも多いSmithとRodgersを上回る169回を記録しています。それでも8チームを渡り歩き、必ず年に数試合は先発となり、若手のQBと先発の座を競い合うFitzpatrickは、稀有な存在と言えるでしょう。
まだまだ現役で通用するFitzpatrickは、2021年はどこのチームに行くのでしょう。MIAとは2年契約なので2020年シーズン終了をもって契約が切れます。Cam Newtonとの契約は1年で、Jarrett StidhamもBryan Hoyerも心もとないNEに在籍すれば、AFC東の4チームすべてに在籍したことになります。そういう可能性はありますが、2020年シーズンが終わってもいない現時点ではわかりません。
という記事を書いたばかりのRyan Fitzpatrickですが、日本が正月を迎えた直後に新型コロナウイルス陽性であると判明し、Week17の出場が絶望となってしまいました。MIAは先発QBをTagovailoaで予定していたようですが、Playoff出場がかかるMIA@BUFがどうなるか注目です(2021年1月1日11時55分追記)。
2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。
AFC東 |
BUF |
バッファロー・ビルズ |
NFC東 |
DAL |
ダラス・カウボーイズ |
MIA |
マイアミ・ドルフィンズ |
NYG |
ニューヨーク・ジャイアンツ |
NE |
ニューイングランド・ペイトリオッツ |
PHI |
フィラデルフィア・イーグルス |
NYJ |
ニューヨーク・ジェッツ |
WAS |
ワシントン・フットボール・チーム |
AFC北 |
BAL |
ボルティモア・レイブンズ |
NFC北 |
CHI |
シカゴ・ベアーズ |
CIN |
シンシナティ・ベンガルズ |
DET |
デトロイト・ライオンズ |
CLE |
クリーブランド・ブラウンズ |
GB |
グリーンベイ・パッカーズ |
PIT |
ピッツバーグ・スティーラーズ |
MIN |
ミネソタ・バイキングス |
AFC南 |
HOU |
ヒューストン・テキサンズ |
NFC南 |
ATL |
アトランタ・ファルコンズ |
IND |
インディアナポリス・コルツ |
CAR |
カロライナ・パンサーズ |
JAX |
ジャクソンビル・ジャガーズ |
NO |
ニューオリンズ・セインツ |
TEN |
テネシー・タイタンズ |
TB |
タンパベイ・バッカニアーズ |
AFC西 |
DEN |
デンバー・ブロンコス |
NFC西 |
ARI |
アリゾナ・カーディナルス |
KC |
カンザスシティ・チーフス |
LAR |
ロサンゼルス・ラムズ |
LAC |
ロサンゼルス・チャージャース |
SF |
サンフランシスコ・49ers |
LV |
ラスベガス・レイダース |
SEA |
シアトル・シーホークス |