緊急事態宣言が7都府県から全国に拡大されることになりました。
最近では新型コロナウイルス感染が拡大し一部の地域では感染症病床やマスクなどの医療用防護用品、人工呼吸器の逼迫が叫ばれるようになっていますが、そもそも日本における医療資源はどのくらいあるのかを調べて見ました。
先ずは、医師や看護師の人数についてですが…
先ず、医師全体ではOECD35カ国中で30位、人口1000人当たり2.30人とランキング上位国と比べると約半分となっています。
世界全体で見ても61位で、決して多い方ではないようです。
具体的な数値では、2018年末で全体で約33万人となっています。
一方で、看護師の数は…
OECD加盟国35カ国中11位、全世界では14位と言う位置付けで、数の上では上位にランキングしています。
2018年末の統計では看護師、准看護師合計で約154万人と過去10年で1.4倍になっていますが、従来の病院での勤務に加えて老齢化の進展により増加している介護施設での勤務などの需要もあり絶対数としては未だ足りていないようです。
以上から医師と看護師の人数を合計すると187万人が日本国内で勤務されていることになります。
この人数の中で新型コロナウイルスなどの感染症対応をされている医療関係者がどれくらいいらっしゃるのかは不明ですが、1日で平均10枚(感染症対応者の場合20〜30セット/日必要とのことです)のマスクや防護服などのPPEを使用するとすると、1日で1870万セットのPPEが必要となる計算です。
つまり、一ヶ月に換算すると5億6千万セットとなりますが、マスクだけ考えても、先日政府から発表された3月の国内供給量6億枚と比較すると如何に逼迫しているかが理解出来ます。(因みに、6億枚は一般家庭用を含めての数量です)
従来より日本国内での医療用マスクの供給量は限られており、特にN95などの高機能マスクに至っては国内での生産も限られ、国際間の競争が激化している現状では数量の確保は非常に難しくなっているのが現実です。
従って、「1億枚」追加すると言っても、全体の需要を考えるとまだまだ不十分であり抜本的な増産対策を国として推進する必要があることが分かります。
また、どのような種類のマスクなのかにもよりますが、特にN95などの医療水準のマスクの国産化は優先課題の一つと考えられます。
因みに米国ではN95マスクの輸出は禁止されており、中国でもマスク工場自体が接収されて国統制下にあり、欧州など多くの国々でも輸出禁止などの処置が取られていますが、上述のような状況にも拘らず日本ではネット場などでの高価転売の禁止以外は何の処置も取られていません。
これはマスク以外の医療資源についても同様で統制をかけていないので、国際市場での確保競争で敗れているばかりでなく、国内の貴重な医療資源が海外に渡ってしまうなどの状況が続いています。
最後に2月中旬に実施した人工呼吸器とECMOの実態調査の結果を紹介致します。
2月中頃の時点で空いている人工呼吸器は13,437台、ECMOが1255台でした。
これは何を意味するかと言うと…
重症以上の患者に人工呼吸器、重篤患者にECMOが必要と言う前提で重症率20%、重篤率3%と仮定して計算すると、
感染者が6万7千人を超えると人工呼吸器が不足、4万2千人でECMOが不足する状況が発生することを意味します。(装置数で見た単純計算で、装置の操作に必要な医療従事者の人数は勘案していません)
これは、仮に日本での感染拡大が欧米の規模になると明かに医療設備が不足することを示しています。
参考までに、日本の薬剤師の人数を掲示致します。
何故、取り上げたかと言うと、日本の薬剤師の数は相対的に多いからです。
OECD加盟国においては、ずば抜けて多くトップですし、全世界で見ても堂々の三位です。
しかも、最近では6年制薬学部卒の薬剤師が増えており、教育内容から見ても海外での動きと同様にもう少し医療活動の範囲を広げられれば、今回のような未知の感染症拡大期において相対的に少ない医者の活動を補完できるのではと素人的には考えています。
例えば、予防接種や検査などの特定の医療行為の領域での活用です。
失礼な言い方になりますが、今やガソリンスタンドやコンビニより増えている薬局の店舗の活用は、今回のような医療崩壊の危機可能性がある時には医師にかかる思い負担を軽くする意味でも有効なのではないでしょうか?
関連動画;自作トレーラーの関連動画はYouTubeにアップしてあります。宜しければご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=z-eC-Jokxhw&t=25s