ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

バーレス専用ローターの開発コンセプト・・・パート2

2012-04-12 01:01:00 | マテリアル
昨日の投稿で、バーレス専用ローターの開発コンセプトに付いて・・・そのサワリを述べた。


何せ・・・人がやっていない事をテストしているので・・・余り詳細に述べる事は出来ない。

俗に言う・・・企業秘密・・・と言うやつですかネ・・・なんてね。



一度、格好つけて、そんな事を言って見たかったのである。



本当は・・・弊社では大した事はやっていないのと、あまり本当の事をベラベラ喋ると・・・
ハイプロのN社長に怒られそうで・・・少し・・・怖いのである。
(嘘です・・・本当は・・・Nさんは、凄く優しいノダ)



まあ余談・冗談はそれ位にして・・・そんな訳で・・・最近各社で開発途上にある
バーレスローターに付いて・・・少し真面目に・・・考察してみたい。


私の個人的な経験則からすると・・・バーレスも取り扱いの煩雑さを除けば・・・
全てに於いてマルチローターの方が良いと思っている。


又・・・ローターの枚数が増える毎に・・・制御無しでも・・・比較的良く飛ぶ。

しかしそれは・・・機体重量に対して、円板面積が適正な場合に限る。


それは・・・何故なのだろうか・・・?


その理由は・・・個々のメインローターのピッチ可動率を、下げる事が出来ると言う点に尽きる。

しかしこれは・・・どんなローターでも・・・闇雲にその数を増やして行けば良いと言う事ではない。


要は・・・使用するローターを、適切に選ぶ必要が有ると言う事だ。


高速飛行時の、急激なタックアンダーやバルーニングなどはエレベーターをラフに大きく操舵した時に
発生する事が多いのである。

実際には・・・ローターのコード方向のバランスが適正位置に無かったり、風圧中心の移動が
大きかったり、剛性が無かったりする事が・・・その理由なのだが・・・。


2枚ローターを使用した場合に・・・もし、飛行中に機体を傾ける為にピッチ操作を最大迄行えば、
スワッシュプレートの傾動に伴って、メインローターのピッチ角も水平状態から約6°迄変化するのが
普通である。


これがもし、2枚と同じローターを使用して3枚・4枚とメインローターを増やした場合は、
果たして・・・如何なのだろうか?

この場合には、機体重量に対して、メインローターの発生する揚力が増え過ぎてしまう事から、
全てに於いてピッチの変化量(設定)を抑制する必要が生じてしまう。



同じメインローターを使用する前提で、3枚~4枚~5枚と増やす事に因って・・・
ホバーリング時のピッチ角は減って行く。

そうしないと・・・同じ重量の機体の場合では・・・当然、揚力過多となってしまうからだ。


試に実機を見ても、大きな重量の重い機体ほど・・・円板面積やメインローターの枚数が増えている。


逆に・・・軽量機では、5枚などと言う様なローターを装備している機体は無いのである。


中には中型機でも・・・4枚ローターを装備している機体も無い事はないのだが・・・
それは主に、他の目的で円板面積が適正に計算された上で・・・採用されていると思われる。



それから・・・機体を移動させる時に操舵を行う為に、スワッシュプレートを
傾動させる必要があるのだが、それに伴って変化するメインローターのピッチ角も、
減らす必要が生じてしまうのである。

実際には・・・スワッシュの傾動角を圧縮するか、ミキシングアームを使用して機械的に調整する必要がある。

そうしないと・・・舵が利き過ぎて、オーバーコントロールに陥ってしまう可能性もあると思われるが、
サーボのストロークを変更して、スワッシュの傾動角を圧縮する事は避けたい。

そんな訳で、当然ミキシングアームを利用してピッチの変動幅を減少させるしか無いだろう。


でも・・・本来、リンケージの煩雑さから解放されるのが、スタビレスヘッドの良い所なのだが・・・
ミキシングアームで調整するとなると、リンケージの煩雑さは・・・ヤハリ否めない。


これが・・・マルチのヘッドだと言う事になると・・・尚更であると、私は考える。


もしかしたらメーカーでは・・・メカニカルな部分を売りにしたいのかも?知れないのだが・・・定かではない。


もしそうであるとしても・・・何事も、しんぷるいずべすと・・・なのである。


模型用は・・・自己満足を得られれば・・・何でも良い。


しかし、産業用途で使用する場合は・・・出来る限り、不確定要素やフリクションロスを排除したい。




では・・・その様にならない為には・・・一体どうすれば良いのか・・・???




答えは・・・明快・・・メインローター側で・・・解決すれば良い。



しかし・・・理屈は簡単・・・私の様に、屁理屈をこねるのも自由なのだが・・・実際は難しい。

マタマタ・・・Nさんに・・・何・・勝手な事を言っているんだ・・・と、怒られてしまいそうだ。


事実・・・幾多のメーカーがしのぎを削っているのだが・・・なかなか、まともなモノに出会えない。



もう一度、ここで考えを整理をしよう・・・同じ重量の機体(同じ機体)で、ローター数を変えてテストした
場合には、スタビレスでは、ローターの枚数が多くなるに従って・・・当然、1枚当たりのローターの
役割分担が少なくなる。

もっと判りやすく言えば・・・例えば2枚で10kgの機体を持ち上げるのと、4枚で同じ重量の機体を
持ち上げる場合を想定した場合には、ローターを同じ回転で回した場合には・・・自ずとローター1枚に
掛る負担(ピッチ)は少なくて良い事になる。


理論的にも、メインローターが多枚化する毎に、その荷重分担も減るので・・・その形状やサイズ
強度(剛性)までもが、小さくなる傾向にある(小さくならなければならない)事がご理解頂けるだろう。



前述した様に、2枚と同じメインローターを闇雲に増やした機体を、もしマニュアルで飛行させた場合・・・
酷く操縦性がスポイルされてしまうだろう。

又・・・エンジンに掛る負担も増大してしまう事から・・・その様な使い方は避けなければならない。



しかし、先日富山で行われたDJIヘリフェスタでは、弊社で開発したリフターを3枚装備した機体が
デモフライトを行った。



某・・・名古屋の一流模型メーカーが製作したこの機体、前評判では凄い性能を発揮するとの事で
大変評判になっていた。


しかし、この機体の仕様は・・・私が考えるバーレス機とは、対極にある様な機体であった。


ご存知の方も多いとは思うのだが・・・このリフター、弊社で5年の歳月を掛けて仕上げたローターである。

自信を持って、世に出したのだが・・・使い方を間違えられると・・・ローターが悪いと言われそうで・・・
少し悲しい。



実際に、当日のフライトを見たプロの空撮業者は・・・果たして、どう思ったのだろうか・・・???


私は・・・その事に凄く興味が有るので・・・どなたか・・・当日現場でそのフライトをご覧頂いた方で、
コメントを頂ける人は居ませんか?


もし差支えなければ・・・どなたか感想を投稿頂けると幸いです。



私が見た処・・・その飛行は明らかにパワーが食われ、特に高速でのバック時には・・・既に機首が
制御出来なくなってしまった様に感じた。

ピッチも高過ぎたのでは・・・とは思ったが・・・担当者は、エンジン調整が今一だと言っていた。

しかし・・・それならば、キャブを調整すれば良いだけの事。


百聞は・・・一見にしかず・・・それが全てだった様に・・・私は思った。



弊社でも3枚にしても良いのだが・・・特段その必要性を感じないし、実用面で考えてもローターの
取り扱いが面倒で、現場で余計な事に時間を掛けたく無い・・・と言うのが・・・本音。

又・・・3枚にした場合は、新たなメインローターを開発して装備する必要がある事から、型代を始め・・・
費用面でも負担が掛ってしまうので・・・実際には難しい。


だからと言って・・・現在テスト中のメインローターを闇雲に増やして3枚にする様な、無駄な努力はしたくない。


そんな理由から・・・弊社では当分の間、2枚のバーレスローターをテストしたいと思う。

多分・・・それが最良の方法だと思うから・・・・。


次回は・・・バーレス用のヘッド関連に付いて考察して見たいと思うので・・・お楽しみに。