2024.9.3
初めての紀尾井ホール。
四ツ谷駅から少し歩くので、台風の影響で雨が降るか心配しましたが、幸い行きも帰りも降られずホッとしました。実は、2日前に軽いぎっくり腰になったため、雨だとちょっと辛いかなと思っていたのでした。
途中でホールの駐車場に黒塗りの車が入るところに出くわし、要人でも来るのかと思いながら、ホールの正面へ向かいました。
開場時間ぴったりに到着すると、入口に警備員が数名いて、荷物検査をされました。いつもこうなのだろうかと思いましたが…
毎回チケット確保で一喜一憂していますが、今回は中央ブロックの3列目、良い席が取れたと満足しています。
毎年開催しているという、日本音楽財団主催ストラディヴァリウス・コンサートの室内楽編です。この財団から貸与されたストラディヴァリを持って18名の弦楽器の名手が国内外から集結しました。
開演直前、突然後ろの方で拍手が沸き起こりました。振り返ると、天皇陛下ご夫妻と愛子様が2階の最前列の席に並び、にこやかに開場の観客にお辞儀をされました。不思議と嬉しい気分になりましたね。
隣に座られた男性は、同じ空間で聴けるとはすごい…と呟いて嬉しそうでした。
私のお目当ての奏者は、レイ・チェン、と2021年のメニューイン国際ヴァイオリンコンクールで優勝した、スペインのマリア・ドゥエーニャス21歳でしたが、演奏者は全員、世界で活躍する名手揃い。金川真弓さん、吉本梨乃さんも抜群に上手い。こんな贅沢なことはないでしょうね。普段コンチェルトでソロを弾くようなレベルの人たちが、アンサンブルで、セカンド、サード等を担当します。普段とは勝手が違うパートだと思うのですが、どの曲も息がピッタリ。流石です。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのストラディヴァリは合わせて17挺、それとグァルネリ・デル・ジェスのヴァイオリン1挺。ストラディヴァリもいろいろ、それぞれ音質、響き、個性が違います。
1挺だけのグァルネリ、音にボリューム感があり圧力を感じました。
たくさんのストラディバリウス、アンサンブルでは音が重なって違いがわかりにくかったのですが、私にはストラディバリはグァルネリより響きが若干弱いという印象があり、弓の毛が切れてしまうストラディバリ奏者が何人かいましたが、音量を強く出すために弓を力強く引いていたせいではないかと思いました。1艇だけ、音がゴーンと大きく出るストラディバリもありました。
プログラム:
・メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第6番へ短調Op.80から第1楽章
・コダーイ 2つのヴァイオリンとヴィオラのためのセレナードOp.12から第1楽章
・ユオン シルエットOp.9から第1番《牧歌》、第3番《風変わり》
・モシュコフスキ 2つのヴァイオリンとピアノのための組曲ト短調Op.71から第1楽章
・ドヴォルザーク ミニアチュアOp.75aから第2楽章、第3楽章
・ダンクラ 4つのヴァイオリンのためのファンタジー《ヴェネツィアの謝肉祭》Op.119
・メンデルスゾーン 弦楽八重奏曲変ホ長調Op.20全楽章
出演者(使用楽器);
・ゴルトムント・クァルテット:
・フロリアン・シェッツ (Strad. 1727年製ヴァイオリン「パガニーニ」)
・ピンカス・アット (Strad. 1680年製ヴァイオリン「パガニーニ」)
・クリストフ・ヴァンドーリ (Strad. 1731年製ヴィオラ「パガニーニ」)
・ラファエル・パラトーレ (Strad. 1736年製チェロ「パガニーニ」)
・前田妃奈 (Strad. 1700年製ヴァイオリン「ドラゴネッティ」)
・ティモシー・チューイ (Strad. 1709年製ヴァイオリン「エングルマン」)
・マリア・ドゥエニャス (Strad. 1710年製ヴァイオリン「カンポセリーチェ」)
・レイ・チェン (Strad. 1714年製ヴァイオリン「ドルフィン」)
・外村理沙 (Strad. 1715年製ヴァイオリン「ヨアヒム」)
・吉田 南 (Strad. 1716年製ヴァイオリン「ブース」)
・イム・ジヨン (Strad. 1717年製ヴァイオリン「サセルノ」)
・ジュゼッペ・ジッポーニ (Strad. 1722年製ヴァイオリン「ジュピター」
・金川真弓 (Strad. 1725年製ヴァイオリン「ウィルヘルミ」)
・リュン・リー (Strad. 1735年製ヴァイオリン「サマズィユ」)
・吉本梨乃 (Strad. 1736年製ヴァイオリン「ムンツ」)
・カミーユ・トマ (Strad. 1730年製チェロ「フォイアマン」
・ベンジャミン・パイルマン (Guarneri del Gesu 1740年製ヴァイオリン「イザイ」
・池田菊衛 (Strad. 1690年製ヴィオラ「メディチ」
ピアノ伴奏
・江口 玲 (1887年製 スタインウェイ「ローズウッド」)
最後に18名がステージに勢ぞろいし、レイ・チェンがリードして、各演奏者に自己紹介と各自の楽器の紹介を促します。
中でも、ヴィオリストの池田菊衛氏の使用したヴィオラ・1690年製のストラディヴァリウス「メディチ」は、ワシントンDCの議会図書館で保管されているもので、50周年のこのコンサートのために特別に貸し出されたそうです。これを演奏した池田氏は、久しぶりに会えて感慨深いとコメントされました。
最後の最後に18名全員で行ったアンコール演奏は圧巻でした。あのメンバーでの演奏は2度と聴けないかもしれない貴重な時間でした。
アンコール曲は、ガルデルのポル・ウナ・カベサと、シャボラックのサーメルベルガー・マーチの2曲。
紀尾井ホールは音響がとても良いです。
後日知ったのですが、同じプログラムで9/1に大阪でもコンサートを予定していたらしいのですが、台風による大雨で中止になったということ。楽しみにされていた方々はさぞ残念だったと思います。