ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

最高峰のオーケストラとは?

2025-01-23 | クラシック音楽
昨年の10月に聴いたフランクフルト放送交響楽団の演奏について、記録のために書いておきます。

2024.10.15
フランクフルト放送交響楽団
指揮:アラン・アルティノグル
場所:サントリーホール
演奏曲目
・ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番「皇帝」変ホ長調Op.73
・マーラー: 交響曲第5番嬰ハ短調

ベートーヴェンの第5番のピアニストはブルース・リウさん。
前回のラフマニノフの演奏では、ラフマニノフ的な音楽性を感じられずがっかりしたのですが、ベートーヴェンは、彼の緻密で精巧な持ち味を出せたのではないかと思います。

ブルース・リウさんは、2021年のショパン国際ピアノコンクール優勝後、海外から引っ張りだこ。毎年来日していますが、演奏する曲はほとんどがコンチェルト。大曲の演奏ばかりで練習時間はあるのかと気になっています。
そんな考えが的中したのか、アンコールで弾いたショパンの幻想即興曲、間違えました。音を外したというのではなく、キーを間違えて一瞬指がもたついたのです。記憶が一瞬抜けてしまった、のでしょうね。
ブルース・リウさんはもっと自分が弾きたい曲を弾いて、個性を見せてほしいですね。
(と思っていたところ、3月にリサイタルがある予定です。行くことにしました。)

前半のベートーヴェンの「皇帝」は、ブルース・リウさんはほぼ完璧でしたが、オーケストラや指揮者からの要求に応えるのに、練習にかなり時間を費やしたのでは?と勝手に想像しています。
それだけ、このフランクフルト放送交響楽団のクオリティは高い、ということです。

後半のマーラーの交響曲第5番。
弦楽器の音色が表情豊かでダイナミック。岩に打ち寄せる波のような滑らか且つ躍動的な音色。マーラーの曲に特徴的な管楽器の表現、音色がとても美しい。
これが本当のマーラー!と思えた最高の時間でした。

以前、日経新聞の「私の履歴書」で、世界的指揮者リッカルド・ムーティが、ウィーンフィルの弦楽器セクションの演奏について、「ビロードのような音色」と書いていました。
フランクフルト放送交響楽団は、ややそれに近い音色を呈していたとも思いましたし、最高峰レベルの楽団だとも謳われているのですが、世界のオーケストラランキングの10位内には入っていない。
ということは、ウィーンフィル、ベルリンフィルがどれだけすごいのか…。

Bachtrack.comという音楽関係のWebに、Critic's Choice2023という音楽評論家の選んだ世界のオーケストラベスト10が掲載されています。
11カ国の15人の音楽評論家に順位アンケートへの回答を依頼して以下のような結果になったわけですが、評論家全員が全部のオーケストラの演奏を生で聴いているわけではないし、時代の流れやメンバー編成の変化などによって音楽性やクオリティ等が変わることがあるので、これが絶対ではないと思いますが、伝統、ポリシー、アイデンティティ等を維持し、独自の音色を保っている楽団は、継続的に上位に挙がっているようです。

1位:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2位:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
3位:バイエルン放送交響楽団
4位:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
5位:シカゴ交響楽団
6位:クリーブランド管弦楽団
7位:ロンドン交響楽団
8位:ブダペスト祝祭管弦楽団
9位:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
10位:ロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団

因みに、音楽之友社の雑誌「レコード芸術2017」に掲載中されたオーケストラランキングに、フランクフルト放送交響楽団が20位に挙がっていました。

1位:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2位:バイエルン放送交響楽団
3位:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
4位:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
5位:シュターツカペレ・ドレスデン
6位:パリ管弦楽団
7位:シカゴ交響楽団
8位:ロンドン交響楽団
9位:マーラー室内管弦楽団
10位:ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
11位:シュターツカペレ・ベルリン
12位:ボストン交響楽団
13位:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
13位:マリインスキー劇場管弦楽団
13位:ミラノ・スカラ座管弦楽団
16位:サンフランシスコ交響楽団
17位:クリーブランド管弦楽団
17位:レ・シエクル
19位:NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団
20位:サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団
20位:フランクフルト放送交響楽団
22位:ロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団
23位:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
23位:バンベルク交響楽団
25位:フィルハーモニア管弦楽団
25位:ムジカエテルナ
25位:ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
25位:チャイコフスキー交響楽団(旧モスクワ放送響)
29位:チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
30位:18世紀オーケストラ
30位:パリ国立オペラ座管弦楽団

37位:NHK交響楽団

52位:日本フィルハーモニー交響楽団

55位:新日本フィルハーモニー交響楽団
55位:東京交響楽団
55位:水戸室内管弦楽団
55位:読売日本交響楽団

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全楽章間の拍手、残念なコンサート

2024-12-26 | クラシック音楽
12月10日、紀尾井ホール(東京)でのCocomiというフルーティストの室内楽コンサートで、ヴァイオリニストの東亮汰さんが共演することを知り、数ヶ月前にチケットの発売日程を調べて買いました。
チケットは抽選販売だったのですが、当たったのです。席は自動で割当てられ、中央ブロックの2列目で右寄り。なかなか良い席でした。

ここまでの間、私はCocomiを誰だか全く知らずに過ごしていました。

ある時、フルートを習っている友人に、Cocomiさんは木村拓哉さんの娘さんで、演奏は上手だということを教えられました。
どおりで、申込みが殺到するため抽選売りにしているのか、と納得したわけです。

当日、紀尾井ホールに着くと、CD売り場に人が次々に並んでいきます。このコンサートは、CocomiさんのCDのリリース記念コンサートだったのです。



出演者: 
フルート   Cocomi
ピアノ    山中惇史
ヴァイオリン 東亮汰
チェロ    矢部優典     

曲目:
ゴーベール:フルート・ソナタ第3番ト長調
マルティヌー:フルート、ヴァイオリンとピアノのためのソナタ H.254
Like Someone in Love
Let's Fall in Love
Take Five
カプースチン:フルート、チェロとピアノための三重奏曲Op,86

私は普通に室内楽のコンサートを楽しもうと思っていて、演奏自体もそういう内容でしたが、ほとんどの観客はそのような思考ではなかったのです。
ゴーベールもマルティヌーもカプースチンのどの曲もクラシック音楽です。
最初のゴーベールのソナタは、フルートとピアノの二重奏。3楽章で構成されています。
第1楽章が終わったところで、拍手が沸き起こりました。
私は、え?なぜ拍手?ソナタじゃなかったっけ?と一瞬自分が曲を間違えたかと思いました。
続いて第2楽章、その後も拍手です。なんか変な現象が続きます。
間違って拍手しちゃった程度の数ではありません。

クラシック音楽ですよ。
ソナタでも協奏曲でも、何楽章かで構成されていればそれが一つの曲であり、楽章同士には繋がりがある。その繋がりの間にある余韻や静寂も音楽の一部だと思っています。
ですから、楽章間に拍手を入れたら、曲の流れが止まるし、演奏者の集中力が途切れてしまうじゃないですか!

本当に呆れてしまったのは、マルティヌーのソナタ三重奏。
ヴァイオリンとフルートの掛け合いがとてもきれいな曲です。多くのソナタは3楽章までですが、この曲は4楽章まであります。所謂、起承転結みたいに構成されているわけです。
ところが、これもまた、楽章が終わる毎に拍手が入り、途切れ途切れになってしまいました。

あの日、紀尾井ホールにいたほとんどが、Cocomiファンだったのでしょう。
フルートの友人が以前別のコンサートへ行ったときの話を後から聞きましたが、錦糸町のトリフォニー大ホールが満席になるほどファンが結集したということですから、相当の数です。

ファンのこの拍手は、曲が何だろうと関係なく、アイドルの演奏を賞賛するためで、私は場違いなところに来てしまったと感じました。

Cocomiさんの演奏は技術的なレベルが高く上手です。室内楽は演奏者同士の呼吸やタイミングが大切です。フルートが主役であっても、この日の曲の進行の要はピアノ。
ピアニスト、曲の進行を妨げられて多少うんざりしていたのではないでしょうか。
マルティヌーの3楽章が終わり、また拍手が始まった、となった時に、ピアノが間髪入れずに4楽章に入り、バッサリ拍手を切りました。ピアニストに拍手をしたい気分でした。(楽章間に間を取らないですぐ次に入る場合もあるのです。)

後半もまた同じことになるだろうと考え、前半だけでホールを後にしました。
紀尾井ホールという良いホールでしたが、残念な思いです。

楽章間の拍手については賛否両論あります。
個人的には、オーケストラ演奏のような規模なら、興奮して拍手してしまう人があっても許せますが、室内楽やソロ演奏では余韻や静寂も音楽の一部、だから楽章の間の拍手はダメ、というのが一クラシック音楽愛好者の心理です。

こちらに、クラシックコンサートを聴く際のマナーが書かれたページを見つけましたので、貼り付けておきます。
マナー編|コンサートのススメ|大音楽惑星


紀尾井ホールとホテルニューオータニの間にあったクリスマスツリー。

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2024年度読響コンサートプログラム

2024-03-17 | クラシック音楽
今年度の読響のコンサートプログラムです。
毎年次々と新しい演奏家の名前が挙がってくるので、段々覚えられなくなってきています。
曲の好みもありますが、今年度のプログラム選曲、知らない作曲家の名前がちらほら、あまり心魅かれません。

ソリストは、6月の角野隼斗とフランチェスコ・トリスターノのピアノデュオ、村治佳織、ダン・タイ・ソン(サントリーホール)、7月のマリー=アンジュ・グッチ、エヴァ・ゲヴォルギャンが私としては気になるところです。

プルース・リウさんの恩師、ダン・タイ・ソンさんの読響とのモーツァルトは興味をそそります。40年ほど前のヴェトナム人初のショパン国際ピアノコンクール優勝者で、当時はニュースに大きく取りあげられ、受賞直後の来日リサイタルを聴きに行ったことがあります。
エヴァ・ゲヴォルギャンさんは、2021年のショパン国際ピアノコンクールのファイナリスト。コンクールをご覧になっていた方はご記憶に新しいと思います。

年度後半のプログラムでは、辻井伸行さん、反田恭平さん等も出演が予定されています。辻井さんはショスタコーヴィチ、反田さんはプロコフィエフ。
大変な曲を弾きますね。
反田さんは、今日NHK BSで放送のドラマ「ベトナムのひびき」に出演されていましたね。セリフがちょっとぎこちない感じがしましたが…



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NHK Eテレ 追悼 マエストロ 小澤征爾 放送予定

2024-02-18 | クラシック音楽
2024.2.18

昨夜自分のBlogを見たら、過去に私が書いたピアニスト ブーニンのNHK BS放送予定についての投稿にアクセスが100以上あって驚きました。
何かあったのかと情報を探していると、ちょうどその時間に、NHK BSで以前の放送をリメイクした特別編をやっていて、途中から観たのですが、1月初めのサントリーホールで行われたブーニンのコンサートの様子も紹介されていました。コンサートがあったのは知っていましたが、放送予定までは情報を追えません。そのうち再放送があるでしょうね。

ところで、今月、世界の指揮者、小澤征爾さんが亡くなったことを受けて、
今夜、2月18日(日) 21:00~23:30 
NHKのEテレ「クラシック音楽館」で追悼番組が放送される予定です。
2016年10月、サントリーホール30周年記念ガラ・コンサートでウィーンフィルと共演した時の演奏やズービン・メータと共に指揮台に立った演奏等、小澤征爾さんの歴史に残る演奏の模様が紹介されるそうです。

私は1980~90年代に新日本フィルの定期会員になっていたことがあり、友人と毎月東京文化会館へ出かけていたことがあります。
新日本フィルは小澤さんが立ち上げたのでしたね。
小澤さんの指揮で演奏が聴けたのは、数回に一回でしたが、他に、山本直純さん、朝比奈隆さん、井上道義さん等も指揮をされたのを覚えています。
あの頃は、コンツェルトよりシンフォニーを楽しむ傾向にありました。
どの指揮者も個性的なのですが、特に違いを感じたのは、小澤さんが指揮をする日は、オケから緊張の空気が伝わってくる、音の乱れが一切ない。
カリスマ性というのでしょうか。そういうものを強く感じさせる方でした。

小澤さんの指揮で忘れられない曲があります。曲の内容は覚えていません。
プログラムももう手元に残っていませんが、多分、チャールズ・アイブズというアメリカの生命保険会社の経営者が作ったという交響曲(何番か不明)。
各楽器が違うメロディーをバラバラに弾き、はっきり言ってメチャクチャ、騒音にしか聴こえなかった曲です。
その時の小澤さんの指揮が印象的で、指揮台から降りて、それぞれの楽器演奏者の間を周りながら指揮棒を振っていました。
強弱もテンポも情感も何も伝わってこないような曲でしたけど、それでも指揮ができるのか、すごいと思っていました。
今考えると、あのような独創的で複雑な曲を演奏することが、小澤さんやオーケストラの挑戦の一つだったのかもしれません。

小澤征爾さんのご冥福をお祈りいたします。



















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11月イスラエル・フィル来日中止

2023-11-02 | クラシック音楽
今回は9年ぶりの来日公演の予定だったらしいのですが、今のイスラエル、パレスチナ情勢の悪化で、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の来日が中止になったそうです。
11月19日に横浜みなとみらい、20日に東京オペラシティ、21日福岡シンフォニーホール等、11月18日〜25日まての予定していた公演は全部中止、チケットの払い戻しが始まっているようです。
特に、19日と20日は、小林愛美さんが産後復帰でショパンのコンチェルト1番を演奏する予定でしたので、とても残念です。
今のイスラエルは、世界の中で微妙な立場になってしまいましたから、ロシアと同様、音楽活動が難しくなるでしょうね。



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