ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

2023.10.17 アレクサンドル・カントロフ ピアノリサイタル

2023-10-23 | ピアノ
2023.10.17

2019年チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門の優勝者、アレクサンドル・カントロフ(Alexandre Kantorow) のピアノリサイタルに行ってきました。場所は東京オペラシティ。
フランス人。22歳で初めて国際コンクールに挑戦し優勝。同時にこのコンクールの歴史上3度しか与えられないグランプリも獲得したそうです。
フランスのピアニストがピアノ部門で優勝するのは初めてとのこと。

演奏した曲は、ブラームスのピアノソナタ1番、バッハのシャコンヌ(ブラームスによる、左手のための編曲)、シューベルトとリストの歌曲集等から6曲。

カントロフのブラームスのピアノソナタは、ロマンティックであったり、奥に秘めた情熱やエネルギーが湧き出るような情感表現があったり、特別なものを感じました。
芸術的、かつドラマチック、時にフランス的な表現が現れる。

バッハのシャコンヌは、ブラームスの編曲により左手だけで演奏しますが、片手だけなのに、力強さと多彩な情感表現が印象的でした。
この曲は、クララ・シューマンが夫ロベルトが亡くなった後に右手を故障した際、クララに密かに恋心を抱いていたブラームスが、左手のために編曲しクララに捧げたものだそうです。



アンコールは、サン=サーンス オペラ「サムソンとデリラ」からデリラのアリア「あなたの声に私の心は開く」、ストラヴィンスキー バレエ「火の鳥」からフィナーレ、シューベルト/リスト 万霊節の日のための連祷 S.562-1、リスト「超絶技巧練習曲集」から第12番「雪かき」の4曲でした。

滅多にコンサートでCDは買わないのですが、カントロフの左手のシャコンヌが素晴らしかったので、また聴きたいという思いから、帰りがけに購入。

CD購入者のためのサイン会があったようですが、帰りました。女性ファンが大勢いて、私も20代か30代の時だったら、きっと帰りが遅くなってもサイン会に並んだかもしれません。
受賞歴や容貌等だけで演奏家に興味を持つ方もいますが、カントロフは写真のように若くて所謂イケメンに見えます。女性達は夢中になるでしょうね。
でもですね、若いのに頭のてっぺんがハゲていて…お辞儀するたびに見える…残念なことです (カントロフさん、暴露してごめんなさい).。
私はそんなことよりも、素晴らしいピアニストを発掘した気分です。



プログラムの記述によると、現在26歳のカントロフは、同年代の頃のブラームスは「バランスを欠いて不安定」、「自発的な感情が噴き出す」点で自分と似ていることもあり、ブラームスに親近感を覚え、生涯探求していきたいと語っています。
ブラームスの作曲した年齢に自分の年齢に重ね合わせて作品を弾いて行くというならば、もしかしたら、私は10年後20年後のブラームス作品を弾くカントロフの演奏は聴けないかもしれませんね。



さて、2019年のチャイコフスキー国際コンクールの話に戻りますが、
このコンクールでは、藤田真央さんが2位を受賞しています。
ファイナルで藤田真央さんが弾いたのはチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番とラフマニノフピアノ協奏曲第3番、カントロフはチャイコフスキーピアノ協奏曲第2番とブラームスピアノ協奏曲第2番。
チャイコフスキーコンクールではコンチェルトを続けて2曲も弾かせるのですね。

カントロフに興味を引いたのは、コンクールの時のチャイコフスキーピアノ協奏曲第2番の演奏動画を観てからです。メロディが頭に残るほど軽快な動き、オーケストラの音に負けないくらいパワフル。

今年6月に聴いた、読響X反田恭平さんのラフマニノフ第3番はパワフルで凄い演奏でしたが、反田流の第3番という印象でした。
ラフマニノフの曲性を感じさせてくれるのは、やはり藤田真央さんではないでしょうか。

今回のカントロフの演奏を聴いた翌日に、2021年のショパンピアノ国際コンクールで優勝したブルース・リウのラフマニノフピアノ協奏曲第2番を聴きました。
勢いがあり指の動きが細やかでとても素晴らしい演奏ではありましたが、ブルース・リウは、やはりショパン弾きのピアニストだなと思いました。
藤田さんのように、ラフマニノフを全身で感じ、オーケストラの音の細部に耳を傾け、ラフマニノフの協奏曲全体を楽しんで弾いている、ようには見えなかったわけです。

個人的な印象ですが、チャイコフスキーコンクール受賞者は、ショパンコンクールに向けて何年もショパンの練習を重ねてきたピアニスト達とは見ている景色や音の描き方が違うような気がします。
チャイコフスキー、ラフマニノフに関しては、チャイコフスキーコンクールの受賞者には敵わないし、ショパンに関しても同じことが言えるでしょうね。

参考までに、2019年チャイコフスキーピアノ国際コンクールの結果発表時のレポートをお借りして貼り付けました。


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2023.9.16 読響 オネゲルの交響的運動第2番「ラグビー」

2023-10-08 | クラシック音楽

先月、9月16日に東京芸術劇場で開催された、指揮者マリオ・ヴェンツァーゴによる読響定期演奏会で、曲の一つとして、アルテュール・オネゲル作曲の交響的運動第2番「ラグビー」が演奏されました。
ラグビーのワールドカップの開催に合わせた指揮者の選曲なのか、それとも偶然そうなったのか、時宜を得た演奏です。
作曲家オネゲル自身、スポーツを好んでいたようで、あえてラグビーをテーマにした曲を作ったのは、スポーツの中でもラグビーのスクラムやパスの要素が音楽に結びつくからだそうです、と解説に書いてありました。
私にはその辺がよくわかりませんでしたが、曲を聴きながら(?)、これから始まる日本✕アルゼンチンの試合を観戦したいと思います。

これは読響のではありませんが、検索して出たYouTubeをお借りしました。
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