ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

富士見坂を登ってブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴きに行く

2025-01-05 | ヴァイオリン
昨年最後のコンサート記録です。

2024.12.22

川崎市の宮前区に宮前フィルハーモニー交響楽団というアマチュアオーケストラがあり、その定期演奏会のソリストとしてヴァイオリニストの東涼汰さんが演奏するとひと月前に本人が告知されていたので、チケットを買っておきました。
チケットはなんと1,000円。
開場は開演の45分前でしたが、自由席なので、早めに並ぶ人がいると思い、家を早く出ることにしました。
場所は、川崎市宮前区の宮前市民館、宮前区役所に併設されています。
最寄り駅は田園都市線の宮前平駅で、そこから徒歩7-8分と案内に記載されているのですが、地図をよーく見ると、富士見坂という坂の先にあります。
私の知る限り、富士見坂と呼ばれている坂は、傾斜がきつい。
でも、バスがあるからそれで行けば良いかなと安易に考えていましたが、日曜は区役所へ行く人も少ないためか本数が少なく、駅に着いてから20分ほど待つことになりそうだったので、歩くことにしました。
道順は単純なのですが、約10.6%の急勾配。区役所は約400メートルを登った頂上にあるのです。区役所のすぐ手前には小学校があり、所々の横道はどこも傾斜あり。奥には住宅地が拡がっています。
子供達は足腰鍛えられますね。
寒い日でしたが、コートの中は汗だく。
ホールに辿り着くと、入口には50名ほどの人の列。年配者、高齢者が多い。家族連れもいましたが、並んでいると、私よりも高齢と思しき人々がどんどんやってきます。足の悪い方もいらっしゃいました。
ほとんど地元の人達だと思いますが、この起伏の多い土地で、皆、どこからどうやって来たのだろう、坂を登ってきた??疑問が残ります。

ところで、コンサートですが、
指揮者は久世武志さん。この名前は聞き覚えがありました。海外でも活躍されるプロの指揮者です。
ヴァイオリニストの東涼汰さんは、昨年のブラームス国際コンクールで2位を受賞した際に演奏した、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を披露されました。
宮前フィルはというと、そこそこ歴史のある楽団で、指揮者の指導もあってか演奏はきれいでしたが、音の強弱の調節を上手くできない演奏者がいますね。

一番残念だったのはホールです。いわゆる公民館ですから、クラシックコンサート用に音響設計されていないのは当然ですが、音がステージの上だけで鳴っていて会場に拡がらない構造です。振動で伝わるはずの弦楽器の音が聴こえづらい代わりに、パワーの出る金管木管がやたらに目立って聴こえてしまうのです。弦楽器の音は揃っていたようなので、音響の良いホールだったらなあ、という思いです。

そのようなオーケストラの質と音響条件の中、管楽器の音にソロヴァイオリンの音がかき消されてしまう場面がありましたが、東さんは集中して演奏されて見事でした。特に見せ場であるカデンツァは素晴らしかったですね。

曲目:
山田耕作:序曲ニ長調
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
シベリウス:交響曲第5番変ホ長調Op.82
(私が聴いたのは、ブラームスまでです。)

東さんのアンコール曲は、パッヘルベルのカノン。

東亮汰さんは、かつてお母様がこの宮前フィルにヴァイオリン奏者として所属していたことがあり、小さい頃によく宮前市民館に連れて来られたそうです。自分がその楽団とステージに立っていることに感慨深そうでした。

途中で退席したので、日が沈まないうちに富士見坂から富士山を見つけました。
もっと見えるかと期待しましたが、頭だけしか見えません。(笑)
写真の電柱の位置で傾斜の凄さがわかると思います。



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ストラディヴァリの優美な音色に酔いしれた日

2024-09-15 | ヴァイオリン
2024.9.3

初めての紀尾井ホール。
四ツ谷駅から少し歩くので、台風の影響で雨が降るか心配しましたが、幸い行きも帰りも降られずホッとしました。実は、2日前に軽いぎっくり腰になったため、雨だとちょっと辛いかなと思っていたのでした。

途中でホールの駐車場に黒塗りの車が入るところに出くわし、要人でも来るのかと思いながら、ホールの正面へ向かいました。
開場時間ぴったりに到着すると、入口に警備員が数名いて、荷物検査をされました。いつもこうなのだろうかと思いましたが…
毎回チケット確保で一喜一憂していますが、今回は中央ブロックの3列目、良い席が取れたと満足しています。


毎年開催しているという、日本音楽財団主催ストラディヴァリウス・コンサートの室内楽編です。この財団から貸与されたストラディヴァリを持って18名の弦楽器の名手が国内外から集結しました。

開演直前、突然後ろの方で拍手が沸き起こりました。振り返ると、天皇陛下ご夫妻と愛子様が2階の最前列の席に並び、にこやかに開場の観客にお辞儀をされました。不思議と嬉しい気分になりましたね。
隣に座られた男性は、同じ空間で聴けるとはすごい…と呟いて嬉しそうでした。



私のお目当ての奏者は、レイ・チェン、と2021年のメニューイン国際ヴァイオリンコンクールで優勝した、スペインのマリア・ドゥエーニャス21歳でしたが、演奏者は全員、世界で活躍する名手揃い。金川真弓さん、吉本梨乃さんも抜群に上手い。こんな贅沢なことはないでしょうね。普段コンチェルトでソロを弾くようなレベルの人たちが、アンサンブルで、セカンド、サード等を担当します。普段とは勝手が違うパートだと思うのですが、どの曲も息がピッタリ。流石です。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのストラディヴァリは合わせて17挺、それとグァルネリ・デル・ジェスのヴァイオリン1挺。ストラディヴァリもいろいろ、それぞれ音質、響き、個性が違います。
1挺だけのグァルネリ、音にボリューム感があり圧力を感じました。
たくさんのストラディバリウス、アンサンブルでは音が重なって違いがわかりにくかったのですが、私にはストラディバリはグァルネリより響きが若干弱いという印象があり、弓の毛が切れてしまうストラディバリ奏者が何人かいましたが、音量を強く出すために弓を力強く引いていたせいではないかと思いました。1艇だけ、音がゴーンと大きく出るストラディバリもありました。

プログラム:
・メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第6番へ短調Op.80から第1楽章
・コダーイ 2つのヴァイオリンとヴィオラのためのセレナードOp.12から第1楽章
・ユオン シルエットOp.9から第1番《牧歌》、第3番《風変わり》
・モシュコフスキ 2つのヴァイオリンとピアノのための組曲ト短調Op.71から第1楽章
・ドヴォルザーク ミニアチュアOp.75aから第2楽章、第3楽章
・ダンクラ 4つのヴァイオリンのためのファンタジー《ヴェネツィアの謝肉祭》Op.119
・メンデルスゾーン 弦楽八重奏曲変ホ長調Op.20全楽章

出演者(使用楽器);
・ゴルトムント・クァルテット:
 ・フロリアン・シェッツ (Strad. 1727年製ヴァイオリン「パガニーニ」)
 ・ピンカス・アット (Strad. 1680年製ヴァイオリン「パガニーニ」)
 ・クリストフ・ヴァンドーリ (Strad. 1731年製ヴィオラ「パガニーニ」)
 ・ラファエル・パラトーレ (Strad. 1736年製チェロ「パガニーニ」)
・前田妃奈 (Strad. 1700年製ヴァイオリン「ドラゴネッティ」)
・ティモシー・チューイ (Strad. 1709年製ヴァイオリン「エングルマン」)
・マリア・ドゥエニャス (Strad. 1710年製ヴァイオリン「カンポセリーチェ」)
・レイ・チェン (Strad. 1714年製ヴァイオリン「ドルフィン」)
・外村理沙 (Strad. 1715年製ヴァイオリン「ヨアヒム」)
・吉田 南 (Strad. 1716年製ヴァイオリン「ブース」)
・イム・ジヨン (Strad. 1717年製ヴァイオリン「サセルノ」)
・ジュゼッペ・ジッポーニ (Strad. 1722年製ヴァイオリン「ジュピター」
・金川真弓 (Strad. 1725年製ヴァイオリン「ウィルヘルミ」)
・リュン・リー (Strad. 1735年製ヴァイオリン「サマズィユ」)
・吉本梨乃 (Strad. 1736年製ヴァイオリン「ムンツ」)
・カミーユ・トマ (Strad. 1730年製チェロ「フォイアマン」
・ベンジャミン・パイルマン (Guarneri del Gesu 1740年製ヴァイオリン「イザイ」
・池田菊衛 (Strad. 1690年製ヴィオラ「メディチ」

ピアノ伴奏
・江口 玲 (1887年製 スタインウェイ「ローズウッド」)

最後に18名がステージに勢ぞろいし、レイ・チェンがリードして、各演奏者に自己紹介と各自の楽器の紹介を促します。
中でも、ヴィオリストの池田菊衛氏の使用したヴィオラ・1690年製のストラディヴァリウス「メディチ」は、ワシントンDCの議会図書館で保管されているもので、50周年のこのコンサートのために特別に貸し出されたそうです。これを演奏した池田氏は、久しぶりに会えて感慨深いとコメントされました。

最後の最後に18名全員で行ったアンコール演奏は圧巻でした。あのメンバーでの演奏は2度と聴けないかもしれない貴重な時間でした。
アンコール曲は、ガルデルのポル・ウナ・カベサと、シャボラックのサーメルベルガー・マーチの2曲。

紀尾井ホールは音響がとても良いです。



後日知ったのですが、同じプログラムで9/1に大阪でもコンサートを予定していたらしいのですが、台風による大雨で中止になったということ。楽しみにされていた方々はさぞ残念だったと思います。

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東亮汰さん、ブラームス国際コンクールで第2位受賞!

2024-09-08 | ヴァイオリン

私が応援しているヴァイオリニスト東亮汰さんが、9月1日からオーストリアで開催のヨハネス・ブラームス国際コンクールで第2位を受賞されました。おめでとうございます!
1位とはわずか0.02ポイントの僅差だったということで、ご本人は悔しいようです。

他にもヴィオラ、ピアノ部門などで日本人が受賞されています。最近の音楽界、日本人の活躍が目覚ましいですね。

東亮汰さんは国内での受賞歴はあるのに国際コンクールでの実績が今までなかったので、この受賞はとても嬉しいのですが、コンサートチケットがますます取りにくくなるのは困りますね…。
とはいえ、これから海外公演なども増えていくでしょうし、世界レベルの演奏家になってほしいです。😊
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井上道義さんのラスト・ショスタコーヴィチ✕服部百音さん

2024-07-01 | ヴァイオリン
2024.6.29

サントリーホールで開催された指揮者 井上道義さん✕ヴァイオリニスト服部百音さん✕NHK交響楽団の公演を聴いてきました。
井上道義さんは、今年指揮者を引退される予定なので、東京サントリーホール、大阪フェスティバルホールでの服部百音さんとの最後のショスタコーヴィチのコンサートツアーとなりました。

曲目は、
・ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調Op77
・ロッシーニ 歌劇「プルスキーノ氏」序曲
・ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲第2番嬰ハ短調Op129



ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲を1番だけでなく2番も演奏するなど前代未聞(?)
1番だけでもかなりの激しさですし、2番も弾くとなると体力がいるでしょうね。

前半のショスタコ1番、ソリストにとっては難曲です。超絶技巧の上に、ソロパートはほとんど休みなく弾き続ける曲構成になっているからです。この曲を何度も演奏している百音さんですが、この日の演奏は特にパワフルな気がしました。

休憩15分ほどで後半のロッシーニの曲が始まりました。恐らく曲の長さは5分程度。次にショスタコ2番のために登場した百音さん、少し段差のあるステージにやっとの思いで上がり中央まで歩いてきましたが、何か辛そうで、観客の前で2〜3分背を向けて、演奏できるような状態ではありませんでした。足を痛がってる様子でしたが、体全体も疲労しているようでした。それでも、プロ意識と井上道義さんへの送別の思いが強かったのでしょうね。体が整うと前を向いてヴァイオリンを構えます。それからは痛みなど何もなかったように2番を弾き続けました。
考えてみれば、1番から2番の演奏に入るまで、多分20分〜30分程度しか休憩できていません。ずっと立ったまま弾くわけですからきついですよね。
これを6/30も大阪で同じことをしたはずなのです。

百音さんの演奏は本当に素晴らしかったの一言です。渾身の力を絞った、という表現が合ってるのではないでしょうか。
指揮者井上道義さんの送別でしたが、コンチェルトはソリストが主役になってしまうので、送別される指揮者はあまり目立ちませんでしたけど、ロッシーニの曲は、井上さんらしいユーモアのある振りで楽しませてもらいました。


(オケが引き上げて、観客が帰り始めている時に、挨拶に出てきた服部百音さんを帰り際にパチリ。やり遂げた安心感からか、泣いていました)

余談ですが、客席に黒柳徹子さんや小泉純一郎元首相がいらしていて、小泉元首相とは通路で鉢合わせになり、知り合いでもないのにお辞儀してしまいました。😄
わかりにくいですが、右側後ろから4列目の席、男性2人に挟まれている背の低い頭が黒柳徹子さんです。前からの撮影は容易でしたが、勝手に撮影するのは失礼かと思い、後ろからこっそり。


コンサート中は写真撮影は当然NGであり、勿論カーテンコールもコンサートの最中ですので撮影がNGであることは、クラシックファンの間ではマナーの一つとして周知のことです。
カーテンコールで井上さん百音さんが挨拶に出てきて拍手喝采を浴びている時に、一人の男性がスマホで写真を撮り始め、それを見て、我も我もとスマホをかざして撮影し始めました。その数多数。殆どが中高年の男性。2階からはフラッシュが四方から点滅。
見苦しく、呆れるばかりでした。
サントリーホールも、井上道義さんラストコンサートで寛容になっていたのか、写真撮影NGではなくフラッシュNGの札を持って歩き回っていました。
写真撮影は容認していたのかもしれませんが、スマホ画面が会場のそこかしこに散らばって見えるのは「不快」そのものです。
怒りで感動熱が冷めてしまいました。
今後コンサートで、こういう人たち、マナーを理解せず写真を撮り、注意されても無視する人たちが増えるのではないか危惧しています。
それに反して、若い人たちの方がマナーを心得ていますよ。

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クライスラーを弾きたい

2024-06-30 | ヴァイオリン
3月頃からずっと下書き状態になっていた投稿を今頃アップしています。

昨年末でヴァイオリン学習歴は丸5年となりました。
今までレッスンに使っていたバイオリン名曲集33選、曲集の全部をレッスンしたわけではありませんが、弾けると思っていたハンガリー舞曲(重音満載)に手擦り、次のレッスンは何の曲にしよう、となった時に、残りの曲はチャルダッシュやツィゴイネルワイゼン…、など上級クラスの曲。弾いてみたいけど、まだ早いんじゃないか?と自問自答。
ハンガリー舞曲は、小学生でも弾けそうな重音なしの楽譜もあると思うのです。でも、この曲集はほとんどが原曲に近いのか難易度が高い。レッスンでは楽譜通りに弾くのが基本。
考えた末、以前に興味本位で買っておいたクライスラーのヴァイオリン名曲集を先生に提案しました。

ヴァイオリン史上の名手で作曲家といえば、パガニーニやサラサーテに並び、フリッツ・クライスラーでしょう。
よく演奏されて有名な曲はこの3曲で、クライスラーのウイーン古典舞曲集の代表作です。
・愛の喜び
・愛の悲しみ
・美しきロスマリン
どれか1つでも弾けるようになりたいと思っています。

まずは、「美しきロスマリン」。
アップボウ・スタッカートで始まります。
弓を返せずに、弓を上向きに、タッタッタッタッと一弓で連続してスタッカートをスラーにして演奏するテクニックです。
コツを掴むとできるようになりますが、スラーが2小節に亘る青線の箇所、A線→D線→G線→D線と弓を移動させますが、GからDに戻る時に一弓では足りなくなってしまいます。弓の配分や右手首の動かし方が鍛えられる所です。

この曲の前半のメロディーは後半でも繰り返されるのですが、弓の向きが前半とは逆になっているので、引っ掛からないように譜面を注意深く読む必要があります。上の譜面(前半)の赤線と下(後半)の赤線の箇所は同じメロディーでも弓の運びが違います。上の弾き方に慣れてしまってなかなか適応できず苦戦…。
YouTube等でプロが弾いているのをよく見ると、ほとんど前半と同じに弾いています。レッスンだから楽譜通りに弾かなければならないのが辛い…です。


一見易しそうに見えた曲集ですが、楽譜の細かいところに難しさを感じます。どの曲も運指や重音等のテクニックの練習になりそうなものばかり。


この曲集の中に、発表会で弾きたいと思える曲がいくつかありました。
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