2024.5.17
初めてミューザ川崎シンフォニーホールへ行きました。
サントリーホール等数々のコンサートホールの音響設計を手掛ける豊田泰久氏のデザインです。
豊田氏のホール設計の特徴は、vineyard型と言われる山間のブドウの段々畑のように、ステージの周囲すべてを客席がすり鉢状に囲む型式なのだそうです。
この1枚は他のサイトからお借りしました。
余談ですが、2011年東日本大震災のときにホール天井が崩落したニュースが報じられましたが、その後、川崎市が設計ミスだとして、建築設計・施工業者に20億円の賠償請求をしましたが一審二審とも棄却されたという話です。
演奏を聴いている間、ドーンと天井の辺りから音が一発聞こえてきましたが、音楽ホールでそんなこと…、ありますかね。
このホールの音響について、イギリス人指揮者サイモン・ラトル(ベルリン・フィル)が「あり得る可能性の中で完璧に近い」と語っています。そんな”完璧に近いホール”、実際はどうなのか気になっていました。
この日のコンサートは、米国のヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンと、ピアニスト、アンドレアス・ヘフリガーのデュオ。
曲目は、ブラームスのソナタ、1番、2番、3番。
ホールはJR川崎駅の中央改札を出て左方向に外に出ると建物がもう見えます。外観、楕円形の建物です。
ミューザの建物入口を入ったところ。
奥のエスカレーターを上がるとホールの入口ロビーに出ます。
内部、2階〜4階席はホールを囲むように設置されていますが、自分の席までたどり着くのにちょっとした迷路にはまります。
写真にあるように、ステージ横の2階席は列が斜めになっています。こちら側も同じ。2階席の最前列、1列約15座席の真ん中辺が私の席でした。自分の席へ「すみませ〜ん」と入っていくと下りスロープ、出るときは上りスロープ。変な気分でした。座っている間は自分の体が斜めになっていたのか感じませんでしたが、開演前は体調がすこぶる良かったはずなのに、終わって立ち上がると、めまいがして気分が悪くなりました。
ところで、音響はどうだったかというと、ピアノに関しては響きが良いと感じましたが、ヴァイオリンに関しては「完璧」とは言い難く、普通の音響という印象。近すぎたせいでしょうか。
でも、同じような位置であれば、横浜のみなとみらいホールの方が断然良いと思いました。
ヒラリー・ハーンさんは、ファンがかなり多いようなのですが、客層を見ると男性の数が圧倒的に多い。特に学生と思しき若者。
そういえば、NHKのアニメ「青のオーケストラ」の主人公の父親の吹替え演奏をしていました、その効果かもしれないと、後で思い出したのでした。
40代、白髪のショートヘア、青いレース素材の長袖のロングドレスで登場。
グラミー最優秀賞を3度ほど受賞している以外に特に国際コンクールの受賞歴はなし。
なのですが、知名度が高いのです。
ですので、期待して聴きに行ったのですが、良くも悪くもなく普通でした。
技術力は高いのですが、今回のブラームスのソナタ、1番〜3番まで、曲の解釈が浅いのか、ブラームスの情感が伝わって来ない、軽い感じがしました。
好みの違い、と言ったらそれまでですが、40代位になれば、経験などから演奏家の心情みたいなものが音に表れてくるものなのですが…。
私の考えている基準が高すぎるのかも知れませんね。
アンコール演奏は2曲。1曲目は、ウィリアム・グラント・スティルというアフリカ系米国人作曲家の「マザー&チャイルド」、これはとても良かった。ヒラリーさんは、ヨーロッパクラシックより米国の曲を演奏すると良いのではないでしょうかね。
2曲目はブラームスのFAEソナタの3楽章スケルツォ。
使用したであろうヴァイオリンは、恐らくヴィヨーム1864年。
これはホールのパイプオルガン、いつか聴いてみたいですね。
次回は、ホール1階の中央席を選びたいと思います。音響の違いを確かめたいし、斜めは、やはり体調によくないです。