集成・兵隊芸白兵

 平成21年開設の「兵隊芸白兵」というブログのリニューアル。
 旧ブログ同様、昔の話、兵隊の道の話を続行します!

改訂版・「見てわからんものは聞いてもわからん」

2016-02-09 19:44:41 | 兵隊の道・仕事の話
 これは、旧ブログで全く同じタイトルのものを記載していたのですが、旧ブログを自らの手で閉鎖しちゃったので、再び記載します。

 この名言の出典は、うちのオヤジです!!!!!!!!

 「親バカ」ならぬ「子バカ」を承知で言わせて頂ければ、うちのオヤジはまあ、いろいろとハイスペックな人です。
 山口県では知らぬ者のないフェリーの船長として定年まで無事故運行!しかも機関長もできる資格持ち!難所だらけの瀬戸内海を、どこでも海図だけで走れる!大工も電気工事もできる!家も建造できる!
 ・・・酒癖がほんのちょっと悪い(焼酎を飲むと、とくにひどい)以外、まあ、これほどなんでも高いレベルで出来る人を、私は本当に知りません。

 このオヤジに、小さい頃から何かものを習おうとすると、決まって言われたのがタイトルの名言でした。
 小学生・中学生のガキンチョのころは、「なんでそんなことを言うんだ・・・」と、がっかりした気持ちになってばかりでした。
 まあ、何をしても褒めてくれるということがなく、「そんなもんだ」「その程度だ」くらいしか言ってくれませんでした。

 しかし、今の仕事をするようになり、様々なことをする過程において、そして格闘技を人生の座右に置くようになって、オヤジの言っていた「見てわからんものは、聞いてもわからん」という名言の意味が、なんとなくわかってくるようになってきました。
 とくに、団塊の大量退職に伴い、職場に多数送られてくるゆとり世代を見ていると、「何もかも与えられ続ける人生を送ると、人はここまで劣化するのか」と虚しい気持ちになることもしばしばです。
 まあこれは、若い人たちの責任ではなく、いままでその教育を担当した学校のバカ教師と、うちの兵隊養成所のバカ教官が悪いんですが(^_^;)
 懇切丁寧にあれもこれもと教えてくれるのは、こっちがゼニを払う「お客様」である習い事の時だけ!
 本当に必要なことは、自分の全力を持ってアンテナを立て、しっかり観察し、しっかり反復しないと身につくはずがない!
 あれはそういうことだったのか、と、年を経るごとに感服すること大でした。
 
 私もめでたく兵隊20年生になった現在、ようやくオヤジと一緒に話しながら酒を飲めるようになり、仕事の話もできるようになりました。
 あるとき、「見てわからんものは聞いてもわからん」という名言について、その真意を聞いたことがあります。
 するとオヤジは意外なことを言いました。
 「あれはのう、おまえの爺さんが言いよったんよ」。
 私のじいさん、オヤジのオヤジ。あの、強さと厳しさ、そして酒の強さにかけては天下一品だったあのじいさんの言葉だったとは・・・・(°д°)

 実家の借金のカタに高等小学校を強制退学させられ、14歳から文字通り死ぬ思いで船員として勤め上げ、兵隊としてはリアル「兵隊やくざ」として活躍?、復員後はやはりフナノリ一筋、レーダーもGPSも当然なく、マグネットコンパス1丁と海図だけで瀬戸内海を縦横無尽に駆け回ったあのじいさんの言葉だったといいますから、まあ、説得力があります・・・。

 そんなじいさんと、なんでもできるオヤジの実績に裏打ちされた「見てわからんものは、聞いてもわからん」は、万金の重みがあります!!!!!

 何十年か後に、私が今の仕事を終え、格闘技をやめるとき、そう言えるだけの見識と技術を備えていられるかなあ・・・本当に心配です。不安です。
 しかし、今はとにかくできることをやるしかないっすね。
 「見てわからんものは、聞いてもわからん」と迷いなく言えるようになる、その日まで。

3 コメント

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Unknown (還暦過ぎ武道オヤジ)
2016-02-10 06:06:04
昔かたぎの父親やお祖父さんから受け継ぐ“男道”・・そうありたいと思うものの現実は「いまどきの男の子を育てる(躾ける)のは難しい」という言葉に妙に納得し・・昔は厳しかったが今は言葉巧みにおだてて指導している“武道オヤジ”。やめられたら元も子もないのです。「いつかは目覚める!」と信じ、辛抱強く教えるしかありませんね、みーんな強くなってほしいのですが・・
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Unknown (三人の子持ち)
2016-02-11 10:44:00
素早らしい家系ですね。
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そんな大した話ではないのですが… (周防平民珍山)
2016-02-15 13:55:34
 コメ頂きましたお二方、いつもありがとうございます。
 本当に大した話ではないのですが、まあ、今時の時代にはそぐわないけれど、こういう物の教え方をする家がまだ現存する、という程度の認識でご笑納頂きますれば幸甚です。
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