徳川慶喜log~徳川と宮家と私~

徳川慶喜家に生まれた母久美子の生涯、そして私の人生。

私・井手純〜大学から帝国ホテル時代⑥〜

2019-06-02 05:00:00 | 日記
こんなこともあった。
私の結婚後、暫くは高輪に両親と同居していたが、父の勧めで近くの所にマンションを購入することになった。
帝国ホテルの厚生課に頭金の借用を申請した。

必要な書類を揃えて提出し順番を待ち、当日厚生課長の面接を受けた。
個室に入り書類を渡すとろくに目を通すこと無く、いきなり「井手は駄目だ!」と言われた。
はじめは、何を言っているのか理解できず、冗談だと思い半分笑いながら聞いていると厚生課長は「オヤジが金持ちなんだから出してもらえ。他に困っている連中が沢山いるんだ。」
と、真面目な顔で言われた。

私も若く短気でもあったので、彼の良く無い、いわゆる上から目線の話し方につい「俺はあんたから借りるんじゃない。きちんと手順通り権利としてきているんだ!ふざけるな!」と言い残し、椅子を蹴飛ばして部屋を出てしまった。

結局会社から借りることは出来ず、仕方なく父に相談して父と共同名義で購入することになった。
父は会社勤めをした事が無かったので、細かいことは分からず「あんまりかっかするな。」となだめられた。


徳川おてんば姫(東京キララ社)