徳川慶喜log~徳川と宮家と私~

徳川慶喜家に生まれた母久美子の生涯、そして私の人生。

私・井手純〜帝国ホテル時代2-番外編②〜

2019-06-17 05:00:00 | 日記
「大荒れの婚礼」(続き)

ある日の週末、約300名の披露宴の担当になった。
先ずは、両家のご両親にご挨拶をするため、宴会場4階の小部屋に向かった。小部屋の前に行った時、何かいつもと違う異様な雰囲気を感じた。
入口には、まるで番人のような強面の人が立っており、昼の披露宴にもかかわらず中では母親らしき人が親族に焼酎の水割りを作って配っている。
式が10時、披露宴は12時からなので、まだ9時過ぎのことであった。(通常は桜湯を出すのである。)

朝から皆さんよくお飲みになるなと、思いながら一礼をして室内に入った。
窓際の中央のソファーにご新郎の父親らしき方がおられたので、前に行き「本日担当責任者の井手でございます。」と挨拶をすると、父親は私の手を突然握り「おお!よろしく・よろしく頼むよ。慣れて無いから何にもわからないんだ。とにかく、よろしく!」と何度もいわれた。
母親も気が付いて一緒に挨拶された。
ご媒酌人も紹介して頂き、とりあえずスタートした。

ご両親ともとても喜ばれて居たので、少し安心して隣りの新婦側のご両親にも挨拶を済ませた。
当日は大安吉日のこともあり宴会場は全て埋まっていた。
式の15分前に新郎も羽織袴で、新婦は介添えに手を引かれながら到着された。
新郎は180センチの立派な方で今風にいうと”かなりのイケメン”の好青年であった。
この時が私との初対面であった。
式の6~7分まえに両家の親族一同廊下に並んで頂き式場へ向かった。
この様に分刻みの移動で進行していくのである。

(続く)

徳川おてんば姫(東京キララ社)