徳川慶喜log~徳川と宮家と私~

徳川慶喜家に生まれた母久美子の生涯、そして私の人生。

私・井手純 〜徳川家とのおつきあい⑤~

2019-06-28 05:00:00 | 日記
一方、いとこの慶朝は、初等科から私立森村学園に行っておりそのまま中等科へ進んでいた。
慶朝は2月生まれ、私は12月生まれのため学年は私が一つ下だった。

私が中等科一年の3学期が始まったばかりの時にある事件が起きた。
それは2学期の頃より、体育の時間の時に起きていた。
皆制服から体操服に着替えた。
私の席の周りの生徒は皆舶来の万年筆を持っていた。
それが、次々に盗難にあっていた。
私は国産の普通の物しか持っていなかったので被害にあわなかった。
それで疑われたのか、ある日母が学校に呼び出しを受け事情を聴かれた。
ようするに、犯人扱いされたのだ。

一方的な話に母は激怒してその日の夕刻、すぐに森村学園長に話をした。
学園長の森村義行氏とは面識もあり、慶朝も通っていたので話はしやすかったのだと思う。
学園長は話を聞いて「明日から来させなさい」と言って下さった。
何もわからず私は学習院の制服で、《翌日》から森村学園中等科へ行くことになった。

徳川おてんば姫(東京キララ社)