昨年11月9日、宮崎県警が山本至弁護士を証拠隠滅容疑で逮捕された(末尾引用記事参照・2回目の脅迫容疑での逮捕については、※1、※2)。担当した刑事事件の公判で「真犯人が別にいる」との虚偽の証拠を裁判所に提出した、という容疑だ。しかし、そもそも、弁護活動は被告人側に有利な事実を収集し提出することが職務であり、場合によっては、提出したものが結果的に虚偽のものであることはありうる。したがって、虚偽の証拠作成に荷担したことが証拠上明白でない限り、逮捕するべきではない。安易に逮捕することは弁護活動一般に対する弾圧となり、弁護士を萎縮させることになる。しかし、どうも、山本弁護士の事件は、当初の新聞報道でも、作成については【書面は2月下旬、組員と親しい暴力団幹部が、知人の男性2人を東京都新宿区の喫茶店に呼び出し「おまえらがやったという文面を書け」と書かせていた】という程度であり、作成過程に山本弁護士が関与したとはされていないようなのだ。これは、非常に重要な事件だ。憲法が保障する次のような権利が侵害されることになる。
第三十七条【刑事被告人の諸権利】
1 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
そこで、山本弁護士を支援する弁護団の支援協力要請文を紹介したい。多くの方に日本の刑事システムがここまで危険な状態になっている実態を伝えていただきたい。
■■要請文引用開始(プライバシーの観点から一部省略、置き換えしています)■■
山本弁護士弁護団及び同弁護団を支援する会への協力のお願い
平成19年1月15 日
東京弁護士会会員各位
第一東京弁護士会会員各位
第二東京弁護士会会員各位
東京弁護士会会員
山本至弁護人弁護士 鎌 田 勇 夫
新聞報道等によりすでにお聞き及びとは存じますが、元東弁司法修習委員会委員でもあり、これまで多数の司法修習生の指導を担当された東弁会員である山本至弁護士(44期)が平成18年11月 9 日証拠隠滅容疑で逮捕され、20 日間の勾留後、11月 30日に起訴されました。
山本弁護士の容疑は、担当する刑事事件の弁護活動に関するものですが、山本弁護士はその事件の被告人が無罪であると確信して弁護をしていたところ、その公判が継続中に逮捕・勾留・起訴されたものです。結論から申せば山本弁護士は弁護活動について何らやましいことはしておらず、潔白であり、本件は明らかな菟罪事件です。
以下、事件の概要と本件の含む問題点を御説明し、山本至弁護士弁護団への参加及び同弁護団を支援する会への協力を要請いたします。また、昨年12月に行いました支援のお願いの時点以降の経過等について報告をいたします。
1 事件の概要
山本弁護士は、被告人A氏に対する盗品等有償議受け(振り込め詐欺に使用する預金口座通帳の売買)事件の弁護人として活動し、A氏は他の真犯人と人間違いで逮捕されたのであり、無罪であり、真犯人はBであると名指しする弁護活動を展開しました。
山本弁護士はBが真犯人であると名指しする前に真犯人がBであるとの情報を得た後、本人と会って確認し、自首を勧めたのですが、Bはいったん自首することを了解しながらその後行方をくらましたため、やむなく裁判所にBが真犯人であると冒頭陳述において名指しし、かつBを証人申請し、公判において証言を求めました。しかしBは前言を翻し、自分は真犯人ではないと証言をしました。山本弁護士はBの証言中にたしかBの関係者Cが自分達が犯人であることを認めた文書(真犯人ではないAのために弁護費用等を提供するという内容)を書いており、それを預かっていることを思い出し、これを証拠申請したうえCの証人尋問の際に示して証言を求めたところ、Cも前言を翻し、その文書は山本弁護士に脅かされて書かされたものだと証言しました。
公判立会検事は以上の経過から山本弁護士が証拠を偽造し、かつ、偽造した証拠を使用したものとして、宮崎県警をして山本弁護士を逮捕させるとともに、Aの刑事弁護記録一式を押収し、20日間の勾留の後、山本弁護士を起訴するに至りました。
2 問題点
以上の経過から、明らかなように山本弁護士にはそもそも証拠偽造の故意はなく、偽造の行為もありません。山本弁護士が証拠として使用した文書は元々Cが、MAを運転手として使っていたDに対して交付し、Dが山本弁護士に預けたものです。
したがって、山本弁護士に対する容疑は明らかな菟罪です。
本件にはいくつかの問題点があります。以下に列挙します。
・山本至弁護士と宮崎県轡及び宮崎地検との間には当初から感情的な対立があること。山本弁護士はAの捜査段階でAとの接見を妨害され、宮崎県に対して国家賠償請求訴訟を提起しています(東京地裁に係属中)。
・Aの捜査及び公判立会担当検事が宮崎県警による山本至弁護士逮捕の指揮をし、自ら山本弁護士の取調べを行い、かつ起訴をしていること。極めてアンフェアなやり方であり、検察の見識を疑います。
・山本弁護士逮捕に伴ない、宮崎県警は山本弁護士の自宅と事務所を家宅捜索し、A氏の刑事事件弁護記録一式及び訟廷日誌等を押収したこと。Aの事件は論告・求刑及び弁論を残しており、明らかな弁護活動の妨害です。
・担当検事は、山本弁護士から押収したAの弁護記録中の接見メモをもとに山本弁護士の取調べをしたばかりでなく、共犯者とされる者の取調べにも用い、さらには事実上の弁護人不在状態でAの起訴後の取調べにも用いたこと。特にAの公判係属中でありながら被告人であるAを取調べるという違法行為を行っていること。担当検事は押収した山本弁護士の接見メモをテコにAから盗品等有償議受けについての自白を得ようとしています。
・山本弁護士に対する公訴事実には、共犯者がいるとされており、共犯者としては、Aを運転手として使っていたDら3名が逮捕され前記担当検事が取調べを行いました。これらの者の取調べにあたっては違法な切りちがえ尋問による取調べの手法が用いられ、虚偽の情報を与えることによる共犯とされた者達の間の離反が図られています。
上記3名のうち、Dについてはすでに起訴され、通常の手続で公判が行われる予定です。一名は処分保留のまま釈放されています。残る一名は再逮捕され、さらに再々逮捕までされて取調べを受けていますが、いずれの逮捕も証拠隠滅事件の取調べを目的としており、明らかに違法な別件逮捕の繰り返しが行われています。
・真犯人と目されるBとその関係者Cも一旦、逮捕はされましたが、10日間の勾留の後釈放されています。BとCに対する取調べにおいて誤謬隠蔽のための暗黙の合意のもとに利益誘導によって山本弁護士らによる圧迫があったとする調書が埋造された疑いが強く推測されます。
・その他、Aの事件の真犯人と目されるCとその関係者Dの多くの関係者も次々に取調べを受けており、それらの者がCはAの事件の真犯人が使っていたとする「X」という偽名を使っていたことを述べても捜査機関は一切それを調書に探ろうとしないという不当な対応をしています。検察及び警察はAを人間違いで誤認逮捕したことを認めざるを得ない状況であるにもかかわらず、強引にその事実を隠蔽し真犯人を隠避しようとしています。
以上からもわかるように本件は、重大な刑事弁護活動に対する侵害であり、被告人の弁護を受ける権利及び弁護士の弁護権に対する甚だしい侵害です。担当検事の手法は無罪を主張する弁護人を逮捕し、弁護人の記録中から有罪立証の証拠を漁ろうとするものです。その他にも担当検事は関係者に対する違法・不当な捜査の手法の限りを尽くし、A氏の事件の無罪判決回避のために権力の濫用を行っております。今回の山本弁護士をめぐる事件は、明らかに検察・警察の暴走であり、司法の一翼を担う弁護士としては、このような暴挙は断じて許してはならないものです。
3 山本至弁護士に対する事件の手続の経過並びに今後の予定
(1)平成18年11月30日に起訴され同日付で接見禁止決定も付されました。
(2)同年12月13日第1回目の保釈請求を行いましたが、12月14日請求は却下され、12月18日これに対し準抗告の申立てを行いましたが、同日準抗告も棄却され、山本弁護士は現在も宮崎拘置所に勾留され、きわめて厳しい懲罰的処遇を受けています。
現在弁護団実働部隊は第2回目の保釈請求を準備中です。
(3)本件は宮崎地方裁判所刑事部から公判前整理手続に付される旨の決定が出され、今後の手続は以下のとおりとなる予定です。
① 平成19年1月15日
検察側証明予定事実記載書提出並びに証拠開示期限
② 同年2月16日
弁護側主張予定事実記載書提出並びに証拠調請求及び主張関連証拠開示請求期限
⑧ 同年3月8日
午前10時から第1回公判前整理手続期日(206号法廷)
④ 同年3月29日
午前10時から第2回公判前整理手続期日(予備日)
または第1回公判期日(206号法廷)
⑤ 同年4月12日
午後1時30分から第1回または第2回公判期日(206号法廷)
4 山本至弁護士弁護団の構成及び同弁護団を支援する会への参加協力のお願い
山本弁護士についての捜査段階においては、延岡市の岩佐郁子弁護士、宮崎市の江島寛弁護士及び東京の鎌田の3名が担当しておりました。山本弁護士の起訴に伴ない大弁護団結成を準備中でしたが、ようやくその陣容が整いつつあります。
上記岩佐弁護士が実働部隊弁護団団長に就任し、公判立会のその他の実働部隊の要員としては、前記江島弁護士が主任となり、その下に副主任鎌田以下東京では小杉公一弁護士、吉田秀康弁護士、山岸宏彰弁護士が弁護人に就任し、宮崎においては新原次郎弁護士及び塩地陽介弁護士が弁護人に就任いたしました。
つきましては、皆様に山本至弁護士弁護団への参加(公判立会まではしていただかないまでも、弁護団に名を連ねていただくため弁選を提出していただくことになります。)及び山本至弁護士弁護団を支援する会の支援者として名を連ねること(弁護活動支援のためのカンパをお願いすることもあるかもしれません)のいずれかにより、御協力を仰ぎたくお願いを申し上げる次第です。
以 上
■■引用終了■■
一見しておかしいのは、Cが山本弁護士に脅されたと証言しているにもかかわらず、発表の際は、その点が抜け落ちている点だ。警察は、そこまでの立証ができないと分かっているのではないか?したがって、山本弁護士が強制的に書かされたものだと認識していたという証拠を収集(捏造)し、それによって、有罪に追い込もうとしているのではないか、と思われる。Cの証言のうち「山本弁護士に脅された」という部分が信用できないのであれば、「脅された」ということ自体の信用性すらないことにならないだろうか…。
いずれにせよ、まず、A事件でAが有罪になり、提出された書面が強制されたものであることが認定された後で、山本弁護士の行為が悪質であったならば逮捕もありうるだろうが、A事件が進行中にその担当弁護人である山本弁護士を逮捕するとは弁護権の侵害というほかあるまい。
そういえば、お隣の鹿児島県ではこういうこともあった(ここ、ここなど)
共謀罪という「凶器」を与えてよいのか…ここでも疑問に思う。東京、大阪のみならず、全国の弁護士が結集するべき事案ではないだろうか。いや、弁護士のみならず、市民も…。
■■引用開始(山陽新聞)■■
「虚偽証拠提出で弁護士逮捕 「別に真犯人」と書面」
宮崎県警は10日までに、担当した刑事事件の公判で真犯人が別にいるとの虚偽の証拠を裁判所に提出したとして、証拠隠滅の疑いで東京都杉並区阿佐谷北、弁護士山本至容疑者(52)=東京弁護士会所属=を逮捕、暴力団幹部(34)ら2人を同容疑で指名手配した。
山本容疑者は「そのような事実はない」と否認しているという。
調べでは、山本容疑者は9月6日、盗品等有償譲り受け罪で起訴され、宮崎地裁で審理中の暴力団組員(24)の公判で「自分たちが真犯人」と第三者が名乗り出る、うその書面を提出した疑い。
書面は2月下旬、組員と親しい暴力団幹部が、知人の男性2人を東京都新宿区の喫茶店に呼び出し「おまえらがやったという文面を書け」と書かせていた。
2人のうち1人が10月25日に出廷した際、山本容疑者の質問に「身代わりを強要された」と暴露した。
■■引用終了■■
※1:山本至弁護士の再逮捕は変だ!~なぜ、東京の事件を宮崎地検が… http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/7981bd10333e6c7d24a3797b0b00d6f4
※2: 【転載・引用熱望】山本至弁護士支援の輪を広げよう~2回目の逮捕は明らかに弁護活動妨害目的だ! http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/a455f83b8e23b040754c04dc1c2cad9c
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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第三十七条【刑事被告人の諸権利】
1 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
そこで、山本弁護士を支援する弁護団の支援協力要請文を紹介したい。多くの方に日本の刑事システムがここまで危険な状態になっている実態を伝えていただきたい。
■■要請文引用開始(プライバシーの観点から一部省略、置き換えしています)■■
山本弁護士弁護団及び同弁護団を支援する会への協力のお願い
平成19年1月15 日
東京弁護士会会員各位
第一東京弁護士会会員各位
第二東京弁護士会会員各位
東京弁護士会会員
山本至弁護人弁護士 鎌 田 勇 夫
新聞報道等によりすでにお聞き及びとは存じますが、元東弁司法修習委員会委員でもあり、これまで多数の司法修習生の指導を担当された東弁会員である山本至弁護士(44期)が平成18年11月 9 日証拠隠滅容疑で逮捕され、20 日間の勾留後、11月 30日に起訴されました。
山本弁護士の容疑は、担当する刑事事件の弁護活動に関するものですが、山本弁護士はその事件の被告人が無罪であると確信して弁護をしていたところ、その公判が継続中に逮捕・勾留・起訴されたものです。結論から申せば山本弁護士は弁護活動について何らやましいことはしておらず、潔白であり、本件は明らかな菟罪事件です。
以下、事件の概要と本件の含む問題点を御説明し、山本至弁護士弁護団への参加及び同弁護団を支援する会への協力を要請いたします。また、昨年12月に行いました支援のお願いの時点以降の経過等について報告をいたします。
1 事件の概要
山本弁護士は、被告人A氏に対する盗品等有償議受け(振り込め詐欺に使用する預金口座通帳の売買)事件の弁護人として活動し、A氏は他の真犯人と人間違いで逮捕されたのであり、無罪であり、真犯人はBであると名指しする弁護活動を展開しました。
山本弁護士はBが真犯人であると名指しする前に真犯人がBであるとの情報を得た後、本人と会って確認し、自首を勧めたのですが、Bはいったん自首することを了解しながらその後行方をくらましたため、やむなく裁判所にBが真犯人であると冒頭陳述において名指しし、かつBを証人申請し、公判において証言を求めました。しかしBは前言を翻し、自分は真犯人ではないと証言をしました。山本弁護士はBの証言中にたしかBの関係者Cが自分達が犯人であることを認めた文書(真犯人ではないAのために弁護費用等を提供するという内容)を書いており、それを預かっていることを思い出し、これを証拠申請したうえCの証人尋問の際に示して証言を求めたところ、Cも前言を翻し、その文書は山本弁護士に脅かされて書かされたものだと証言しました。
公判立会検事は以上の経過から山本弁護士が証拠を偽造し、かつ、偽造した証拠を使用したものとして、宮崎県警をして山本弁護士を逮捕させるとともに、Aの刑事弁護記録一式を押収し、20日間の勾留の後、山本弁護士を起訴するに至りました。
2 問題点
以上の経過から、明らかなように山本弁護士にはそもそも証拠偽造の故意はなく、偽造の行為もありません。山本弁護士が証拠として使用した文書は元々Cが、MAを運転手として使っていたDに対して交付し、Dが山本弁護士に預けたものです。
したがって、山本弁護士に対する容疑は明らかな菟罪です。
本件にはいくつかの問題点があります。以下に列挙します。
・山本至弁護士と宮崎県轡及び宮崎地検との間には当初から感情的な対立があること。山本弁護士はAの捜査段階でAとの接見を妨害され、宮崎県に対して国家賠償請求訴訟を提起しています(東京地裁に係属中)。
・Aの捜査及び公判立会担当検事が宮崎県警による山本至弁護士逮捕の指揮をし、自ら山本弁護士の取調べを行い、かつ起訴をしていること。極めてアンフェアなやり方であり、検察の見識を疑います。
・山本弁護士逮捕に伴ない、宮崎県警は山本弁護士の自宅と事務所を家宅捜索し、A氏の刑事事件弁護記録一式及び訟廷日誌等を押収したこと。Aの事件は論告・求刑及び弁論を残しており、明らかな弁護活動の妨害です。
・担当検事は、山本弁護士から押収したAの弁護記録中の接見メモをもとに山本弁護士の取調べをしたばかりでなく、共犯者とされる者の取調べにも用い、さらには事実上の弁護人不在状態でAの起訴後の取調べにも用いたこと。特にAの公判係属中でありながら被告人であるAを取調べるという違法行為を行っていること。担当検事は押収した山本弁護士の接見メモをテコにAから盗品等有償議受けについての自白を得ようとしています。
・山本弁護士に対する公訴事実には、共犯者がいるとされており、共犯者としては、Aを運転手として使っていたDら3名が逮捕され前記担当検事が取調べを行いました。これらの者の取調べにあたっては違法な切りちがえ尋問による取調べの手法が用いられ、虚偽の情報を与えることによる共犯とされた者達の間の離反が図られています。
上記3名のうち、Dについてはすでに起訴され、通常の手続で公判が行われる予定です。一名は処分保留のまま釈放されています。残る一名は再逮捕され、さらに再々逮捕までされて取調べを受けていますが、いずれの逮捕も証拠隠滅事件の取調べを目的としており、明らかに違法な別件逮捕の繰り返しが行われています。
・真犯人と目されるBとその関係者Cも一旦、逮捕はされましたが、10日間の勾留の後釈放されています。BとCに対する取調べにおいて誤謬隠蔽のための暗黙の合意のもとに利益誘導によって山本弁護士らによる圧迫があったとする調書が埋造された疑いが強く推測されます。
・その他、Aの事件の真犯人と目されるCとその関係者Dの多くの関係者も次々に取調べを受けており、それらの者がCはAの事件の真犯人が使っていたとする「X」という偽名を使っていたことを述べても捜査機関は一切それを調書に探ろうとしないという不当な対応をしています。検察及び警察はAを人間違いで誤認逮捕したことを認めざるを得ない状況であるにもかかわらず、強引にその事実を隠蔽し真犯人を隠避しようとしています。
以上からもわかるように本件は、重大な刑事弁護活動に対する侵害であり、被告人の弁護を受ける権利及び弁護士の弁護権に対する甚だしい侵害です。担当検事の手法は無罪を主張する弁護人を逮捕し、弁護人の記録中から有罪立証の証拠を漁ろうとするものです。その他にも担当検事は関係者に対する違法・不当な捜査の手法の限りを尽くし、A氏の事件の無罪判決回避のために権力の濫用を行っております。今回の山本弁護士をめぐる事件は、明らかに検察・警察の暴走であり、司法の一翼を担う弁護士としては、このような暴挙は断じて許してはならないものです。
3 山本至弁護士に対する事件の手続の経過並びに今後の予定
(1)平成18年11月30日に起訴され同日付で接見禁止決定も付されました。
(2)同年12月13日第1回目の保釈請求を行いましたが、12月14日請求は却下され、12月18日これに対し準抗告の申立てを行いましたが、同日準抗告も棄却され、山本弁護士は現在も宮崎拘置所に勾留され、きわめて厳しい懲罰的処遇を受けています。
現在弁護団実働部隊は第2回目の保釈請求を準備中です。
(3)本件は宮崎地方裁判所刑事部から公判前整理手続に付される旨の決定が出され、今後の手続は以下のとおりとなる予定です。
① 平成19年1月15日
検察側証明予定事実記載書提出並びに証拠開示期限
② 同年2月16日
弁護側主張予定事実記載書提出並びに証拠調請求及び主張関連証拠開示請求期限
⑧ 同年3月8日
午前10時から第1回公判前整理手続期日(206号法廷)
④ 同年3月29日
午前10時から第2回公判前整理手続期日(予備日)
または第1回公判期日(206号法廷)
⑤ 同年4月12日
午後1時30分から第1回または第2回公判期日(206号法廷)
4 山本至弁護士弁護団の構成及び同弁護団を支援する会への参加協力のお願い
山本弁護士についての捜査段階においては、延岡市の岩佐郁子弁護士、宮崎市の江島寛弁護士及び東京の鎌田の3名が担当しておりました。山本弁護士の起訴に伴ない大弁護団結成を準備中でしたが、ようやくその陣容が整いつつあります。
上記岩佐弁護士が実働部隊弁護団団長に就任し、公判立会のその他の実働部隊の要員としては、前記江島弁護士が主任となり、その下に副主任鎌田以下東京では小杉公一弁護士、吉田秀康弁護士、山岸宏彰弁護士が弁護人に就任し、宮崎においては新原次郎弁護士及び塩地陽介弁護士が弁護人に就任いたしました。
つきましては、皆様に山本至弁護士弁護団への参加(公判立会まではしていただかないまでも、弁護団に名を連ねていただくため弁選を提出していただくことになります。)及び山本至弁護士弁護団を支援する会の支援者として名を連ねること(弁護活動支援のためのカンパをお願いすることもあるかもしれません)のいずれかにより、御協力を仰ぎたくお願いを申し上げる次第です。
以 上
■■引用終了■■
一見しておかしいのは、Cが山本弁護士に脅されたと証言しているにもかかわらず、発表の際は、その点が抜け落ちている点だ。警察は、そこまでの立証ができないと分かっているのではないか?したがって、山本弁護士が強制的に書かされたものだと認識していたという証拠を収集(捏造)し、それによって、有罪に追い込もうとしているのではないか、と思われる。Cの証言のうち「山本弁護士に脅された」という部分が信用できないのであれば、「脅された」ということ自体の信用性すらないことにならないだろうか…。
いずれにせよ、まず、A事件でAが有罪になり、提出された書面が強制されたものであることが認定された後で、山本弁護士の行為が悪質であったならば逮捕もありうるだろうが、A事件が進行中にその担当弁護人である山本弁護士を逮捕するとは弁護権の侵害というほかあるまい。
そういえば、お隣の鹿児島県ではこういうこともあった(ここ、ここなど)
共謀罪という「凶器」を与えてよいのか…ここでも疑問に思う。東京、大阪のみならず、全国の弁護士が結集するべき事案ではないだろうか。いや、弁護士のみならず、市民も…。
■■引用開始(山陽新聞)■■
「虚偽証拠提出で弁護士逮捕 「別に真犯人」と書面」
宮崎県警は10日までに、担当した刑事事件の公判で真犯人が別にいるとの虚偽の証拠を裁判所に提出したとして、証拠隠滅の疑いで東京都杉並区阿佐谷北、弁護士山本至容疑者(52)=東京弁護士会所属=を逮捕、暴力団幹部(34)ら2人を同容疑で指名手配した。
山本容疑者は「そのような事実はない」と否認しているという。
調べでは、山本容疑者は9月6日、盗品等有償譲り受け罪で起訴され、宮崎地裁で審理中の暴力団組員(24)の公判で「自分たちが真犯人」と第三者が名乗り出る、うその書面を提出した疑い。
書面は2月下旬、組員と親しい暴力団幹部が、知人の男性2人を東京都新宿区の喫茶店に呼び出し「おまえらがやったという文面を書け」と書かせていた。
2人のうち1人が10月25日に出廷した際、山本容疑者の質問に「身代わりを強要された」と暴露した。
■■引用終了■■
※1:山本至弁護士の再逮捕は変だ!~なぜ、東京の事件を宮崎地検が… http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/7981bd10333e6c7d24a3797b0b00d6f4
※2: 【転載・引用熱望】山本至弁護士支援の輪を広げよう~2回目の逮捕は明らかに弁護活動妨害目的だ! http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/a455f83b8e23b040754c04dc1c2cad9c
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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