情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

大阪府門真の君が代不起立を応援しよう!~内心の自由を侵害させるな!

2008-04-03 05:04:18 | 教育基本法・やらせ質問
 学習指導要領に、国歌を歌えるように指導することという文言が急遽盛り込まれる直前、大阪・門真市の中学校の卒業式で、ほぼ全員が不起立・不斉唱だったことが産経新聞(※1)で大きく報道されたようだ。同紙によると、【大阪府門真市の市立第三中学校で今月13日に行われた卒業式で、約170人の卒業生のうち男子生徒1人を除く全員が、国歌斉唱時に起立せず、その多くが斉唱もしなかったことが26日、分かった。式に出席していた3年の担任、副担任計11人のうち9人も起立せずに斉唱もしなかったという。学校側は事前に教員が卒業生に不起立を促した可能性があるとみて担任らから事情を聴いており、事態を重くみた府教育委員会も調査に乗り出した】らしい。

 具体的には、【第三中や式に出席した関係者によると、式は卒業生や保護者らが起立して始まり、教頭の「開会の言葉」に続いて国歌斉唱が行われた。しかし、「国歌斉唱」とアナウンスされたとたん、それまで起立していた生徒たちは次々と座り始め、最終的に起立したまま斉唱したのは男子生徒1人だけだった。着席した生徒の大半は斉唱した様子がなかったという。式には、3年生を受け持つ担任5人、副担任6人も出席していたが、生徒たちと同様に相次いで着席し、起立していたのは副担任2人だけだったという。】ことのようだ。

 なぜ、このようなことになったのかについては、【府教委によると、学校の調査に対し一部の教員は「生徒に国歌の意義について説明し、『式で歌うかどうかは自分で判断しなさい』と指導した」と話しているという。】

 きわめて正常なことではないだろうか。君が代の天皇との関係、君が代が勝手に国歌にされた経緯などを学べば、自ら不起立を選択しても当然のことだ。

 これに対し、校長は【「事前に不起立を指導していたのであれば、生徒の内心の自由を侵す行為で明らかに行き過ぎた指導。ただ、現在のところそうした指導があったという事実は確認されていない」と説明。】、【府教委小中学校課は教員が全卒業生に不起立を促していた可能性が高いとみており、「非常に大きな問題で、偏向教育ととられても仕方がない。教員の不起立についても経緯をくわしく調べ、厳正に対処したい」としている】という。

 事実を事実として伝えることが偏向教育だとされるなら、それはそう指摘する方が間違っている。

 この問題は、産経新聞以外の各社は、大きく取り上げないかもしれないが、不当な圧力が生徒や教師に掛けられることがないようにチェックし、もし、君が代斉唱を強制するような方向での指導が今後なされるとしたら、それは、「内心の自由」を侵害する「偏向教育」なので、大きく取り上げてもらいたい。政府の宣伝機関とならないためにも!

※1:http://www.sankei-kansai.com/01_syakai/sya032703.htm

(なお、冒頭の画像は、「マスコミはなぜ『マスゴミ』と呼ばれるのか」の帯です。斎藤さん、熱いメッセージありがとうございました。本日、ついに校了。後は刷り上がりを待つだけ。ちょっとドキドキです)

  
★関連スケジュールのご紹介

▼2008・4・16(水)16:30~ 東京地裁710号法廷
根津さん・多摩中裁判 結審
根津さんの意見陳述があります






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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映画「靖国」上映中止問題の本質を問う~文化庁に問題あり!

2008-04-02 04:41:58 | メディア(知るための手段のあり方)
 映画「靖国」の上映が都内で全て中止されたと伝えられている。日本の首都であり文化的中心都市である東京、フランスで言えばパリ、米国で言えばニューヨーク、そういう都市で、他人の権利を侵害するようなものではない映画の上映が中止されたことはエポックメーキングなことであり、ぜひ、新しい教科書では取り上げてもらいたいもんだ。早速、本題に入る。

 今回の靖国問題、発端は国会議員による上映要求だった。しかし、ここであまり指摘されていない大きな問題がある。

 国会議員が自ら直接上映要求をしたのではない、文化庁が国会議員に代わって要求をしたということだ。3月14日の朝日新聞には次のような記事が掲載されている。


【靖国神社を題材にした中国人監督のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」に対し、政府出資の基金からの助成金支出を自民党の一部議員が問題にし、全国会議員を対象に上映会が実施されたことに関連して、渡海文部科学相は14日の会見で「案内状の中に文化庁が協力というくだりがある。文化庁がこの映画を推薦していると誤解を与えかねない表現だ」と述べ、文化庁を厳重注意したことを明らかにした。

 12日に実施された上映会は文化庁(文科省の外局)が配給・宣伝会社に求めたことがきっかけで開かれ、会場は文化庁が手配した。国会議員あての案内状には「協力 文化庁」と書かれていたという。

 助成金の支出について渡海氏は「映画を見ていないので、コメントは差し控えたいが、文化庁(が所管している独立行政法人)において専門家による手続きを経て選ばれたと聞いている。それに対して、様々な意見が出ているということだから、そういう意見も聞いたうえで判断したい」とした。】

 渡海文科相の的外れの批判(というか、文化庁への圧力?)はさておいて、重要なのは、【12日に実施された上映会は文化庁が配給・宣伝会社に求めたことがきっかけで開かれ、会場は文化庁が手配した。国会議員あての案内状には「協力 文化庁」と書かれていた】ということだ、

 何のことはない、国会議員の要求を聞き入れ、文化庁が配給会社に圧力をかけたわけだ。「開催しろよ、さもないと…」

 その結果、映画の内容がゆがんだイメージでとらえられ、上映中止に至った。

 もちろん、事前の上映を求めた国会議員にも問題がある。なんだか、ETV番組改編事件の際のNHKによる安倍らに対する事前説明を思い起こさせる。

 そして、映画館も映画の内容からすれば、たいしたことないのに、中止するなんて文化で飯を食っているものとしての社会的義務をどう考えているのか、と思う。

 しかし、最も問題なのは、国会議員から、事前上映会を開くよう迫られた文化庁が「そんなことはできない。どうしても要求したいのなら、自分でしたらどうか」と突っぱねることができなかったことだ。自ら、仲介をすることで、泥沼にはまってしまった。

 何をびびっているのか知らないが、文化行政を預かる者として、圧力に屈して事前説明を求めるとは何事か!他の先進国の同じ部門がこのようなことをしでかしたら、それだけでスキャンダルになるはずだ。何のために、外局になっているのか、それは、文化行政を政治から守るためではないのか。「恥を知れ」、ていうのはこういう時に使う言葉だと思う。

 それにもかかわらず、文科相は、事前上映会の案内に「協力 文化庁」とのクレジットがあったことをもって、「文化庁がこの映画を推薦していると誤解を与えかねない表現だ」などと的外れの批判をする体たらくだ。

 大臣は、事前上映に文化庁が協力して検閲まがいのことをするとは何事か、直ちに事前上映を中止せよ、と命じるのが当然だろう。

 国会議員、政府、官僚が一体となって、映画を上映中止に追い込んだ国、独裁国家以外にこんな国があるだろうか…。

 ミニミニ上演会が都内各地で開かれるようにならないだろうか?


 ※冒頭の画像のうち、マスキングは管理者の責任で行ったものです。

★関連イベントの紹介

4.4緊急集会「最高裁は何を裁こうとしているのか?」
NHK番組改変事件裁判 最高裁口頭弁論開廷に向けて

■緊急集会「最高裁は何を裁こうとしているのか?」

被告側の上告理由書は却下、しかし上告受理申立は受理。
これっていったいどういうことなのか?
NHKは何を問題とし、VAWW-NETはどう反論したか?
見通しは??
申立てが受理されたBRC審理については?
原告弁護士全員で説明

■日時
2008年4月4日(金) 18:30(開場18:00)

■会場
東京芸術劇場5階 中会議室
(池袋駅 2b出口直結 または 西口出て徒歩2分)

資料代 1000円

■プログラム
* 最高裁で何が問われようとしているのか?(中村秀一弁護士)
*被告側の上告受理申し立てとVAWW=NETの反論
 説明義務違反、期待権の侵害について(緑川由香弁護士)
 共同不法行為について)(大沼和子弁護士)
*BRCへの申し立てとNHK側の答弁から(日隅一雄弁護士)
*最高裁に求めたいこと(飯田正剛弁護団長)
*原告から(西野瑠美子VAWW-NETジャパン共同代表)

■主催
「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NET ジャパン)

連絡先
TEL/FAX 03-3818-5903
E-mail vaww-net-japan@jca.apc.org
URL www.jca.apc.org/vaww-net-japan/ 







★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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民営化はコストカットにつながるのか?~刑務所をも一大産業とした米国を見習うのか

2008-04-01 08:10:38 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 弁護士がまだまだ信頼に足りると考えるのは、たとえば、利息に関連する法律の改正に真剣に取り組んだりするところだ。従来は、利息制限法上は年18%の利息しか取れないにもかかわらず、罰則がないため、大手サラ金も、出資法での制限である年29.2%の利息をとっていた。このため、この差額分を返還しろという主張をすることができるが、自ら手続きをとることを避けて、弁護士に依頼する人が多い。この手続きを代理すること自体は、先端でぎりぎりと判例をつくっている弁護士を除けば、定型的な業務であり、主要な収入源の一つとしている事務所も少なくはない。

 そうであれば、普通なら、自らの金儲けを絶つような法改正を求めたりはしないだろうが、日弁連はグレーゾーン金利撤廃に真剣に取り組み、一昨年末、出資法の上限金利を2009年末までに利息制限法の制限金利まで引き下げる内容を盛り込んだ「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」を成立させることに貢献した。

 弁護士会は、自らの食い扶持を減らしてでも、社会正義を実現しようとしたのだ。このことはもっとアピールしてよいと思う。

 というのは、営利団体が自らの利権を放棄することは通常考えにくいからだ。

 米国では、220万人の受刑者がおり、それは世界の受刑者の4分の1を占めるという。格差社会による治安の悪化など様々な要因が考えられるが、真の原因は、刑務所が産業化していることにあると、ノルウェーの犯罪学者ニルス・クリスティーは、2000年の著作「司法改革への警鐘-刑務所がビジネスへ」(信山社)で指摘した。

 ニルスによると、米国の業界誌「Corrections Today」(今日の矯正)の1991年6月号には、111もの広告が掲載されていたという。そのなかには、次のようなものがあったという。

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  サービス・アメリカは全国の刑務所で、食事を提供し、よい評判をいただいております。… 


 そして、翌7月号には130もの広告が掲載されたという。

 ●受刑者によっては、ナイフで刺したり、切りつけたり、殴ったり、やけどさせたりするのが好きな連中もいます、しかし、S.T.A.R.スペシャル・タクティカル・アンチ・ライオット・ベストなら、あなたを守ってくれます。


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 この結果、米国の受刑者は右肩上がりに増え、刑務所産業も大成長している。米国は最近まで景気がよかったはずだ。普通、景気がよければ治安がよくなり、受刑者は減ると思われるが、そうではない。

 米国法務省の最新のデータでは、数値による比較をしていないが、グラフを見るといかに受刑者が増えているかよく分かる。



 そのデータ(http://www.ojp.usdoj.gov/bjs/prisons.htm)によると、黒人男性10万人のうち3,042人が有罪判決を受けて刑務所に収容されているのに対し、白人男性は487人に過ぎないという。

 この数字は、恐ろしい状況を示している。いいですか、黒人男性は30人に一人が刑務所で生活しているのに対し、白人男性は200人に一人しか収容されていない。

 これは、黒人に対する社会的サポートをせず、刑務所産業を維持するリソースとしている結果ではないだろうか。

 受刑者をこれだけ増やすために使われているのが、共謀罪と司法取引であり、共謀罪で司法取引されて刑務所に送られる妻やガールフレンドが増えているという。

 最新号の「Corrections Today」(冒頭の写真)を見ると、ターゲットを未成年犯罪にしているようだ…。

 
 話が共謀罪にまで至ったが、言いたいのは、民営化したら、却って、利益を追い求めて、その産業が肥大化するということだ。特に政府と業界がつるんでいる場合には、もうどうしようもない状況になる。

 もちろん、国鉄、郵便局のように民間と同じ産業の場合には弊害は、少し違う形、つまり、コストに合わないサービスは切り捨てるという形で現れるが、公的サービスの下請けという形での民営化は、いったん、民営化された後で、その部門が肥大化してももはや止めようがない。

 民営化を押しつける米国政府の陰に、公務下請けサービス会社がいると言われたように、共謀罪を日本に押しつけようとする米国政府の陰には、刑務所産業の経営陣が舌なめずりしているのではないだろうか。

 いずれにせよ、安易な民営化は結果的には、税金の無駄遣いにつながる可能性があることを肝に銘じておかなければならない。 




★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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