桜が咲きだすと昭和のジジイも重い腰を上げて動きだす。毎年、桜の咲く頃に水彩画サークルのグループ展を開催しているため作品を仕上げたり会場の準備をしたりと大忙しになる。水彩画を始めたのは6年ぐらい前で、絵画展の会場で観た水彩画の作品が気に入り鑑賞していたところ偶然、作者の先生から声を掛けられたのがきっかけだった。絵心も経験もないジジイが先生の主催するサークルに入会すると昭和の美女集団が出迎えてくれた。令和とは言わないがせめて平成の美女集団なら良かったのにと密かに思わない事もないが、昭和は昭和で味があり、サークルでは最年少の男子が入会したため皆さんに大事にされている。絵に関してはいまだに上達できず画用紙の枚数だけが増えていく。サークルは年配の女性の中でジジイ一人のためハーレム状態だが、集まると話題が途切れる事なく続き、ジジイの頭の上を会話が行き交い、この時ばかりは耳が遠くて良かったと思う次第だ。今年も無事、水彩画展が終了し打ち上げとなったが世話好きの昭和の美女たちは自慢の手料理を持参して、誰それさんの煮物が美味しい、私の筍ご飯を食べてみろ、赤飯を炊いたからおにぎりにしてきた、など、など、お腹いっぱいの打ち上げとなった。