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今日の筆洗

2016年06月11日 | Weblog

 この春、新たに始めた趣味がある。ぬか漬けだ。家事ではなく、あくまでも趣味である。家事と思えば、毎日ぬか床を手入れするのが、苦になりがちだ。だが趣味となれば、手がかかるのが逆に楽しい、というわけだ▼日々かきまぜつつ、ぬか床が健康に育っているのを手で感じる。そこに何を漬けるか。キュウリにカブ、ナスにミョウガ…。<漬けるものは何だっていい/きみの時間を漬けてみるといいよ>と書いたのは、故・長田弘さんだ▼「ぬかみその漬けかた」と題した詩で、長田さんは<ぬかみそは毎日ってことが大切なんだ/日に一ど手を突っこんで掻(か)きまわすんだ/…酸っぱくなってきたら、重曹を一つまみ/こころのカケラを二ツ三ツ混ぜてやる>と綴(つづ)った▼大手漬物メーカーでぬか床を研究する小野浩さん(35)によると、そうして育まれたぬかみそには、一グラムの中にも億単位の乳酸菌と数百万もの酵母がいる。微生物たちの複雑な共生が妙味を生み出してくれるのだ▼長田さんの詩は続く。<孤独な生きもののように/冷たくて暗いところがぬかみそは好きだ/急いではいけない/ぬかみそを漬けるとわかる/毎日がゆっくりとちがってみえる/手がはっきりとみえる>▼さてこの週末は何を漬けるか。小野さんのおすすめは、アボカド。ぬか床に<こころのカケラを二ツ三ツ>加え、アボカドを漬けてみようか。


私はセロリのぬか漬けが好きですな。