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今日の筆洗

2016年06月17日 | Weblog

 好投手の投げ合いで、試合は1-1のまま延長戦に入っていた。監督は打席に向かう選手を呼び止め、言った。「あのネットを越えてこい」▼この選手は前の打席で、右翼のネットを直撃する当たりを放ったが、球場が狭すぎてシングルヒットになっていた。ならば、本塁打しかない。そんな指示に選手はニヤッと笑って応え、見事に本塁打を打ってみせた▼この痛快な逸話の主人公は、中学三年だった鈴木一朗選手。今は愛知県内の中学校で校長を務める橋本伊佐美さん(59)が野球部の監督だった時に体験した、イチロー伝説の序章である▼日米通算4257安打を達成したきのう、イチロー選手(42)は、自分の歩みを「僕は子どもの頃から人に笑われてきたことを常に達成してきているという自負がある」と語った。「常に人に笑われてきた歴史、悔しい歴史が僕の中にあって、これからもそれを達成していきたい」と▼記者会見でも「引退するまでに若いチームメートに伝えたいことは?」との質問に、「彼らが(現役を)辞めるときぐらいまで(僕も)やっていたいと思っていますよ」と答えると、記者席で笑いが起きた▼イチロー選手は、「少なくとも五十歳」までは現役を続けるとも言っている。五十一歳の背番号51。思わず笑ってしまいそうだが、その笑いもまた、新たな伝説に向けた活力源にしてしまうのだろう。