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今日の筆洗

2021年01月18日 | Weblog
 首相、農相などの「相」とはなにか。この場合の「相」とは助けるとか、補佐するという意味だそうだ。「君主」を助けて補佐する役回りなので「相」の字が付いている▼英語で閣僚、大臣を意味する「ミニスター」の語源も「大きな存在に仕える小さな人」「召し使い」と聞くから、やはり助けに回る人である▼「相」が助け、補佐したのは戦前までの日本なら天皇ということになるが、主権在民の世の中においては国民を助け、守るのが「相」の字を担う人間の役目であるべきだ▼「相」の意味と重さをどこかに置き忘れたか。吉川元農相。農相在任中、鶏卵業者から現金五百万円の賄賂を受け取ったとして東京地検特捜部は元農相を収賄罪で在宅起訴した。こともあろうに国民のために政策を吟味すべき大臣室で業者からの裏金を受け取ったと聞き、がくぜんとする▼鶏卵業者側は不都合な政策をやめてもらうための現金だったと認めている。事実なら、なるほど、この元農相は「相」かもしれぬ。お金をくれる人を助け、補佐した。いや、おそらくは助けようとしていたのは裏金に目がくらんだ自分自身だろう▼賄賂ではなく、自分の政治活動を応援する資金だと考えていたと説明しているが、いずれにせよ、裏金である。木で鼻をくくった態度にこの人の「相」の字が「木ヘンに目」ではなく、「木ヘンに鼻」に見えてくる。