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今日の筆洗

2021年04月15日 | Weblog

 星新一さんの作品には未来を予言したかのような内容が少なくない。この予想もまた現実になるか。「余暇の芸術」(『未来いそっぷ』収録)というショートショート。「技術革新がめざましく進んだおかげで、労働時間が短縮された。いまや週に休日が三日」…。週休二日ですらなかった、一九七一年に「週休三日」の世界を描いている▼お話では休日が増えた結果、誰もが美術や詩や文学など趣味にいそしむようになる。ここまではいいのだが、皆、その成果を見せたくて、趣味の発表会や展覧会をひんぱんに開く。まわりの人間は付き合いで見に行かざるを得ず、「休日の全部が、それらを回ることでつぶされてしまう」。休みが休みにならぬとは皮肉が効いている▼まさか、そんなことにはなるまいが、希望に応じて週休三日を選べる「選択的週休三日制」の普及に向けた議論を政府が始めたそうだ▼単純に休みが増えれば育児や介護などとの両立もしやすい。土日に加え、水曜日を休みにすれば、憂鬱(ゆううつ)な月曜日の朝も「明日もう一日行けば、休みだ」と思えるかと気の早いことを考えてみる▼問題は給料で、週休三日を選んだ場合の給料が減る仕組みでは普及は望めず、このあたりの研究が必要だろう▼給料が減った分、増えた休日はアルバイトでへとへとに…。そんなオチなら星さんの作品よりも皮肉が効きすぎている。