当店にて、日頃一番多いご依頼は「電池交換」です。
電池交換は出来るだけ速やかに実施し、その場でお渡し出来るように心がけています。作業時にお客様に「いつ頃、止まったか分かりますか?」と必ずお問い合わせしています。「昨日です」「一ヶ月前くらいかなぁ」と返答は様々ですが、「いつ止まったか分からないなぁ」「長い間保管していて・・・」と液漏れ予備軍のようなコメントを頂くと、少し緊張感が増します。恐る恐る裏蓋を開けると「あぁぁやっぱり液漏れありました」って場合と「大丈夫ですね」と無事な場合もあります。
私の体感ですが、長期間停止していた様子の時計10個あったら液漏れしている時計は2~3個くらいの感じです。無事な場合もかなりありますね。
今回は「やっぱりダメでした」の方でした
同じ電池の表裏です。画像左側だけに液漏れ跡があることが多く、今回のように両面に浸食していることは珍しい感じがします。お客様も「止まって何年経過しているか不明」とお話が事前にありましたので、状況説明し「電池交換実施して動作しても長続きしない可能性が非常に高い事」をご案内し、修理のお見積りにてお預かりしました。
【電池液漏れの詳細】
過去記事の引用ですが電池液漏れの詳細です。液漏れについての説明です
液漏れ(漏液)の原因としては「過放電」によるものが多いです
「過放電」とは、電池電圧が時計を作動出来ない量(=電池切れ)になってからも放電している状態のこと。
「過放電状態」になると電池内部に水素ガスが発生し、その水素ガスによって内圧が上昇し膨らみます、膨らんだ電池がそのまま軽度でも、破裂若しくは破損してしまうと、入っている機械やユーザーの人体に被害が及ぶ可能性ありますので、安全弁(微細な穴)から水素ガスを放出し電池の破裂を防ぎます。
その時に電池のアルカリ液も同時に放出され、リード板を伝ってムーブメント内部にアルカリ液が流れ込み、回路等の部品に不調をきたします。
電池自体の変化としては①電池切れ ②電池自体の膨張 ③破裂防止のため内部水素ガスとアルカリ液の放出 ④当初は液体 ⑤時間経過とともに乾燥し粉状へ
また、リード板がアルカリ液によって腐食し、接触不良起こすこともあります。
時計が止まっていたら早めの電池交換おススメしています